海街diaryのレビュー・感想・評価
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優しい映画
丁寧な生活ぶりとか、姉妹や近い人たちとの確かな絆とか。そういうところがよかったなあ。
それから「自分の居場所はここじゃないって突然気づいたっていうか」「ここにいていいんだよ」って感じの台詞がいくつか出てくる。ありきたりな台詞なのかもしれないけど、観ている人には柔らかい共感と一緒に、優しくて温かくて包み込んでくれるようなお布団みたいな、、なんだろう愛情を分けてくれるような感じだった。こういう風に思ったことある人いるんじゃないかなって、、、私を含めてそういう人たちにとってこういうお話は心の栄養になるんだと思う。
最後の長澤まさみの樹木希林のモノマネはめちゃめちゃ笑ってしまった。
生きてるものは、み~んな手間がかがるの
映画「海街diary」(是枝裕和監督)から。
鎌倉を舞台にして、3姉妹が異母の妹を迎え入れて
4姉妹として一つ屋根の下で共同生活をすることで、
家族の絆を確かめていく様子が、新鮮であった。
3人の姉は、やや歳の離れた妹に、
各々の立場にあったアドバイスをするのが、実に面白い。
「すずは、もう妹なんだから『ちゃん』はつけないわよ」と
他人とは違う親密感を伝えたり、「好きな子できた?
世界が変わって見えるよ」と恋愛の話をして、その理由を
「クソつまんない仕事も耐えられる」と笑った。
梅の木の手入れをしていて「毛虫とったり消毒したり、
生きてるものは、み~んな手間がかがるの」と、
「おばあちゃんの口癖」を披露する。
慌てて食べる様子に「すず・・(ご飯を)かき込まない」。
中学生の彼女に「ペティキュア」を塗ってやりながら、
「男のためじゃなくて、自分のため。
きれいになると気持ち上がるよ」と女性らしいアドバイス。
これらは教科書には載っていないけれど、
多くの経験を積んできた3人の姉が、妹にしてやれるプレゼント、
そんな気がした。
姉からの助言を素直に受け止める妹って、異母とはいえ、
可愛いんだろうな。きっと。
両親が女性の交際に与える影響
随分昔に不倫して出て行った父親が亡くなり、出て行った後に父親が築いた家庭で産まれた腹違いの妹は既に母親も亡くしているため、父親が連れ子同士再婚した継母しか身寄りがなくなり、姉三人と一緒に暮らす事になるという話。姉三人の母親も、父親の不倫が原因で早くに出て行って、北海道で新たな暮らしをしている。勝手で生活にだらしない感じが全面に出た母親。
家庭のごたごたの記憶がハッキリあり、母親を慰めたり、両親が出て行った後は妹2人を背負ってきた、長女の張り詰めた生き方が泣ける。仕事でも家庭でも困った人は放っておけず、しっかり向き合い信頼される存在。ところが、歴史は繰り返し、不倫の餌食になっている。
次女は長女と反対に、向き合うより逃避して精神を軽く保つタイプで、もう少し姉のサポートをしろよと言いたくなるくらいがさつで奔放だが、華もあり仕事には真面目なタイプにも関わらず、こちらもまたヒモ男に引っかかっていた。
三女は家庭のいざこざの頃、幼かったため、精神にもたらす影響は薄く見え、気の良いタイプだが、姉に育てられたようなものだからか、所作や好みなどから、躾が行き届いていない事が伺える。男性の好みも少し人と違う感じで、個性的な頼りない男とうまくいっている。
更に、両親とはどちらとも死別の末っ子すずは、まっすぐ社交的に見えるが、継母との家庭も経験しているためか、順応性が異常に高い。母親が既婚者から奪った家庭で産まれた自分の存在を肯定して良いのか苦しんでいる。
家庭が精神や人生に強く影響し、多くは繰り返してしまう事を、深く感じさせられた。女の子の場合、信頼する男性の質まで変わり、無意識に大切にされない方を選択してしまう。
個人的には、次女と三女には全く感情移入できなかった一方、長女とすずの性格や思考回路は台詞になくとも痛いほどよくわかり、泣かされた。つい自分の感情は引っ込めて後回しにして、多くを背負ってしまうところが長女と末っ子でとても良く似ている。作品には出てこない父親だが、この2人が最も父親に近いのではないかと推測できた。また、母親は三姉妹の母親よりもすずの母親の方が魅力的だったのではと推測でき、だからこそすずは、姉三人に父母の話をよりしづらいのではと感じた。自分が幸せであればあるほど、罪悪感を感じてしまう。
そして、人生で3人の女性と家庭を築いた父親は、家庭が変わっても、好きな景色や釣りの趣味や、しらすトーストなど前の家庭までの事も引き続き取り入れていた様子が、異母姉妹が出会ったおかげで明らかになっていく。家庭は守らなかったが、優しい人だったのだろう。
風吹ジュンとリリーフランキーが家庭の変化を長年見守り4姉妹それぞれを理解していて、とても温かかった。良い人ほど早く死んでしまうって本当なんだろうなと思った。
是枝作品は家族の奥深さを淡々と、心の機微を精緻に描いていて、とても好き。綾瀬はるかも広瀬すずも、良い役を得ていた印象。長澤まさみの演技がもう少し良ければ、次女の人物像ももっと引き立ったのかな?と少し思った。
見慣れた景色がたくさん出てきて、自分の幼い頃や青春の想い出が、溢れるほど記憶に蘇った。
女って良いなぁって思える映画
ずっと気になってたので見れて良かったです。
そして心があたたまった。
長澤まさみのナイスバディから始まるこの映画。
女子力も高まります。
綾瀬はるかの長女っぷりも素晴らしい。
相変わらず三女は三女らしいキャラだし広瀬すず激かわでキュンキュンしました。
長澤まさみの、ペディキュアを塗るシーンは素晴らしかった。
ペディキュアを塗っていて、広瀬すずにデートかと聞かれる。
長澤まさみが、今はそんな気分になれないわけよ、だからこれは、男のためじゃなくて自分のためだと答える。
そして広瀬すずにペディキュアを塗ってあげる。
妹とのやりとりって、こーゆーものだと思うシーンで、1番心に残ったかも。
もちろん綾瀬はるかの、
お箸を買うって、色々気になるもんですよって言葉が胸に響きました。
そして綾瀬はるかと広瀬すずの高台での抱擁も良かった。
広瀬すずは遠慮しながらも姉たちに囲まれて成長しつつ自分の存在を肯定していく。
この映画には、人を肯定して暮らしていくことが詰まっていて心あたたまります。
女に生まれてくだらない事で笑いあえる日々に感謝してます。
あぁ今夜は良く眠れそう(^_−)−☆
感動でした
3人の姉妹が異母姉妹のすずを父親が亡くなって身寄りがない為鎌倉で一緒に暮らす!
すずはここにいていのかとずっと1人で悩み続ける
何だか現実ある話の様でみじかに感じました
素敵な四姉妹でよかったしあんなお姉さん欲しいと感じた映画でした。
父の不在
公開当時に見たがレビューしそびれていたので。
原作は未読。確かにほっこりした空気感が心地よい作品ではあるのだが、何か違和感を感じて仕方なかった部分がある。本来重要人物で人間関係の結節点でもある父親の描写が周到に排除されていることだ。もちろん本人は死んでいるのだから出てこなくて当然かもしれない。しかし映画の場合は時系列は操作が可能なので、回想シーンなどを挟むことも容易に出来る。今回は女性たちの物語だからあえて男性不在にしているのだろうとは思うが、最近の深夜アニメなどで親の存在が偏執的なまでに排除される傾向を連想して、違和感を禁じ得なかった。
この作品の広瀬すずは素晴らしい。かって角川映画のヒロインだった頃の薬師丸ひろ子や原田知世のような、本人にも再現出来ない、ある一瞬だけの刹那的な輝きに溢れていることは特筆に値する。
ちょっとダメだった
原作が好きで、映画は観てなかったんだけど評判がいいから・・・、でも姉妹たちの会話がちょっと私には気持ち悪かった、演劇っぽい。画面もワクワクする感じがなかった・・。さりげない演技みたいなとこも分かりやす過ぎるような・・・。広瀬すずのアイドル映画として観れば良いかも。大竹しのぶが良かった。
とてもいい映画でした。
映画館にて、この映画の宣伝を見たときに、絶対見たいなと思い見ました。
出演者さんたちがすっごく豪華だなと見ていて最初に思いました。
出る人出る人が主役をできるような方々がたくさん揃っていて、やはり演技力の高い方たちが多い分、スッと入り込んで見れました。
兄弟愛が素晴らしいなと。
見ていて、家族っていいなと思いました。
腹違いのすずを妹として受け入れて
あんなに素敵なお姉さんたちもそうだし、たくさん抱え込んでいるけど、すごく素直なすずにも出る人出る人、しっかり人格や性格が見えてわかる映画で、感情移入してみていました。
14年前に母が、15年前に父が出て行っていて、腹違いの子供を妹として受け入れるって考えたらすごく波乱万丈な出来事ですが、見終えた後、とてもほっこりする映画でした。
古都 鎌倉の姉妹たち
鎌倉の色々な所でポスター見ました。
母と離れ、三姉妹暮らしている鎌倉に、父の残した母に違う妹を受け入れ、四姉妹で暮らし始める。それぞれの事情や気持ちが織りなす物語。是枝ワールド、いいなと思います。
自分の居場所が今ここにある幸せ
是枝監督の作品を観ていつも不思議に思うのは、
「どうやってこんな生き生きとした表情を撮れるのだろ?』という点。
で、役者さんが生き生きして見える映画ってのは、
映画そのものが生き生きして見えるようで好き。
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主人公三姉妹と、その腹違いの妹であるすず。
彼女らが少しずつ打ち解けていき、“四姉妹”と
なっていくまでが穏やかに細やかに描かれる。
他のレビュアーさんも書かれている通り、現実味が薄れて
しまいそうなほどの超絶美人姉妹が主人公な訳だが(笑)、
映画では言葉遣いや些細な所作、
目配せひとつの変化までもが繊細に切り取られていて、
ぼんやり映画を観ている時など、彼女らが役者ではなく
しばしば本当の姉妹だと錯覚してしまうほどだった。
綾瀬はるかはホンワカしたイメージが強いので
しっかり者の長女役のはまり具合にちょっとビックリ。
奔放な次女・長澤まさみもマイペースな三女・夏帆も快活で良かった。
このところ人気急上昇中の広瀬すずもグッド。
独りの時や打ち解けた人といる時のカラッとした笑顔と、
相手に気兼ねしている時のやや感情を押し殺した表情。
一言、巧い。
特に心を動かされたのは、山の上で長女と一緒に大声を上げる終盤のシーン。
それまで僕は「姉妹の父はどんな人間だったのだろう」
ということばかり気にしながら映画を観ていた。
あのシーンまで、すずが自分の母の話を
殆ど口にしていなかった事に気付いてもいなかった。
口にしたのも一言、母の行いを謝罪するような言葉だけ。
大好きだった母を悪く言われるのが怖くて、
皆の前では母のことをずっと口に出来なかったのだろう。
自分の大事な人を恥じ続けなければいけない気持ち
というのは、一体どれほどに苦しいものなのだろう。
そんな苦しさから解放されたあの場面でようやく彼女は、
自分が姉妹の一員でいること、あの街で生きることを、
自分自身に許すことが出来たのだと思う。
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四姉妹以外では、大竹しのぶ演じる母親が流石の演技。
どんなモンスターペアレントが飛び出てくるか戦々恐々だったが(爆)、
娘たちや亡夫への複雑な想いを抱えて自ら距離を置いている、説得力ある役。
「家を売りたい」という身勝手に思えた言動も、
四姉妹にとって大事な家も(そして観客にとって魅力的な場所も)、
彼女には苦い記憶の詰まった場所でしか無かったのだと、後の場面で気付かされる。
不仲だった長女と母が少しだけお互いを理解して別れる所も優しい。
梅酒をじっくりと味わって飲む母の様子が浮かぶよう。
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と言うかねえ、出てる役者さんがひとり残らず良い!
まるで姉妹の母親のような優しい雰囲気の風吹ジュン、
ふんわりした笑顔に想いを滲ませるリリー・フランキー、
神様よりもカッコいい銀行員・加瀬亮、
短い出番ながらもすずへの冷めた想いが垣間見える中村優子、
ダメ男で優男・きっと姉妹の父はこんな人だったのかもと思わせる堤真一、
毎度ながら、話すことすべてが真実に聞こえてしまう樹木希林(笑)。
みなさん魅力的でした。
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この映画は、自分の居場所に関する映画なのだろう。
中学卒業以来、かれこれ15年以上も故郷から離れた土地で暮らす僕としては思う。
気を許せる家族が、友人が、そして土地が目の前にある。
ここにいてもいいんだよ、と言ってくれる人がいる。
自分らしい自分を受け入れてもらえて、皆と屈託なく笑うことが出来る。
それって本当に、本当に幸せなことだ。
けれど幸せな日々というのは永遠ではなくて、
滞りなくつつがなく続いていきそうな日常も、
少しずつだが変化していってしまう。
大事な人はいつか去ってゆき、他人も自分も
昔のままではいられなくなっていく。
だから、
このささやかな幸せを受け取れる日々を噛み締めなければ。
日記に綴るように、ひとつひとつを大事に心に留めていかなければ。
そんな事を思わせる映画。
<2015.06.30鑑賞>
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余談:
役者さんについてもう少しだけ。
子ども漫才コンビ“まえだまえだ”の前田旺志郎くんが良い。
是枝監督作品には『奇跡』に続き2回目の出演だが、最初は彼だと気付かなかった。
そういや『ソロモンの偽証』に出演してた兄さんもなかなか良かった記憶。
良い監督さんに会えたからというのもあるだろうが、
二人とももうコンビ名を出さなくても良いかもしれないねえ。
原作を壊していない
仕事で疲れたときにビール飲みながら、癒される映画(僕はしらふで観てたけど)。
原作の全てを描くことを捨てた事で焦点が絞られ、原作の空気を壊さずに映画化することに成功している。
複雑な親子関係(親族関係)を持つ4姉妹が葛藤や不満などを持ちながらも(ある意味日常的な)幾つかの出来事を通し、周りの人および風景の優しさに包み込まれ前向きに生きてくという感じ。
原作同様に弱い人間は出てくるけど悪人が出てこないので、こちらもやさしい気持ちになれるそんな作品。
・・・と、ここまでいい評価を与えてますが、それでもやはり吉田秋生の世界観とはずれもある。やさしい登場人物とやさしい風景(つまり鎌倉)がこの作品のキーになってるのだけど、映画では風景にどうしても引っ張られる。やはり、視覚(や音)の印象は強烈なのだなと実感。
現代版の「細雪」、日本を代表する映画
素晴らしいの一言。
ストーリーは、四姉妹の日常を織りなす物語です。また、それぞれの姉妹に気になる男性がいて、その距離感も楽しめます。
四姉妹というと、日本では、有名な小説「細雪」があります。細雪と相違する点は、
細雪⇒四姉妹のうち、長女および次女が嫁いでいる。
海街diary⇒四姉妹すべて独身。
細雪⇒四姉妹の親は、同じ。
海街diary⇒四姉妹のうち、四女のみが腹違いの子。
出演者で言えば、
長女でしっかり者で看護師をしている綾瀬はるか
次女で銀行員をしている長澤まさみ
三女でスポーツショップ勤務の夏帆
四女で中学生の広瀬すず
また、他には、くせのあるお母さん役で大竹しのぶ
喫茶店のマスター役でリリーフランキー
が出演しています。
演技では、しっかり者の綾瀬はるかの演技(セリフ)も味があったのですが、素晴らしかったのは、長澤まさみが発しているオーラでした。長澤まさみの映画を観たのは、「世界の中心で、愛を叫ぶ」以来です。その映画は、私の地元(香川県)でもロケがありましたので、私も観ましたが、それから長澤さんも大人の女性に変身したと思いました。また、リリーフランキーは、いつ見てもいぶし銀のような演技を見せてくれます。「そして父になる」でのお父さん役でも、子煩悩で優しいお父さんの演技を見せてくれていました。
二つ、個人的に気づいたことがあります。一つは、四女を引き取る、といったようなことは、経済的な問題も絡むので、手に職を持ちしっかりと稼いでいる女性でないと難しいこと。二つ目は、治安が良いことが必要だということ。治安が良くないと、女性4人だけで暮らすということは危険だと思いましたので、治安の良い国、日本で良かったと思いました。
今回の映画、「海街diary」は、日本を代表する邦画であると言っても決して過言ではないと思います。みなさん、素晴らしい映画ですので時間があれば、ご覧になってください。
ありがとうございました。
ゆるやかに、流れていく。
すずが背負ってるものの大きさに壊れてしまいそうで、それでも頼りすぎずに生きていく。あり得ない美人4姉妹、設定はマンガチックだけれど、是枝監督の描く現実が切なさをもどかしさを生み出している。単純に誰かに頼れない現実と、どうしても泣いてしまう現実。もう少し希望がほしい。
家族ありき。
善意に溢れた作品を観ると自然に心が癒され和んでくるのだが、
人の善意ほどその裏側に秘めた苦労や忍耐を妄想させてくれる。
自分達の父親を奪った女の娘(この分かり易い設定)を、サラリと
受け容れてしまうこの三姉妹の懐の深さ。何でこんなに性格が
いいの?と誰もがそう思う冒頭から、徐々に少しずつ彼女らの
人間性が浮き彫りになってくる。最後まで写真すら出てこない
父親がどんな人物だったか、家族を捨て二回も再婚し急逝した
冒愛の人というイメージが、姉妹を見ているうちに覆ってくる。
ああこの父ありき。で、この娘達。なのだ。
温かな姉達に迎えられて家入りする異母妹のすずは、初めこそ
遠慮しいしい気を使い敬語だらけの、それでもここに居られて
嬉しいという戸惑い顔が絶妙で、姉らと同級生の前での態度の
違いが微笑ましくて仕方ない。妹らを一手に纏める長女の幸は、
こんな綾瀬はるか観たことない(失礼)と思うほどしっかり者で
これがまたよく似合っている。妹らを怒鳴り叱り飛ばす姉の声
そのものが心地良く、あーあるある。きっとあるね、この感じ。
と、自分には兄しかいないので、こんな姉が欲しかったと羨む。
奔放で気の強い次女、マイペースな三女、それぞれが魅力的で
そもそも、こんな美しい姉妹が古家に住んでいたら、鎌倉でも
ちょっとした話題になっていそうなキャスト陣である。それを
まったく弄らず削らず演出しているというより、ほぼ自然体に
見える手法で是枝監督はススーっと描いていく。この心地良さ。
やがて実母が現れ問題提起されるも、幸が抑える。大竹演じる
母親にしたって、夫を恨みその相手を恨み果ては血の入った娘
達にまで辛く当ってしまう女の心情がよく出せている。善意の
中にポーンと放り込まれた現実問題を思い知るいい場面である。
そんな母親が手土産を持って訪れた翌日、墓参りの後で、幸が
母親にと走って梅を届けるシーンには泣けた泣けた。この母に
してこの娘だわ。とまた納得。家族ってこういうものなのよね。
伯母役の樹木がおはぎを持って訪れるシーンでは、先日観た
「あん」を彷彿させられ笑ってしまう。食べ物の描き込みも最高。
(diaryの中に死が訪れることで、懐かしい想い出が優しく広がる)
海街Diary
よかったです。
空気感も、役者さんも、何かや誰かがものすごく協調されることなく、淡々と物語が続いていく。本当、タイトルがぴったりの映画だなと思いました。
すずが迷わず自分の生きる場所を選んで、三姉妹がすんなりとそれを受け入れているところが、あっさり描かれてるけど、すごいことだよなーって感動しました。
居場所があるって、それだけで幸せ。
一本の映画に、喪服シーンが三回も出てくるのですが、それをくどく感じさせない。
是枝監督だからでしょうか。
観る人によって、何に思いを寄せるか、幅の広い映画。物語の展開は地味ですが、それぞれの登場人物の背景が見えるだけに、想像や価値観でどんな風にも捉えられます。
日本の景色や四季もほんのり感じられて、癒されました。
大満足。もう一回観たい。
鎌倉、そして女たち
鎌倉の海。山形まで逃げ込んだ父とその愛人と娘。その父の写真もなにも一切出てこない。その妻は大竹しのぶさん。14年間の不在。母も出ていった。古い一軒家。それを守る長女。看護師をしているが、あるいはそれがゆえに彼女も不倫をしてしまっている。妹たちには秘密だ。
次女は地元の銀行員だが、快活奔放な性格で酒と男が好き。三女は釣り好きでもと山男のスポーツ用品店の店長とできている。
彼女たちを昔から知る食堂海猫の女主人。平和な生活の中に死の影があり、また愛憎があり。鎌倉ののどかな風景がすべてを包む。花火は心の中で開く。
死と男女の確執の物語を巧みに描く秀作
映画は、三人姉妹と異母妹が暮らす日常の物語を淡々と描いていきます。
大きなうねりはないが、小さな漣(さざなみ)は常に立っては消えていく、そんな物語。
よくも(よくぞ)こんな物語を上手く魅せることができるもんだ、ひとつひとつのエピソードがすんなり心に入ってきました。
そのための隠れた工夫を、脚本・編集も兼ねた是枝裕和監督が積み上げていきます。
淡々とした日常であるが、常に死の影がつきまとっている。
冒頭で示される父親の死、父の出奔の原因となった2番目の妻の死、三姉妹を育てた祖父母の死、そして、姉妹が世話になる食堂の女主人の母親と女主人自身の死。
さらには、幸は物語の後半で、週末ケア病棟の配置転換となる。
そしてまた、淡々とした日常であるが、男女・親子・肉親の確執が常につきまとっている。
親子・肉親の確執としては、三姉妹と亡き父、三姉妹と家庭を放棄した母、すずと父親、食堂の女主人と弟。
男女の確執は、姉妹の父と母親たちはもちろん、幸と妻子ある小児科医・和也、佳乃と若い彼氏。
そして、確執までは至らないが、関係が芽生え(てい)るものとしては、佳乃と信用金庫の課長、すずと同い年の風太。
字面で書くと、大変な死と確執のオンパレードだ。
そんな暗い面を、映画は生命の力でもって朗らかに蹴散らしていく。
生命の力、それは食べるシーン。
とにかく、冒頭からよく食べる。
三姉妹のごはんと味噌汁とお惣菜の朝食、父の葬儀に向かう佳乃と千佳が電車内で食べる駅弁、すずが越してきた後のお蕎麦、そのほか、食堂でのアジフライの類、おはぎ、アイスクリーム、梨、ポテトサラダ、シーフードカレーに、おばあちゃんがつくってくれたチクワカレー。
台所の床下に保存した過去何年か分の梅酒。
家庭の物語(ホームドラマ)の基本は、食卓を囲むシーンだと改めて思い知らされる。
そして、人生の漣(大波もか)にぶつかったとき、食べてだれもが元気を取り戻す。
食堂の女主人の余命が短いことを知ったときの佳乃と信用金庫の課長の何気ないシーンですら、ふたりは缶コーヒーを飲んで、力を取り戻す、と徹底している。
それから、是枝監督は、姉妹が暮らす世界に、もうひとつ魔法をかける演出をしている。
それは、話題にはのぼるが、画面に登場しない人物(写真一葉すらも登場しない登場人物)を多数用いている。
物語の陰の主役ともいうべき姉妹の父、すずの母、姉妹の祖父母、食堂の女主人の弟、小児科医・和也の病弱な妻。
さらに、幸の部下で、仕事が雑と思われていた荒井さん(実は、終末ケアが非常に丁寧)。
姉妹の父や祖父母などは写真が登場してもよさそうだが、そんなこともない。
(この写真一葉登場しないのは、エピローグの食堂の女主人の遺影が出てこないことでも徹底している)
見せないことで、姉妹が暮らす狭い世界を、広くみせようとする演出なのだろう。
このように簡潔に、見せない・説明しない(過去の回想シーンなど一度も用いない)ことで、映画の、物語の推進力を高めていく演出は見事である。
この簡潔性は、冒頭の父親の葬儀のシーン、会葬者への挨拶をだれがするかという会話でも端的に示されている。
幸と父の後妻(すずの養母)とすずとのシーンで、すずの置かれている・居場所ののない立場がわかるし、この映画が、親子の物語であるとともに、おとなの男女もの物語であることが判る。
葬式と鎌倉の風景によく似た鰍沢の風景ではじまった物語は、鰍沢によく似た鎌倉の風景と葬式で閉じる。
まあまあだった
美人であることを放棄したような夏帆ちゃんの肩の力が抜けた感じがよかった。仕事もそれほど繁盛してい無さそうなスポーツ店の店員で、一緒にいたらさぞ楽しいだろうなと思った。
しっかり仕事を頑張っている綾瀬はるかちゃんは理想的な人生を送っているようだが不倫で悩んでいる。映画では綾瀬はるかだから超いいけど、現実にいたら女性的な魅力に欠けるタイプなのだろうかと思った。
家族みんなで障子の修繕したり、梅をもいで梅酒を漬けるなど、ファンタジーを感じる。
不在の父が物語の中心に常にあった。どんな人物か気になったが、それほど語られなかった。
淡々としていてけっこう長く、途中で飽きてしまった。
こんなほっとする日本映画もあってもいい
今、現代日本が抱える日常問題も映画内容に含み、うまく伝えていると思う。
(これをカンヌ映画祭の外国人に理解しろというのは無理)
逆に厳しく言えば、主要俳優陣の役柄設定に詰め込み過ぎた感がある。
(4人姉妹&両親の似た所、行動など)
【出演俳優 個人別の感想】
・綾瀬はるか・・・大人なおねえさん。無難な役どころだった。
・長澤まさみ・・・冒頭のシーンで「おいおい」と思ったが、見ているうちに、「演技うまくなったなぁ」と大人の女優らしさが出てきたと関心した。今後に期待。
・夏帆・・・最近ドラマで弾けた役もあったが、昔の可愛い役柄に戻り、この映画ではすずちゃんが来るまで「末っ子」だった役柄を良く演じていたと思う。
・広瀬すず・・・この子が一番びっくりした。某TV番組でSMAP香取慎吾が某ドラマで共演した際「初めて見たとき、キラキラしてた」と絶賛した意味が分かる気がした。この映画でもキラキラしてます。(特に前半)
今後の女優業に期待します。
・樹木希林・・・いなくても良かった。
・大竹しのぶ・・・バラエティ番組でも見かける「何考えてるか分からない性格」を存分に生かし、映画に参加していたと思う。
・リリーフランキー&風吹ジュン・・・・40&50代が共感出来る「大人の付き合い方」の表現をさらっと演出した所が良かった。
起承転結の映画を希望なら見ない方が良い。
四人姉妹が好きな方は見ても損は無いと思う。
私は好きですよ。予告編も媚びず、映画内容そのままだったから
映画料金は妥当だと思います。
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