劇場公開日 2015年6月13日

  • 予告編を見る

「「あるよ。いっぱいできた。」」海街diary 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「あるよ。いっぱいできた。」

2015年6月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

もう、はじめっから涙が出っぱなし。
ひとつひとつの台詞、些細なしぐさ、ふとした視線、、、言葉以外に胸に秘めた思いが、じんじん画面から伝わってきた。
そして、四姉妹の仲の良さに、悲しいくらいにやさしい気持ちになれる。初めての失恋の時にも似た、純粋で切ない誰かへのやさしい感情、とでもいうか。
不実をしてしまっているからこそ自分に厳しく、他人にも厳しくしてしまうサチ。
上司の誠実さにいつの間にか牽かれて(本人は気づいていない風だ)、仕事に向き合い出すヨシノ。
ニュートラルな立ち位置が、かえって重心のように落ち着きを与えてくれるチカ。
そしてなにより、痛々しげで健気な「宝物」のスズ。
四人に関わる周りの人間の、人を思う心の表現も見事だった。

自分の居場所が見つからずにいたスズが、三人のお姉ちゃんに包み込むように育てられ、最後の台詞を言う。
その余韻で映画をしめるところなど、さすが是枝監督。
抜群に最高の映画、という評価ではないが、ずっと忘れられない映画ではある。

栗太郎