「梅酒のような人間関係」海街diary はんざわさんの映画レビュー(感想・評価)
梅酒のような人間関係
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●感想・考察
この作品は多くのシーンを使って四姉妹の内側と外側を描き、人間にある複雑な内面を表現しています(気丈で繊細な「幸」、愛を求め与える「佳乃」、マイペースで空気を読む「千佳」、大人で子供な「すず」)。特に「幸」と「すず」は複雑な幼少期を経験しており、出会いをきっかけとして、押し殺した感情に徐々に向き合っていくようになります。このように複雑な内面を抱えて生きる四姉妹には、自然と感情移入をしてしまう親近感や魅力があると感じます。
画面から溢れる「透明感」も本作の特徴です。役者が綺麗なことは勿論ですが、物語の節目に「白」を基調としたシーンを挟むなど、演出面でも工夫が見られます。特に、映画中盤にある釜揚げしらすのシーンは照明だけでなく、衣装や車にも工夫が見られ、邪魔な色が一切ありません。音楽も美しい歌声が流れ、画面いっぱいに透明感が伝わってきます。
●評価について
時間とともに味を増す「梅酒」のような人間関係が本作のテーマですが、それを待ちきれない観客も多いと思います…。映画にしては人間関係が複雑ですが、その理解が物語を追う上で必須であるため、多くが「何となく綺麗な作品」で終わってしまいがちかなと感じました。また、総じてシリアスな脚本ですが、クライマックス(「幸」と「すず」が高台へ登るシーン)が観客の心に訴えかけるには少し弱かったかなと思います。
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