劇場公開日 2015年6月27日

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「老境に入る夫婦の何という饒舌。互いに自分の論理を主張して一歩も引かない。」雪の轍 ezuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0老境に入る夫婦の何という饒舌。互いに自分の論理を主張して一歩も引かない。

2022年2月17日
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物も言いたくないほど冷え込んだ夫婦なら、互いに無口になってしまうものだろうが、老境に入る男と女の何という饒舌。互いに自分の論理を主張して一歩も引かない。

「自己満足の駄文書き」と罵られた洞窟ホテルの主人と、暇を持て余し「やることもないのか、趣味の一つも持てよ」とばかにされる妻が丁々発止の大激論。書きたくても書けないパソコン前の夫と、すぐ近くのソファーに寝そべって悪態を吐く妻。ものを投げたり、こわしたり、挙げ句の果てに殴ったりはしないところが凄いのだ。

国民性というより無口の裏返しを描くとこうなる、と受け止めたい。「本当はこう言いたいんだ」と。そして葛藤は夫婦間にとどまらないのだ。なにか身につまされる話で切なくなる話ではある。

67回カンヌ国際パルム・ドール大賞・国際映画批評家連盟賞

ezu