「どこにも救いが無い様なラストの映画ながら、面白く、そして胸を打つパワーがお見事。」テロ,ライブ Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
どこにも救いが無い様なラストの映画ながら、面白く、そして胸を打つパワーがお見事。
キム・ビョンウ脚本・監督による2013年製作(98分/G)韓国映画
原題または英題:The Terror Live、配給:ミッドシップ、劇場公開日:2014年8月30日。
「ショウタイムセブン」が面白かったので、原作映画のこちらも視聴。韓国政治権力者の独善性を描ききった傑作映画という印象。
元TVキャスターのハ・ジョンウとテロリストのやり取りがテンポ良く進んでいく最初の方の緊張感が素晴らしい。ソウル市内の漢江にかかる麻浦大橋の爆破は、「ショウタイムセブン」と異なり、かなりの迫力を感じた。その壊れかけた橋上からハ・ジョンウが未だ愛している元妻(キム・ソジン)が記者としてレポートとしているという設定もなかなかで、胸を打った。
犯人に爆破されたビルが倒れてきてTV局がメチャクチャとの展開は、まるでパニック映画の様相で戸惑いは覚えた。しかし、人命を軽視する大統領と対峙して主人公が次第に犯人の心情に共感を覚えておく流れ、元妻の死、そして最後助けようとした犯人があっさりと警察に射殺されてしまう流れには、制作者たちの政治権力者への激しい怒りや主張、そしてパワーを感じた。
犯人に変わって爆弾スイッチを押し、自ら自身とTV曲を爆破した主人公キャスターに、共感を感じると共に、このような救いが無いような映画を作って、それが大ヒットする韓国社会に敬意と羨ましさを感じた。
「ショウタイムセブン」も優れた映画と思うが、この優れた原作に比べると、悔しいが、かなり負けているなあとは思ってしまった。
監督キム・ビョンウ、脚本キム・ビョンウ、撮影ピョン・ボンソン、美術キム・シヨン、
音楽イ・ジュノ。
出演
ユン・ヨンファハ・ジョンウ、チャ報道局長イ・ギョンヨン、パク・ジョンミン主任チョン・ヘジン、パク・シヌイ・デビッド、ジュ長官キム・ホンパ。