「原作ファンとしては…」バクマン。 ぴーちますたーさんの映画レビュー(感想・評価)
原作ファンとしては…
私はバクマン。を連載当初からずっと見て来て、ジャンプでも単行本でも読んでアニメも全話録画してDVDに落として…年始の総集編とかまで見てたくらいバクマン。が好きでしたが…はっきり言って、”この映画はバクマン。じゃない”って感じです。
バクマン。の設定を借りた別物です。せっかく映画代を払ったので最後まで見ましたが…周りのお客さんの中には、つまらな過ぎて途中で帰ってしまう方もチラホラ…おそらく途中で帰る方は原作ファンの方々かと思われます。バクマン。の他のレビューを読んでみても、面白いとしている方々は俳優さんのファンなんですよね…。原作を知らない方が見れば面白いのかもしれませんが、原作が好きな人にはお勧めできません…。映画はおろか、今後レンタルで見ることも勧めません。お金と時間の無駄です。
しかし、俳優の方々の演技は素晴らしかったと思います。これだけ原作を無視…いえ、大切にしていない内容の作品が見ていられるくらいの作品になれたのは、一重に俳優さん方の頑張りだと感じますし、一部の俳優さんを除いては原作をよく読んでキャラを理解し役に徹している事が伝わってきました。本当に、俳優さんに恵まれたんだと思います。
気持ちネタバレをしつつ、辛口で感想を書きます。キャラの口調や言葉使いも全然違う、亜豆は『超〜』なんて言葉を使う子じゃない、『すごく〜』って話し方だと思います。また主人公たちの呼び方もお互い最初は”おい”とか”お前”って呼び合ってたのに途中からいきなり”サイコー””シュージン”呼びで、何故そんな呼び方なのか、知らない人は分からないと思います。それに香耶ちゃんが出てこないので亜城木夢叶の名前が誕生しない…。服部さんなんか全然頼りなくて、誰おま状態。。。あと、大切にしている3つの事もジャンプならではの”友情、努力、勝利”に差し替えられていて、川口たろうが言っていた3つの事は一切出てこないという物悲しさ…。サイコーが倒れ、編集長に休載指示を受けた時、再度連載する為にはあの台詞があったからこそ編集長が折れたんだと私は思っています。それなのに一切カットしてて…編集長の威厳さというか、緊張感がなかった。新妻エイジなんて…原作では憎めないキャラなのに映画では憎らしいだけだった。愛嬌がなくて、発破をかけてるつもりなんだろうけど、原作に比べるとエイジはんな事しねぇよ!って事ばかり言ったりしたりで腹立たしかった。更にサイコーは最終目標がちゃんと2人の夢が叶う事だったのに、亜豆は声優になる事が1番になっちゃって、当初の目的が映画の途中でなくなってる状態。それに原作の様な強い意志のある亜豆じゃなかった。簡単に話すし会うし電話してるし…ケー番も既に知ってる感じで、バクマン。ならではの2人の恥ずかしいくらいなピュアさが感じられず、映画は漫画家になる事だけをやっていて…地味さを出さないために変なアクションとか入れてて無駄。あれを入れるなら、もっと亜豆との慎重な恋愛を表現して欲しかった…。連載が始まってるのに、アシスタントも無しで漫画書いてて驚いた。アシもなしで高校通いながら週刊連載をできると思われる表現は連載を頑張っていらっしゃる漫画家の先生方に失礼だと思った。変な所で現実味を出して、必要な所で手を抜いて…真実が伝わらない感がすごいある。もっと実際だったり原作だったりを大切にして欲しかった。これでは原作の先生方にも失礼なんじゃと思ってならない。原作ファンとしてはショックを受ける内容だった。
良かったのは、先に言ったように俳優さん方の演技くらいかと…。原作を知らず、更に原作に興味がない方ならそれなりに楽しめるんじゃないですかね…原作が好きな人が見るものではありません。以上、長々と批判的な事ばかり書いてしましましたが正直な感想のつもりです。失礼しましたm(_ _)m