「残念!豪華キャストな凡シネでした。」新宿スワン 年間100本を劇場で観るシネオさんの映画レビュー(感想・評価)
残念!豪華キャストな凡シネでした。
予告編のみの知識ですが、
きっと原作ファンは
がっかりしたでしょうね。
とにかく脚本と演出、構成がひどい。
エピソードがたくさんあるけど、
全てが状況不足で宙に浮いています。
ツジツマが置き去りにされて、
全篇に渡ってなんか気持ちが悪い。
そのうえ、人物設定も浅かったですね。
綾野剛さん演じる主人公が、
ブレることないいいヤツなのに、
終始魅力的に見えないのは監督の罪。
漫画だと、違うんでしょうけど。
山田孝之さん演じるヒデヨシなんて、
あれじゃただのサイコ野郎。
リアリティがなさすぎです。
台詞もいちいち嘘っぽいし。
最後の決闘シーンなんて、
もう笑っちゃいました。
そんなこと言わないよーって。
ずいぶん原作から、
改変されているみたいですけど。
映画の軸は、
バイオレンス・アクションでもないし、
青春群像でもない。
振り切れずどっちつかずなカンジ。
漫画を映画化するなら、
その世界観やディテールに
敬意を払うべきだし、
変えるのなら
監督なりのカタルシスをもって、
仕上げて欲しかった。
舞台背景もそう。
学生の頃、
歌舞伎町で3年バイトしてたけど、
街に飲み込まれそうで怖かった。
ヤクザやチンピラもたくさんいたけど、
どん底から這い上がろうとしてた人たちの、
うねりがスゴかった。
こんなステレオタイプの想像や上っ面で、
片付けられる街じゃないです。
春に公開した「さよなら歌舞伎町」のほうが、
数倍良く描かれていたかな。
余談ですが
よく歌舞伎町のまん中で
ロケしたなぁと思ってたら、
なるほど
人物のライティングが合成っぽい。
うーん、
一言で言えば
奇抜な暴力と必然のない風俗描写で、
「豪華キャストな凡シネ」ですか。
そのくらいの、映画。
満員の劇場は7割くらいが女子でしたが、
ちょっと辛そうでした。
いろいろ書いてしまいましたが、
綾野剛さん、山田孝之さん、伊勢谷友介さん 、
沢尻エリカさん、金子ノブアキさん、
役者陣は本当に素晴らしかった。
彼らのファンなら、もちろん楽しめます。
ああこんなメンバーで、
この内容なんて...。
実にもったいないなぁと
思ってしまいました。