「みにくいアヒルの子が集う、ここは新宿みなと町…。」新宿スワン たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
みにくいアヒルの子が集う、ここは新宿みなと町…。
新宿の新米スカウトマン、白鳥龍彦の成り上がりを描くピカレスク・ロマン。
監督は『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』の園子温。
主人公、白鳥龍彦を演じるのは『GANTZ』シリーズや『ヘルタースケルター』の綾野剛。
龍彦を敵対視する野心的なスカウトマン、南秀吉を演じるのは『猫の恩返し』『悪の教典』の山田孝之。
スカウト会社「バースト」の幹部であり龍彦の兄貴分、真虎を演じるのは『カイジ2 人生奪回ゲーム』『るろうに剣心』シリーズの伊勢谷友介。
夜の街に生きる女、アゲハを演じるのは『パッチギ!』『ヘルタースケルター』の沢尻エリカ。
バーストのライバル会社「ハーレム」の社長、松方を演じるのは『猫の恩返し』『SPEC』シリーズの安田顕。
新宿を牛耳る暴力団〈紋舞会〉の会長、天野修善を演じるのはテレビドラマ『半沢直樹』や『トリック劇場版 ラストステージ』の、名優・吉田鋼太郎。
龍彦がスカウトした女性、栄子を演じるのは『SPEC』シリーズや『わが母の記』の真野恵里菜。
園子温・綾野剛・伊勢谷友介・沢尻エリカといった本物のアウトローが集結した、アウトローのためのアウトロー映画!それが『新宿スワン』!!こいつぁリアリティが違いますぜ!!!
原作者は漫画家・和久井健。
「東京リベンジャーズ」(2017-2022)の大ヒットにより今や超人気漫画家となった和久井先生ですが、デビュー前は実際にスカウトマンとして働いていたらしい。
本作の原作となった同名漫画は、なんと著者本人の経験を元に描かれた作品なのです(まぁ読んだことはないんだけど😅)!
…スカウトマンから超人気漫画家に転職とは、すごい人生歩まれてますなぁ〜。
スカウトマンといえば聞こえはいいが、要するに女衒な訳でね。彼らはヤクザとも繋がりのある、完璧な闇の住人。
龍彦は「スカウトした女性はみんな幸せにする」という目標を掲げているが、もちろんそう上手くはいかない。
奴隷のような労働環境、シャブ中、自傷、そして自殺…。
夜の街に生きる女性の過酷さを綺麗事抜きにして描いている点に、本作の良心が光る。
園子温監督の作品を初めて観たのだが、なるほど国際的な賞を獲っているのも納得な手際の良さ。
冒頭15分で、主人公の人物描写、メンターとの出会い、修行と成長、ライバルの登場という漫画原作映画お馴染みの件を完璧に描き切っている。
正直中盤から終盤にかけてちょっーとテンポが悪くなるんだけど、少なくとも序盤から中盤にかけては軽快なテンポで進む小気味好い映画でした。
一部ミュージックビデオ的なダサい演出はあるものの、全体的にはコメディ要素多めの正統派Vシネって感じでなかなか好印象。
ただ、個々のエピソードが上手く繋がっておらず、なんだか凸凹した映画でもあった。
アゲハのエピソードや栄子のエピソードはこの映画の中核をなす大切な部分ではあるものの、龍彦vs秀吉という縦のストーリーラインからは少々逸脱しており、異物感が否めない。
コレが連続ドラマだったら違和感もないのだろうが…。
こういう凸凹感は長編漫画を原作にした映画にありがちな欠点であり、本作でも上手くクリアーすることは出来ていなかった。
結局涼子ママから手渡された戦力外リストが何の意味もなかったり、キレモノであるはずの秀吉の計画が杜撰でバカバカしかったり(関さんとその情婦はきっちり始末しておかないとダメでしょ)、龍彦と秀吉の因縁関係の描き方がなんだかなぁ…だったりと、気になる脚本の穴はあるもののピカレスクな魅力に溢れた快作だと思います。
何より新宿という街がとても魅力的に映っている。「街」を題材にした映画で、その対象となる街を魅力的に撮影出来ている。それだけでもうスーパー合格映画です💮
ハリウッドのギャング映画とは一味違う、日本の裏社会をこれでもかと描いた映画。
新宿へ訪れたくなるか、それとも避けて通りたくなるかはあなた次第です!
共感出来ますが、日本の裏社会をこれでもかと描いているとは思いませんでした。裏社会だけに、コンプライアンスを遵守して、ブラックを実行してあると思います。まぁ、たまにはこんな映画も良いのかなぁと思い増した。