劇場公開日 2015年7月10日

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「残念」ターミネーター:新起動 ジェニシス 昴 晃一郎さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0残念

2015年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

やっちゃったなぁ、やりすぎちゃったなぁ、というのが第一印象。

何処からレビューしていいやら…^^;

先ずは良かった点。

 ■シュワちゃんの復活。これは素直に喜びたい。
  現在のシュワちゃんをT-800として復活させるべき設定は恐らくあれしかなかったかというのは納得。

 ■サラ&T-800コンビの良さ。
  サラ・コナーを演じたエミリア・クラークはあの若さと美貌ながら一生懸命サラ・コナー役になっていたのは賞賛して良いだろう。

 ■オブライエンのフューチャー。この人が未だT事件を追い続けている事実にビックリ。
  もって出番があっても良かったかな^^

不満。

 ■ターミネーター同志の戦い。
  特にvsT-1000。折角イ・ビョンホンを起用したなら
  ロバート・パトリックに匹敵する位のアクションはあっても良かったはず。あんな軽い扱いはすべきではない。
  個人的には、この戦いを非常に楽しみにしていただけに残念の一言に尽きる。T-1000はもっと強いはず。
  (イ・ビョンホン自身は頑張っていたと思う。無機質感は感じられた。それだけに、あの程度?と凄い不満感。
   結局は【T2】でロバート・パトリックがやりきってしまったか!という結論になってしまった。勝てなかったか…)
  逆に言えば、あのような扱いならば、もっと無名の俳優さんでも充分だと思う。

  vsT-3000。こいつが控えていたのでT-1000が不当な扱いになってしまったのだろう。
  しかも、戦闘シーンに迫力と緊迫さが全然足りていない。CGに頼りすぎてしまっていた。
  【T2】におけるT-800vsT-1000の方はロボット戦とは言え、もっと肉質感があった。しつこさも全く以て不足。
  新型ターミネーターは必要であろうが、物足りないよ、全てにおいて。

 ■スカイネットの存在
  すり替えられた。【T2】で破壊された筈の問題が、結局は無駄だったと。

 ■ジョン・コナーの扱い
  これが本作一番の失敗だと言わざるを得ない。Tシリーズの根幹を全て崩してしまった。
  それと、毎回思う事は【T2】にてエドワード・ファーロングがジョン・コナー少年を天才的に演じた故に
  以降のキャスティングは不満だらけである(サラ・コナー・クロニコル含む)。
  もっと正統路線でいける俳優さんとかは沢山いると思うのだが…

簡略に纏めるとこんな感じだが、ストーリー自体は頑張っていたと思う。映像技術も素晴らしい。
しかし、【T1・T2】の完成度の高さから以降シリーズへの要求度はかなりハードルが上がってしまった。
そして、【T3・T4】は黒歴史扱いになってしまうのである・・・

で、本作。

ジェームス・キャメロン自身もアイデア等出していたからであろうが、
これが正統【T3】であると言ってしまったのは至極残念。
制作サイドの意気込みは買うが、やはり【T1・T2】以上のものは作れなかった。

オマージュ・シーンは確かにあるが、それだけである。意味はない。

タイム・パラドックス系が頻繁に陥りやすい並行時間軸ストーリーを複雑のまま収拾がつかない状況になってしまった。
こういうのはメイン軸1本を太く持ち、そこからサイド軸のストーリーを上手く繋げなければいけないのだが、本作はそれができていない。
もう『なんでもあり』である。それは反則だろう。。。

シュワちゃん(T-800)の演出も不憫。現状からして仕方ない部分は確かにあるが、
それを補い、過去作以上のT-800を創生しなければいけない。難しい問題である。
T-800に人間性を求めるのは【T2】でも行われたが、本作の様なコメディ風ユーモアではなく
【T2】みたいなクールなユーモアの方がしっくりくる。魅力が半減してしまった。

本作のメインキャラはT-800でもなく、サラ・コナーでもなく、ましてやジョン・コナーでもない。

 【カイル・リース】の物語である(あるべきだった。あの演出であれば)。

それが、上記3人の余計な演出に拠ってカイル・リースの話がぼやけてしまった。

そして、本作には【愛】がない。

 【T1】カイル&サラの一夜の恋愛
 【T2】ジョン&T-800の親子愛

本作で言えばサラ&T-800がそれに相当するのであろうが、あれに【愛】は感じなかった。

更に極めつけ。【感動】がないのだよ、感動が。
【T1・T2】ではラストが感動的であった。本作は感動出来なかった。不毛さしか残らない。

しかしながら、物語は続くのである…しかも、謎が残ったまま。
あのラストから、どう話を紡いでいくのか興味はあるが、あまり期待はしない方が良いだろう。

なにはともあれ、お帰りなさい、シュワちゃん。

昴 晃一郎