「ターミネーター再起動なるか?」ターミネーター:新起動 ジェニシス 熊平さんの映画レビュー(感想・評価)
ターミネーター再起動なるか?
まず最初に私はシュワちゃんのファンだが、州知事から再び映画界に戻ってきてくれた時に嬉しさと共に不安感があった。それはターミネーターを再び演じるということだ。シュワちゃんが戻ってすぐにこの噂が出始めており、それが事実であることが判明した時、私は「あぁ・・・やってしまうのか」と。
シュワちゃん=ターミネーターは当然のことだが、彼は既に65歳を超えてしまった。日本で言えば前期高齢者に該当してしまうのだ。
つまり私の思いとしては「過去の栄光に拘らず、今のシュワちゃんだからこそできる新しい作品にチャレンジして欲しい」というものだった。
しかしファンである以上、観ないわけにはいかない。ましてや「ターミネーター」というからには尚更だろう。この作品は私にとっても特別な思いがある。
前置きが長くなったが、本日観てきました。
まず最初に「よくぞ帰ってきてくれた!」と言っておこう。
観る前に抱いていた不安感は見事に打ち砕かれ、非常に充実したひと時になった。
その要素としては現在のシュワちゃんに(現67歳)とT-800の設定が非常に適した形になっているということが大きいだろう。
過去のシュワちゃんが演じたターミネーターは、上下レザーの服装にサングラス&大型バイクを乗りこなし、重火器を容易く扱い、人間離れした力を持つという「お馴染みのスタイル」。
しかし今作の舞台となる新たなる次元のT-800は「年相応の外観」へと変わっており、サングラスも大型バイクもなし、自然な形となっている。また外観だけでなく中身=金属骨格の方にも「老い」を彷彿させるシーンがある。しかしこれらは違和感を覚えるような演出ではない。T-800は本来人間と同じ生きた組織をその骨格上にまとい、人間社会に溶け込み任務を遂行する。つまり月日が経てば当然表面上の変化が発生してくる。また中の骨格も長い歳月が経てば多少のガタも生じるのは自然と言える。(我々の身近にある車と同じようなものだ。メンテナンスをしなければ徐々に不備が生じる)
またその「性格」も重要だ。ターミネーターに「性格」というのも変だが、今回のT-800は幼少期のサラを守るために現われており、その後もサラと共に過ごし様々な人間の心理を学んできたと思われる。その結果より人間により近ずいた存在になっており、従来のターミネーターよりも親しみやすい印象・更にその外観が合わさり特有の「冷たさ」はではなく「温かさ」が生まれているように思えた。
これらの要素が今のシュワちゃんを再びターミネーターを演じる上での大事なものになっており、もしこれが今までのスタイルをそのまま再現したら恐らく観客達は「無理してるなー歳なんでしょ?」と思われマイナス要因になりかねない。私は良い選択だと思っている。
しかし「それってもうターミネーターじゃなくね?」と思う人もいるかもしれない。いや、いるだろう。
安心して欲しい。人間に近づいたとは言え、彼は人間ではなくターミネーターだ。状況に応じてその人間離れした力を発揮する。
壁や鋼鉄のドアを簡単にぶち破り、バスを片手で支え、敵は徹底的に叩きのめす。
そして今回の戦闘の見所は「肉弾戦」が多いというところ。
もちろん銃火器を使用した派手な銃撃戦も見どころではあるが、やはり「人間離れしたパワー」を発揮するには「肉弾戦」だろう。
今回の敵であるT-3000が性能的に上回ると分かっていながらも、壁をぶち破る体当たりや、重いパンチのラッシュ、投げとばししなど胸が熱くなる場面が多い。
そして敵対するT-3000も魅力的なキャラクターになっていた。その機能はナノ粒子細胞から形成されており、ジョンコナーを取り込んでいる。なので外観から記憶や振る舞いは人間そのものでサラとカイルを翻弄し「機械でも人間でもない」存在となっている。このT-3000の良いところは「強いけど勝てないこともないかもしれない」という力の設定。
あまり過去作を引き合いに出すのもあれだが、T-Xを思い出してもらいたい。未来兵器は内臓してる、機械のプログラムはいじくる、力はある、防御力もやばい・・・という「力の差が大きすぎ」てしまい、なんじゃこりゃ状態に。
その観点からいくと今回のT-3000は程よい(現実味のある)強さといえるだろう。
さて完全にシュワちゃんのみに焦点を合わせてしまったが、物語も満足いく内容になっており、サラやカイルもキャラが崩壊することなく描かれ、個人的に物議をかもしたT-1000を演じたイ・ビョンホンも本家ロバートパトリックまでとはいかないにしろ、かなり再現できていたし、今作が単なるリメイク・リブートではないのは間違いない。
新たに刻まれていく歴史をカイル、サラ、T-800はどのようにむうかえ撃つのか?
そして、個人的に一番気になったあの激戦から生存したT-800。
欠損箇所を液体金属で補ったと思えるT-800とT-1000型のハイブリット型になったということか?
(この点は序盤のT-1000が昨日停止させたもう1つのT-800を、自らの身体の一部を破損箇所に流し込み再起動させたとこが伏線と思われる)
色々気になる点を残してくれたが、今作がターミネーターの新たな起爆剤となり続編を更に盛り上げてくれることを期待したい。
あと3回は観に行こうかな!!