「平和な時代が文化を育てる!」百日紅 Miss HOKUSAI rahiga58さんの映画レビュー(感想・評価)
平和な時代が文化を育てる!
葛飾北斎の娘、葛飾応為(お栄)の物語。
お栄は男勝り。
眼の見えない妹に、彼女は優しい。
平和な江戸時代の生活が一種の理想郷として描かれる。
自然との調和。
また平和な時代が文化を育てる。
渡辺京二『逝きし世の面影』のような牧歌的世界。
同時に、人々の心のうちに、妖怪がまだ存在する。
また地獄における地蔵信仰。
廓が理想化されているが、当時の江戸では梅毒など性病の猛威があったはず。
皮膚病も蔓延していた。
だがそれらは当たり前のことで、変えられない自然のようなものだった。
精神世界、人々の心、感じ方は、たぶんこの映画のようだったろう。
政治権力の世界、地方の農民の貧窮した状況は描かれない。
封建社会の身分制も、貧富の格差も、当然で当たり前だから、そこで生きる者たちには、主題にならない。
応為(お栄)は、晩年は仏門に帰依したとも、また北斎没後8年目(1857年)、家を出て以来消息不明とも言われる。
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