劇場公開日 2015年5月9日

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「メインテーマは姉妹愛?」百日紅 Miss HOKUSAI odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0メインテーマは姉妹愛?

2019年10月3日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 お栄の絵の特徴、春画の背景は分かったが、レンブラントのような光と影の名画が生まれた背景は蝋燭の生活や火事見物にあったのだろうか、豊かな色彩感覚は可愛がったお猶の目の代わりをしたことで研ぎ澄まされたのだろうか、エピソードの並びからでは読み取りにくい。
ドラマ性や筆致表現、陰影など美術表現は秀逸だがやや纏まりに欠けている気がした。
「お栄」は、えらの張った四角い顔で顎がしゃくれていたという記述が残っているが「片桐はいり」似では個性が強すぎるし、アゴの代わりに眉を極端に太くするイモトメークで個性的な顔立ちに脚色したのだろう。好みの話なのだが大人が泣けるアニメを売りにするなら通俗的な目の大きいアニメ顔で可愛さを狙うより艶っぽさが欲しかった。
豪華俳優陣と宣伝文句にあるが声優が豪華である必要はないだろう、そんな予算があるなら監督の納得の行く画作りに回すべきだ、北斎の松重さんはベテランらしい味があったが「へた善」の浜田岳のように声を聴いただけで顔が浮かぶ俳優は画のキャラクターの邪魔をする。
製作者からの聡尺90分以内の制約からだろうかエピローグの橋のシーンでのお栄の語りが早口過ぎてあまりにも不自然、メインテーマが姉妹愛なら百日紅と「お猶」の絵で終わっても良かったのでは・・。

odeonza