「臨場感炸裂。」フューリー ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
臨場感炸裂。
この監督の作品といえば先日観たばかりの「サボタージュ」。
今回は戦争映画だ。また肉片や内臓が飛び散るのか(汗)と
イヤな予感がしたが、ブラピ効果?でその辺りはかなりソフト。
海軍や空軍が持て囃される時代に、陸軍戦車をドーンと描く
製作陣の心意気は大したもの。監督には海軍所属歴があるし、
ブラピはバックがアンジー姐さんですから、アメリカ万歳な
戦争映画になっていないところが、好意的であり挑戦的。
当時のドイツ軍が米軍相手にオロオロしないと思うんだけど。
(でもかなり無能な動きをしていた気はします^^;)
本物の戦車で撮影したことも話題になっていたけど、俳優陣の
リアル戦場体験合宿も凄かったらしい。もう二度とあの訓練は
やりたくない!って最年長ブラピはやや苦い顔でインタビューに
応えていた。しかしそういった努力が功を奏して臨場感溢れる
映像が完成されている。観ていて本当に怖い。弾が飛び交い、
大砲が爆裂する陸上戦闘シーン。首を出していて大丈夫か?と
思ったとたんにドキューン!とふっ飛ばされる。さっきまで共に
食事をしていた一般人が爆撃であっという間に死体に変わる。
兵士達の過去やそれまでの対戦などは予期させる程度に止め、
ひたすら戦闘の毎日。新兵ノーマン目線で描かれるベテラン兵の
挙動は不思議であり恐ろしくもあり孤独と恐怖に満ちているのが
分かる。だから同じ戦車内で疑似家族のような連帯感を持つ。
おそらく自分の最期を看取るのがこの仲間達になるからだろう。
フューリーと名付けられた戦車のラストを観終えると、
これはほんの一部であったと分かる。彼ら以外の戦車内でも
同じような戦闘が相次いで、多くの兵士が死んだに違いない。
(なにせSSに突破されたわけですから)
目の前で日々恐ろしい戦闘が繰り返されて、しかしこれが仕事で
あるがゆえ逃げるわけにも諦めるわけにもいかず、正義を信じて
ただ前へ進むしかなかったという現状を否応なく理解させられる。
(いや、凄まじいのなんの。後半はややドラマ構成なんですけど)