「深い」フューリー 河純さんの映画レビュー(感想・評価)
深い
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実に良かった。いろいろなテーマが詰まっています。
最後まで見るとわかりますが、主人公は、ブラピ演じるリーダーではなく、新兵なんですね。
前半は、先輩4人が「人間の心を捨てた粗暴な人間」のように描かれ、「信仰心の厚さゆえに役立たず」である新兵と対照的な存在になっています。しかし決戦直前の、酒を回し飲みするシーンで、先輩たちも聖書の中身を熟知していることが明らかになります。
「勇敢に戦うことと粗暴は異なる」
「価値観が合わないように見えても、相手に何かが欠落しているとは限らない」
という、日常生活でも役立つ示唆があります。
最終的に、新兵だけが生き残るわけですが、そこにドイツ兵の「見逃し」が入るのがまた粋なところです。
戦争末期のドイツの内情など、批判すべきところは批判する。
しかし単なる「戦争反対」ではなく、勇敢に戦うことの意義もちゃんと訴えている。
そして、ドイツを一方的に悪者にしない。
バランスが実によくとれていて、示唆に富んでいます。
グロテスクなシーンも少なくないですが、見て損はありません。
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