「戦争を体験させようという意欲作」フューリー REXさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争を体験させようという意欲作
どれだけ御託を並べようと大義名分を振りかざそうと、戦場にいる兵士にとっては戦場はやるかやられるかの世界で、「ひたすら怖いもの」でしかない。
新人兵士は、子供だろうが市民だろうが、いつ自分に牙を向くかわからないから殺しておけ、と古参兵に教わる。そいつらを殺さなければ、結局は自分が殺される。どのみち死体が増えることには変わりない。
そういった理屈や理想が通じない生の現場を、戦車に取り残された死体の顔や、道いく死体を潰す音などを取り込み、なるべく視聴者に届けようとした意欲を感じる。
少しでも日常的に過ごしたい…そんな彼らが時折見せる横顔はあまりに普通。
恐怖がいつまで続くかわからない生活に、心の底から疲れている。
ラスト、そんなちっぽけな男たちがありったけの勇気を振り絞り、自分等が戦う意味を残そうとする姿は切なさを誘う。
多少アメリカ的なヒロイズムを感じはしたが、戦争に善悪はないという普遍性を持たせようとしたのだと思う。
話は変わるが、ドイツ人女性宅での出来事だけは解せない。私は女なので、主役から転じて女性側に感情移入して見ていた。
言葉の通じない男たちが、いつ自分に牙を向くか。誰が乱暴で、誰が理性的で話が通じるか。
おどおどしながら顔色を窺う女性たちの様子に、まるで自分がそこにいるかのようにビクビクし、とても情けない気持ちになった。
それなのに、何日間の逗留ならまだしも、出会ってすぐに敵国の女性が恋に落ちる訳がない。
戦場ではさっきまで笑いあっていた人々が、次の瞬間死体に変わる、という無情さを表したかったのかもしれないが、あの場面だけは男の幻想だと思った。
はじめまして。
占領地の女性とのシーンは確かに不愉快でした。
ご意見ごもっともと思います。
戦場の中でも、倫理感を示してもらいたかった。
その対比があって観客は考えると思います。
映画「メンフィスベル」で目標付近だから爆弾をおとしてしまえと言う
意見に機長(マッシュモディーン)は
付近には民家も沢山ある正確に目標を狙え!と搭乗員を諫めます。
この極限状態の中の良心が大事と思います。
その対比をして欲しかったですね!
もしこの記事を読まれましたら私の記事をよんでいただければ幸いです。
それでは失礼します。