イヴ・サンローランのレビュー・感想・評価
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ピエール•ニネが最高に、美しい
サンローランの伝記であるが、主演の演技と、貴重な衣装、当時のパリの空気感そのままの映像が、大変すばらしい作品である。
もう一度観にいく予定。
凡人には遠い世界
イヴ役の人、まぁ美しい方でした。イヴによく似た方でした。ヴィクトワール役の人、私にとってどストライクな美人さんでした。ウィノナライダー系ね。
お話は、きっと事実に沿ってるのでしょうねぇ。ドラッグが入手しやすそうな感じは時代なのか、地域性なのか…
イヴは天賦の才と、繊細さによって、生きずらかったんだなぁ。ゲイであることは、そこまで生きずらさに直結してないように観えたけれど、それもやはり地域性?なのかな。ファッション業界(つか芸術系全般は?)はもともと同性愛者多かったからとかかな。都会やってのもあるよね。
ピエールがいきなりヴィクトワールとしちゃったり、そういや冒頭でイヴはヴィクトワールに求婚してなかった?え?2人ともバイセクシュアルなの?つかピエールとヴィクトワールは喧嘩したんちゃうん??あれあれ?
などなど、恋愛関係は正直理解に苦しむところもあったのではあるけれども、美化してないところが良いとも言えるかな。
カールラガーフェルドの彼氏との本気の浮気とかも、イヴの言い訳が恋愛保守国ジャポン育ちのわたしには意味不明…でした。
天才だからこそ見られた景色と、天才であるがゆえに陥った地獄と。凡人には遠い振り幅が大きすぎて縁遠い人生を垣間見ることができました。
イヴが初めてピエールの別荘にいって、プールサイドで寝そべってるシーンが萌えでした。
イヴとピエールが街の中で追っかけっこしながらいちゃついてるシーンも萌えでした。
生き証人による限りなく事実に近い伝記
小学校5年生の時にテレビでコメデイフランセーズの芝居を見て、この世にこんな素晴らしい世界があったのか、と心底感動した。観たのはモリエールの「スカパンの悪だくみ」と、「悲しき性」の2本だ。舞台の上で、指先から足のつま先まで、よく訓練されたからだ全体を使って役を演じる役者たちのすばらしさに目を見張った。特にスカパン役の喜劇俳優の、体を自由自在に駆使して巧に笑いを引き出す役者の姿に深く深く感動した。喜劇というパワーに圧倒された。たかだか小学生の自分が、フランス語だったから字幕を読みながらのテレビ中継に どうしてこのときそれほど感動したのかわからない。ともかく、これを観てからは世界が違って見えるほど、舞台というものに感動した。
国立コメデイフランセーズは、1680年に、太陽王ルイ14世によって結成された、世界で最も歴史あるフランスが誇る劇団だ。役者たちは舞台稽古の前に、1時間かけて発声練習をするという。自分たちの言葉フランス語を大切にするフランスならではのことだろう。
映画「イヴ サンローラン」を演じた二人の主役俳優が、コメデイフランセーズの役者だという。確かに、ギヨーム ガリエンヌが運転していた車を止め、車を降りて、女性が車から出るのに手貸し、ホテルのドアまで歩いて女性を先導して中に入る、というただそれだけの30秒のフィルムが回る間の流れるような身のこなし方を見ただけで、ほほーっと感動してしまった。絶対に東洋人にはまねできないのと、普通の生活をして暮らしている普通の人にもできない。さりげないレデイファースト、身についたエスコートの身のこなし、それが身震いするくらい美しい動きになっている。体で表現する役者と呼ばれる人たちの動きは、まことに自然で無駄がなく美しい。
映画は20世紀でもっとも活躍したファッションデザイナー イヴ サンローランの伝記映画。
コメデイ フランセーズの役者ピエール 二ネとギョーム ガリエンヌが、生涯のパートナーだったサンローランとベルジュの役を演じている。現在もまだ仕事を続けているピエール ベルジュが映画製作に全面的に協力していて、1976年のサンローランがファッションに大ブームを引き起こす契機にもなったパリ ウェステインホテルでのオペラバレエ コレクションの発表などで出品された作品すべてを再現している。生き証人による限りなく真実に近い事実をそのまま映画にした伝記だということになる。映画化にあたって、サンローランのパートナーであり、共同事業者であったベルジュとしては、触れたくない過去や明るみに出したくない出来事もあったが、良かったこと悪かったことすべてを含めて、これがサンローランという男の人生だった、と述べている。
ストーリーは
イヴ サンローランは若いデザイナーとしてクリスチャン デイオールに認められデイオール社で働いている。彼にはデイオール社のトップモデル、ヴィクトリアという女性がいて、まわりからは恋人同士と思われていたが、サンローランに首ったけのヴィクトリアのベッドの相手を彼は勤めることができない。ある日、美術館で働くピエール ベルジュは、デイオール社のパーテイーでサンローランに出会う。ほどなく二人は恋に陥って、共に暮らし始める。社長であるクリスチャン デイオールが亡くなり、サンローランがトップデザイナーとして仕事を引き継ぐことになった。若すぎるのではないかと危ぶまれていたサンローランは、デイオールの最初のファッションショーで酷評される。すでに出来上がっているデイオールのイメージを継承して世の酷評に耐えながら仕事を続けることに耐えられなくなって、サンローランは独立を決意する。
サンローランは、トップモデルのヴィクトリアとわずかのスタッフを連れて、退社してサンローランブランドを ビジネスとして立ち上げる。パートナーのピエール ベルジュは、自分の仕事を辞めてサンローランの会社としての経営と運営を一手に引き受けることになった。事業が軌道に乗るには時間がかかったが、やがてサンローランは、ピカソの抽象画をヒントに直線と原色を使った婦人服を発表して世界の注目を浴び、事業として成功していく。もてはやされ、贅沢に慣れ、海沿いに別荘をもつ。デザイナーは、常に新しいインスピレーションを得て、新しい物を作り出すことが命だ。新しい刺激を求めてサンローランはドラッグとアルコールに、嵌っていく。若い恋人ができて、パートナーのベルジュは捨てられる。ヴィクトリアとの関係さえ、壊れていく。若い恋人の自殺、さらなるドラッグ、、、サンローランは自分でコントロールできない闇のどん底まで落ちていく。それでも何事もなかったように事業として成功させ、表のサンローランの顔を取り繕い、支え通したのがピエール ベルジュだった。というお話。
二人の繊細な心を持った男たちが出合い、恋に陥っていくシーンがセーヌ河をバックに美しい。細やかな男たちの愛の表現に胸が詰まる。ヴィクトリアがサンローランのアパートを訪ねてきて、「あらベッドルームが一つしかないのね。知らなかったわ。」とすんなりサンローランとベルジュの関係を認めるシーンもフランスらしい。天才的デザイナーで創造する人と、それを世に出すトップモデルと、またそれらを事業として成功させるマネージャーという3人にとって、そのうちの一人でも欠けていたらサンローランブランドはあり得なかった。3人の信頼と嫉妬と憎悪、、、奇妙な三角関係は、それだけで興味深いドラマになる。ベトナム戦争、カルチェラタン、学生革命といった新しい時代に、新しさを求めて、サンローランが身を持ち崩していく過程は痛ましい。それでも直線的で、清潔、高貴な香りのするサンローランブランドを世に出し、、事業として成功させて、今も継続させてきた人々の努力と誇りは評価できる。華やかなファッションショー、美への探求、豪華な舞台、見ているだけで楽しい映画だ。
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