「口説かれたい。」娚(おとこ)の一生 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
口説かれたい。
原作は知らなかったので、読んでいない。トヨエツが榮倉の足を
舐める?動作のことが取り沙汰されていたので、そんな雰囲気の
作品なのかと勝手に思っていた。観てみたら非常に琴線に触れた。
50代の枯れ男が30代の独身女に一目惚れするのはない話でもない。
となるとドロ&エロの世界かと思いきや、単純に恋愛をしている。
お調子者の不気味な男(初めは)、おまけに自分の祖母に恋をして
いたなんて気色悪いにも程があると思った男を次第に好きになる。
あぁこれだから恋愛って面白い。何の定義も持たないんだよな。と
観ているこちらの心が軽くなっていく。とにかく女性は条件で選び
たがるから、本当に相手のことが好きなのか?と疑問に思えるのだ。
今作の主人公つぐみは、仕事にも不倫にも疲れて祖母のいる田舎へ
移り住むが、祖母の死後ほぼ同時に海江田という男が離れに居つく。
海江田はつぐみに一目惚れし口説いてくるがそんな気にはなれない。
じゃあどうやって、この二人は恋愛関係に発展していくんだろうか。
ふしぎな風合いの中、やはりトヨエツのあの恰好だ。
白いシャツに下駄。ときたらあのドラマじゃーないか!常盤貴子が
出てきたらどうしようかと思ったくらい^^;往年のトヨエツが再び。
でもこの先生、男としては完全形ではないのだ。良いことは言うが、
男らしくない部分も情けない部分も自己中心的な部分も非常に多い。
追ってきた不倫男(向井君)を殴るシーンでは「ケンカをやめて~♪」が
頭でリフレインしたぞ。そして介抱されないと勝手にいじけてしまう。
子供みたいな男の行動を具に観せながら、でも好きなんでしょう?と
問いかけてくる演出がまた妙で、女の母性を奮い立たせて魅せる巧さ。
冒頭とラストの映像がリンクする染物干し場で抱擁されたいよ私も。
(相手を深く知っても好きなら大丈夫かも。性格や癖は一生だからね)