VHSテープを巻き戻せ!のレビュー・感想・評価
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VHSとその時代
VHSビデオの誕生から現在に到るまでの盛衰の歴史を、クリエイターからコレクターまで多数の人々へのインタビューというか“語り”で綴っていくドキュメンタリー映画。
β(ベータ)との規格競争の勝利から始まって、ビデオ販売、レンタルビデオの登場、テレビの予約録画機能、アダルトビデオの登場、ビデオ映画(Vシネマ)の登場……うわー、懐かしー、の連発で、考えてみりゃちょうど僕はまさにVHS世代と言っていいだろう。登場する饒舌なコレクター(やクリエイター)たちのマニアックな変人ぶりも楽しいし、B級スプラッタ映画が大量に作られたとか、『初体験 リッジモント・ハイ』のフィービー・ケイツのトップレスヌードみたいな繰り返し巻き戻してコマ送りやスロー再生したところの映像に乱れた筋が入っちゃうとか、とにかく懐かしい。日本人インタビュイーも多数登場しており、VHS史に日本が深く関わっていたことがわかる(押井守が何言ってるのか聞き取りづらく、そこにも字幕が欲しかった・笑)。
まさにVHSというのは1つの文化であり、その文化史の映画だと言ってもいいだろう。ただ、僕は世代ドンピシャだからすごく懐かしいし面白いけど、もっと下の世代、今の若者たちにとってはどうなのかなあ? 僕がテレビとかラジオの歴史を見るようなもんなんだろうか? この映画でもVHSからDVD(やBlu-ray)へ、さらには物理的媒体を必要としない配信への流れまで押さえてあり、個別の作品を見れるor見れないという生殺与奪の権を配信する側が握る時代になった(購入しても配信が打ち切られると無くなってしまう)ことを嘆き危ぶむインタビュイーが多かった。ま、とにかく興味深くて面白い映画でした。
VHSの歴史を面白おかしく知れる教材(ただしエロシーンあり)
個人的には非常に楽しめた。笑えるシーンも結構あったし、VHSとベータマックスのビデオ戦争についても知れたし、熱狂的なVHSコレクターが嬉々として語っている様子は同じオタクとして私も嬉しくなってくる。
VHSの歴史を学べる教材として素晴らしいなと思うところはありつつも、唐突にヌードが出てくるシーンとかもあるので、家族で観たりするのはおすすめできないですね。
意外なことにVHSの普及は日本の映画業界も大きくかかわっていたことが分かり、映画というものへの解像度が上がった気がしますので、映画ファンは観ておいて損は無い作品だと思います。
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ドラマや映画を家庭で楽しめるアイテム「VHS」。ホームビデオの普及もあり需要が広がり、ベータマックスとの熾烈な争いなどを経て1980年代には家庭用VTR規格の覇権を握った。現在はDVDやブルーレイに負けて大きく規模が縮小してしまっているが、現在もなお多くの熱狂的ファンに愛されているVHSの波乱万丈な歴史を辿るドキュメンタリー。
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私はギリギリVHSを使ったことがある世代です。本作に登場する熱狂的なVHSマニアたちには遠く及びませんが、VHSには思い入れがあります。私が小学生くらいの頃には既にDVDが出回っていて、あっという間にVHSはDVDに取って代わられたと記憶しています。なので劇中で語られるようなVHSの栄華を極めた時代については全く知識がありませんでした。
VHSの誕生。それが人口に膾炙していく過程。ベータマックスとの覇権争い。ポルノビデオの普及。海賊版VHSの普及。日本の映画業界とVHSの関係についてなど、VHSについて知識のない人でも歴史を辿れる素晴らしい教材になっていたと思います。私がこれをVHSの天敵のような存在であるアマゾンプライムビデオ(サブスク)で鑑賞してしまったというのも、何だか皮肉が効いてる感じがして良いですね。
先にも触れましたが、本作では唐突にヌードなどの性的シーンが登場するので万人にオススメできる作品ではないんです。ただこれは、VHSの普及について語るためにはアダルトビデオの需要が高かったことを語らねばならないため仕方ないことなんですよね。そこを中途半端な描写に逃げずにしっかり描き切ったことは、個人的に評価したいところですね。
90分ちょいの観やすい尺で観ることができて、映画と関連深いVHSの歴史を知れる教材としては優秀な映画であったと思います。家族で観てしまうとエッチなシーンで気まずくなる可能性があるので、アダルトビデオを観るようにこっそり鑑賞してください。それが、この映画の醍醐味です。オススメです!
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