ぼんとリンちゃんのレビュー・感想・評価
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なんじゃこれ~!!
庵野以来の天才かもしれない・・・小林啓一・・・このセリフ、全部シナリオに起こして演じさせてたとしたら演者も半端ないし、そもそも全く違う言語体系をこの監督ひとりでセリフに起こしうるのか???起こしうるとしたらやはり天才としか言いようがない太宰治か筒井康隆か・・しかもそれを映像に起こしている・・・・。
ハートがクソいてーのは君のせい
オタクって生き物は往々にして何もかもに理由をつけたがるんですよね って誰かが言ってた って誰かが言ってた って誰かが言ってた メタの無限後退で言葉はどんどん摩滅していく だからみゆちゃんにぼんちゃんの気持ちは届かない
ぼんちゃんのさらに何が悪いかって 人の話を聞かないこと 他者の世界のなかに妄想的に意味ある場所をつくり上げる絶望的ないとなみをしてるワケ これ鷲田清一の言葉ね
ぼんちゃんはリンちゃんとゲームをしながら「私はすべてをわかりたい わからないものをわかるようにしたい」と言ったけど わかるっていう精神作用は自分の外にあるものを自分なりの機序で自分の中に接収することだから そこにはどうしてもエゴという夾雑物が入り込んでくる
良いコミュニケーションとは 「私の"わかる"」と「誰かの"わかる"」を混同しない客観性ないし良心なんだけど ぼんちゃんにはそれがわからない それでもぼんちゃんが数少ないとはいえ幾人かの友達を持っているのはたぶんリンちゃんのおかげ
リンちゃんはぼんちゃんとは対照的にあんまり喋らない 言葉を煮詰めるだけ煮詰めてからやっと放つタイプ コミュニケーションが遅いだけで 不能というわけじゃない だから厳密にはオタクじゃないっていうか オタクじゃなくてもやっていけるっていうか たぶん数年後には彼女とかいるんだろうな普通に
たとえばべびちゃんと友情の契りを交わしたとき リンちゃんは明らかに困惑めいた表情を浮かべていた 友達になるためにわざわざそんなことする必要ある?的な リンちゃんにはちゃんと人との関わり方がわかってる
リンちゃんはぼんちゃんが行きすぎた言動を取るたびに人間関係の基本事項を示唆的に説いたりしてて まあぼんちゃんはそんなのろくすっぽ聞いてないんだけど でもそのおかげでぼんちゃんはコミュニケーションの端っこになんとかしがみつけている
べびちゃんは筋金入りのエロゲギャルゲーオタで部屋にkiss×sisとか夜明け前より瑠璃色なのポスターをベタベタ貼っている その割に一番マトモにコミュニケーションが取れている オタクコミュニティってほんとに大体こんな感じなんすよね 歳取れば取るほどオタクはどんどんマトモになっていく 社会に出てるからかな
とはいえ若者めいたパッションがすっからかんに消失したわけじゃない むしろ体裁を気にして我慢してることのほうが多い だからべびちゃんはいきなりぼんちゃんに抱きついた 愛の告白をした ぼんちゃんはべびちゃんのことを「性欲の権化」と揶揄したけど あれは本当に可哀想だったな 元はといえばぼんちゃんが「オタクなら自分を貫け」的なことを言ったからべびちゃんは勇気を出して告白に踏み切ったのに あれじゃ浮かばれなさすぎる
性欲を極端に排除しようとするのもオタクの特徴かもしれない 排除というか存在しないものにしようとする しかも自分のことは棚に上げて ぼんちゃんは自分が好きな男性キャラや周りの男をすぐ性的に交わらせようとするくせに べびちゃんの性欲やみゆちゃんのデリヘル勤務には心の底から嫌悪感を示す
みゆちゃんに気持ちが伝わらないのは ぼんちゃんが自分自身の二重性にまったく無自覚的だから というのももちろんあると思う 「とりあえず処女捨ててみなよ」と悪口をぶつけたくなるのもわかる
ぼんちゃんはもともと賢いのだから 自分を神聖視することさえやめればいろんなことがもっとうまくいくと思う ハートがクソいてーというぼんちゃんの言葉は紛れもなく本音だろうけど それ自分自身のせいじゃないすか?負けたり折れたり諦めたりするところから始まる人間関係だって世の中にはある 誰かから必要とされてると思い込むことでなんとか生きてるみゆちゃんは確かにちょっと歪んでるけど じゃあ間違ってるって言い切れる?
ぼんちゃんが主導する自己没入的な物語とは別に ぼんちゃんの妹の佐和子とリンちゃんの妹のくるみによるメタ物語のレイヤーがあるのも面白かった 佐和子とくるみは姉や兄の影響で多少オタクなんだけど 基本的にはただの女子高生で 意味もないことをペラペラ喋ることができる
立ち位置としてはこの映画を見てる我々そのものというか アタシたちオタクだけどちゃんと状況俯瞰できてますよ的な ちょっとズルいポジション でも最終的にはぼんちゃんたちの原物語に引きずり込まれて うっかり死の恐怖なんかを感じちゃったりする これが「この映画を他人事として俯瞰できる人間なんかいないよ お前がオタクである限り」という呪いだと思うとマジで怖い
例に漏れず私もオタクだから冒頭から見知ったボカロ曲がいっぱい流れてつい気持ちが高揚した
ハジメテノオト/malo
未来の歌/malo
巨大少女/40mP
ショットガン・ラヴァーズ/のぼる↑
白い雪のプリンセスは/のぼる↑
モノクロ∞ブルースカイ/のぼる↑
鎖の少女/のぼる↑
恋はきっと☆急上昇/のぼる↑
迷子のリボン/40mP
08〜11年あたりにボカロを聴いてた層にはクリティカルヒットなんじゃないかと思う てかこの選曲の妙はマジで何
かと思いきや中盤でみゆちゃんの元カレが出てきたときは壁に三島由紀夫のポスターやら高倉健主演『日本侠客伝』のポスターなんかが貼ってあって振れ幅のデカさに笑う
『ももいろそらを』で気になったので小林啓一作品を と思ってこれを見たけど こんな手痛いパンチを食らうとは思わなかった やっぱり和製ジャームッシュの名声をほしいままにしている(してるのか?)だけのことはあった いやホントにすごいこの人は
素晴らしい会話劇ですね。
小林監督祭り二本目です。できる限り鑑賞したいですね。
やはり小林監督の脚本は見事だなぁと感心です。
セリフやセリフ回しが僕の好みにぴったりなのでしょうかねぇ。本作はヲタクさんたちが主人公です。故に、アニメや漫画ネタのセリフがバンバン飛び交いますし、ヲタクの方々が使っているであろう言葉を多用します。
だから観る方によっては「なんのこっちゃ?」なセリフも多数ですが、僕はそこそこ漫画もアニメも好きですからついていけました(笑)でも、結構良いセリフあるんだなぁ・・ってこれまた感心。
さてさて、「ももいろ〜」鑑賞してから本作だったからかもしれませんが、非常にわかりやすく描かれた作品でした。実と虚、理想と現実、価値観の相違、社会を知るという違和感などなど、なんとも思春期終わりごろの若者なら誰でも通る(であろう)葛藤を描いています。
ヲタクという衣を着た頭でっかち(っぽい)で理想を求める子と、社会での生活という具体的な現実を生きる子の対比でそれらはクライマックスを迎えます。クラマックスは見応えあります。
答えは一つじゃぁないんだよなぁ。。。ってつくづく思いましたよ。みんな、それぞれ、自分の「正」の上に生きていっていいんだと思います。生き方は押し付けられるものではないから。けど、同じだけ気にかけてくれる友人、そばにいてくれる人は大切。・・・結構、ちゃんとしたメッセージが受け取れる作品なのではないかなぁ?って思いました。
あと。。。。大人ってだらしないなぁ、情けないなぁ・・・。世の中の大人ってこう見られているんだろうなぁ・・・しっかりしなくちゃぁな。
会話劇として秀逸ではありますが、それを具現化させる演者さんたちは本当に見事です。しっかりとヲタクです。(僕が持つヲタクさんのイメージ通りってことです)まだ二本目ですが、小林監督はどのように演技をつけているんでしょうね。「きっと居る」って思っちゃうんだよなぁ。凄いなぁ。感心です。
それと、長回し!!長台詞!いやいや、凄いですよ。
非常にスッキリ!楽しめる作品でした。良作です。
ぼん「アナルは出口じゃないの。入口だよ」
ぼん「自分に肉棒が付いていたら嬉しいなと思いますがノーマルだと思います。攻めたいだけです」
この作品の監督はAVの監督か変態なの?
100%高杉真宙目的で鑑賞
高杉以外知らない
それなら地味な高杉でも目立つと思ったがそうでもなかった
ダブル主演のカタチだが完全にもう片方の主演女優に喰われている
演技もそこそこルックスもそこそこだから地味なんだろう
『渇き』で真っ赤っかになった印象しかない
あと『見えない目撃者』でヒロインの相棒になったスケボー少年
彼は現場受けするんだろう
オタクのオタクによるオタクのための映画
だから気持ち悪い
でも面白い
しかし肉便器が登場した途端に辛気臭くなる
冒頭の活字の羅列はいただけない
高杉がナレーション入れて全て音読しないとダメだ
聞こえないから耳が悪くなったのかと思ったよ
やけに理屈っぽい映画だ
とくに佐倉絵麻演じるぼんのセリフが多い
いくら主役とはいえ長台詞よく覚えた
これだけ理屈が多ければ「何を言いたいのか分からない」と嘆く左脳ばかりを酷使する人でも理解できるだろう
その解釈が正しいかどうかは別として
ぼんはBL大好きな腐女子
理屈っぽく話は長い
話す内容はだいたい辛辣で下品
リンちゃんから姉さんと呼ばれているが幼馴染みで実の姉さんではない
姉さんというより姐さんだろう
べび役のおじさんはエグ味を除去した杉坂J太郎っぽい
美少女アニメ大好きなオタクおじさん
デリヘル好き
演じているのは落語家さん
なんかすごい芸名
石井裕也監督がインディーズ時代によく出ていた桂都んぼのような扱いを受けている
佐倉がとにかくでかい
173センチもある
日本の女子の平均が160未満らしいので明らかにでかい
そのせいで高杉が小柄に見えるが170だから日本人男性のだいたい平均
こうして見ると今回の高杉は小池徹平に似ている
だからこの作品を観ていたら小池が藤澤恵麻と共演した『ラブコン』を思い出した
あまり期待はしていなかったがそこそこ面白かった
会話劇だ
低予算でもなんとかなる
僕の個人的で勝手なイメージだがこの作品は東京だと下北沢でしか上映しなかった感じに思えてならない
実際は違うだろうが
怒涛のセリフ劇にのめり込む
まず、オタクの描き方がいかにもなステレオタイプに陥ってない感じがとても好い。環境にも容姿にもそれなりに恵まれた地方のオタクの屈託や、不細工な中年のキモオタが諦念と欲望と僅かな希望の間でふらふらしている感じなんかにもかなりの説得力がある。
この映画の最大の魅力は、なんといっても主人公ぼんちゃんの怒涛の語り。独特の早口で色々な引用を交えながら繰り出される会話の面白さは出色で、多用される長回しに頭がクラクラする。長回しの間にふと訪れる沈黙や、そこに流れる空気感もまた素晴らしい。
青春映画としても抑制が効いていて、綺麗事とも必要以上の悲劇とも無縁なのが好い。主人公2人の冒険の結果、なにかが劇的に変わったりはしないし、ビルドゥングスロマン的なわかりやすさもほとんどない。けれども、観終えてなぜか清々しい気分になれる不思議に魅力的な映画だった。
ヲタク・・腐女子・・見れてなんか満足
なんの予備知識なく観ましたが・・結構良かった。
ヲタクの世界・・・見れて良かった。ヲタクの日常ってなかなかみれないからこういうの見たいなーって思ってて・・
キモかったけど・・なんかみて良かったww 。
後半は~お友達がデリヘルで働いててその子を救出するって流れ。ありがちだけど・・彼女と正面からぶつかってゆくのがすっごくいい。
デリヘルで働く理由とか・・気持ちとか・・なんか妙に納得してしまった。
本当は心配だけど・・本当になにが正解なのかわからない。
若いって本当に混沌としていて・・だからなんでもできちゃうっていうか・・
腐女子の女学生なんかもチラチラでてきて・・本音で喋ってる。リアル。
どこか・・懐かしくって・・甘酸っぱい。ぼんちゃんの喋りもいいですねー。
あと・・高杉真宙さんに注目してしまった。底知れぬ存在感があります。台詞は少ないけど・・良かった。あーーこれからが楽しみです。
ポップな作品かと思ってましたが・・しっかりメッセージ性の高い作品だと思います。そこを味わえてよかった。うんうん・・。
幼稚な自己肥大…
なんとも複雑な気持ちが残る一本。
それだけ上手く練られた脚本と、べしゃりもりもりの長回しとで紡がれる話は、「オタク」の宣伝を超える魅力。
ただ…主人公役の女性のスキルがそれに伴わないのと、描写がクソ女過ぎてね…
で、冷めて星−1。
大作邦画より面白いのにね…
ただ、女性をますます嫌いになる作品、
あの、男郎ども!
オナゴに媚びるの止めよう!涙
もやもやするけど
見終えた後にすごいもやもやして何だろうって思ったけど、もやもやについて考えてたら、あれ?この映画実はすごい深いのではと思いました。風俗で働くのは悪い!かわいそう!と、オタク処女は思います。自分はなんにも経験してないのに。でも、経験しなきゃなんにも分からない訳ではない!いつも心に妄想です。完璧には分からないけど、妄想すれば少しだけ、なんとなく、ちょっとだけ、、分かる!でも、分かんない
オタクが自分の言葉を獲得する瞬間
長尺のカット、自分の言葉を持たない主人公など僕の大好きな『SR サイタマノラッパー』みたいだなあ。などと思いながら眺めていました。ただ大きく違うのは、ぼんはイックと違ってまさに彼女も何度か口にしていた「芸」を持っていないこと。その上本当に(ネットスラング、アニメ漫画の台詞も含め)他人の言葉でしか話せない典型的なオタク。佐倉絵麻さんの演技も自然で、もうそういうどこにでもいるオタクにしか見えない。だから見ていて気持ちが良くない…自己嫌悪なのかもしれない。
リンも言っていたように、ぼんはその上自分勝手。その独善性がピークに達するのがホテルでの口論のシーン。あのシーンで僕はすっかり⚪︎⚪︎⚪︎に肩入れして見てしまっていた。勿論周りの人を不安に不幸にする彼女の行動は責められても仕方ないものだけど。なので、ぼんのことはすっかり、嫌いと言っても良いレベルにまで思っていた。
でもぼんが、世間知らずで独善的なオタクが自分の言葉で悩み、人生について考える(最早哲学している)ラストシーンには不思議な感慨があった。ていうか書いてて思ったけどやっぱりサイタマノラッパーだこれ。イックが自分の言葉でラップを紡いだのに対して、ぼんはひたすらただ早口で喋り続けるのもオタクならでは感があって良い。そして、ここで核心を突いてるっぽい事を言うリンを見て、そして彼らがやっているゲームを見て「あっ」と膝を打った。どことなくオタっぽくない(実際はオタクらしい)リン役高杉くんのキャスティングにも納得がいった。上手いなぁ…。
唯一気になったのはキモオタのはずのべびちゃんの滑舌が良すぎで声が通り過ぎで見た目以外オタクっぽくないことですかね。
なんか見終わった後はもやもやしていたんだけど、こうやって整理してみるとすごく良い映画だったんじゃないかと思います。
のめり込みました〜
最初は不可思議な世界に頭の中は???がいっぱい。
でも途中からゲームにのめり込むように映像に目が釘付け、それにぼんちゃん役の佐倉絵麻さんがこれが初主演映画とは思えないくらいの怒涛の長回しの台詞に圧倒されました。
それに実在の女の子を見てるような不思議な感覚に、これが小林啓一監督の世界感と思わせる90分でした。
本を読んでからもう一度、映画館で見たいと思わせる映画でした。
これからの佐倉絵麻さんと小林啓一監督の活躍に期待してます。
なんという映画体験
見終わったあとこんなに高揚した映画は久しぶりです。怒濤の長回しの映像で、自分もそこに一緒に存在してそばで見ているような感覚に。
そして見終わった後は、ぼんちゃんはもちろん他の登場人物もこの世界に存在しているような錯覚に!
ふと登場人物それぞれの行く末を案じたり、みんな今頃何してるかななんて思ったり、またみんなに会いたいのでもう一度、いや何回でも観に行きたいです。
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