「愛する人ができたので人間食べるの止めます。」カニバル さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
愛する人ができたので人間食べるの止めます。
誰かを愛すると、少なからず自分のライフスタイルを変えざるを得ない場面があると思います。
男友達と、夜遊びを止めるとか。携帯2つに満タン入っていた男友達の電話番号を、全部削除するとか。スケジュール帳を見られてもいいように、暗号化するとか。食べたい時に食べたい物を食べる。朝食:サラダと炭酸水、お昼:サラダと炭酸水、夜サラダと炭酸水な食生活は止めるとか。夜通し、何日も何日も一日中ブルースをかけて浸るとか。お風呂に2時間入って、本一冊読み切るのを止めるとか。DVDを一日8本観て、話しかけられても生返事をするのを止めるとか。
本作は愛する人の為に、どれだけ自分を変えられるかという話です。
彼の場合は、何を止めたのか?
人間を食べることです。
カルロス(アントニオ・デ・ラ・トレ)は美しい女性を殺しては食べる、連続殺人鬼。
餌食となる女性達の肌がクリーム色で滑らかで、こちらまで甘い体臭が漂って来そうな美しさです。
そんなカルロスが、ニーナ(オリンピア・メリンテ)と出会います。ニーナの美しさに抗うことができない食欲が湧く一方で、カルロスはある感情に気付く。
今まで餌食にした女性には感じなかった、愛です。カルロスの中で、食欲と愛が鬩ぎ合う。結果、愛が勝ります。
でも連続殺人犯と餌食となりうる女性の関係と考えるから、なんだか恐ろしくなりますが。
人間を食べるのを止めるのも、DVD1日8本観るのを止めるのも、実は同じ理由からなんですよね。
どちらも、「愛する人の為」
けれどカルロスのように、自分の趣味趣向を潔く変えられない人が殆どではないでしょうか。
そう考えれば、なんだかカルロスが男らしく?見えたりする罠に陥ってしまう。そんな説得力のある映画です。