虐殺器官のレビュー・感想・評価
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感情がついていけない…
原作は未読だが、いかにも難解そうな雰囲気があったため、あらかじめ粗筋を確認してからの観賞。
この作品はとにかく作画のクオリティが高い。キャラクターデザインも小綺麗で今どき。戦闘シーンも格好良く、冒頭のシーンはまるで洋画を観ているようなオシャレさで一気に引き込まれた。
また作品の性質上、戦闘服で顔の一部しか露出していない場面が多く、人物の顔の作画が安定しない時も時折あったが、その欠点も声が補ってくれるくらいに声優さんたちの安定感もすごかった。
だがしかし、とにかく台詞が多い長い。
難解で小洒落た台詞回しでこの作品自体の雰囲気を説明し、自分がどういう理由でこういう行動をしているということをスラスラと淀みなく説明する。オシャレで癖のない作画と合わさって、言葉としては理解できるが、感情がついていけないというか心に落とし込む前に出ていってしまった感がある。
その割に感情統制されている主人公がルツィアに恋愛感情を抱く過程がすっ飛ばされていて、どうしたクラヴィス?状態に。
やはり難解な原作物を2時間の尺に収めるというのは無理があったのか。
なんかいだ
難解すぎてあらすじサイトであらすじを読んでようやく理解した。
しかも、あらすじを書いているサイトの人たちは原作ファンで、
映画自体は評価しているが、
映画では描がき切れていない部分が多いとのことでした。
中でも虐殺の文法という虐殺を起こす呪文のようなものがあると語られていましたが、
具体的にどのようなものなのか分からなくて、催眠術や人間の持つサディスティックな面と
どのような差別化されているのかがよくわからなかった。
またクラヴィスがルツィアに対しての唐突な恋愛感情や人工筋肉の
説明もごっそり抜け落ちていて全く感情移入や世界観への理解ができなかった。
しかしながらファンの方からは絶賛されていることもあり
ボクの理解不足なんだろうなあと思ったりして、機会があったら
原作を読んでみようかなと思いました。
話は興味深いが不満な部分が
原作未読です。
実在の虐殺事件に言及したり、紛争地域と先進国、良心や自由の概念などについて考えさせられる、興味深いストーリーでした。
言語文法に関することや、兵士の脳波調整に痛覚マスキングといったSF設定も面白いと思いました。
とは言え、説明的な台詞や自分語りが多いように感じました。
やはり原作を端折って説明している感があります。
クライマックスも、メロドラマのような雰囲気で丁寧に語り合う登場人物達には、あまり入り込めませんでした。
主人公が異様にヒロインに執着しているのは、捕らえられた時に刷り込まれた文法が愛情を増幅させるものだったからか、と勝手に解釈をしましたが。
そこは説明が無かったような気がしますが、見落としているのかも知れませんが。
ラストも台詞で語り、結局どうなったのか、分かり難かったです。
やはり、原作を読んだ方が良いのかと。
作画は、アクションシーンなど良く出来ていると思いますが、人物の顔などが安定していないように思いました。
絵柄は綺麗ですが、場面場面でタッチが違うというか。
ヒロインの顔は、当初は美しさが印象的なリアルなタッチで好みの絵柄でしたが、クライマックスでは違うような。
製作時に困難な状況があったようなので、仕方ないのでしょうか。
少年兵達を撃ち殺す残酷なシーンがありますが、テーマを考えると、ここはもっと細かく残虐に描写する方が良いのではと思いました。
こういうところが、綺麗でスタイリッシュなアニメーションでマスキングされてしまっているように感じます。
虐殺に必要なものは…
各地の虐殺の中心にいる一人の言語学者を特殊部隊の主人公が追うという話。
説明セリフがかなり続くがそこまで難解なことを言ってるわけではなく、話の筋は理解できます。ただ、グロテスクなのと併せて18歳は超えていたほうがいいかも。
押井守監督の『イノセンス』に近い感じですかね。
作品の軸の部分に対して無粋かもしれませんが、言語だけで虐殺したくなることがあるのか…?と思ってしまいした。
そこの説得力があまり感じられなかったです。
あとは主人公がルツィアに惚れる描写があまりなかった点、ラストも個人的にはイマイチだったかと。
繊細な眼球の表情
原作は既読です。
映画化をとても楽しみにしていました。
主人公の内面描写やラストに関して、映画は原作と異なりましたが、楽しく見ることが出来ました。
映像として一番印象に残ったのは、人物の造形のリアルさでした。特に、目の表情です。
伏せられた豊かな睫毛、間近で覗く目頭の内側の肉など、目のディテールがとても細かく、それぞれの悲しみや緊迫感が画面からよく伝わりました。細い線を積み上げるように描かれた人々は皆、実写とも違い、ストーリーに合っていたと思います。
そして、自分が楽しみにしていたこと、映画化に際して期待していたのは何かと思ったときに、
自分の想像力、読解力では十分に想像できなかった虐殺器官の世界を詳しく見たいという願望がありました。
海苔と呼ばれる最新機、降下していく棺桶、奈落で踊る若者たち。それらは、映画で叶えられたのではと感じています。
この作品は一時完成を危ぶまれたそうですが、無事公開されて本当に良かったです。
またブルーレイなどになったら見返したいですね。
死者はもう何も許すことが出来ないのだから
一度足りとも崩れない映像の美しさ。目に大きな穴が突然開いたり、少年兵の頭を射撃ゲームのように爆破するような、どんなに吐き気を催すような場面であっても目を離すことが出来なくなるほど、とにかく映像美は圧巻でした。美しい、という言葉は不適切か。でもノイタミナ系列の映像技術の高さ、本当に凄い。
それでもこの評価なのは、今映画における主人公クラヴィスがあまりにもただのお人形に格下げされたから。
ジョン・ポールの話としては忠実であろうとしたと感じ取れましたが、代わりにクラヴィスの原作における彼の個性らしい個性を全て剥奪。申し訳ないのですが、彼に対しては将来禿げそうな前髪の生え際ばかりを気にしてしまった記憶しかないです。折角の語り部兼主人公なのに。
それを奪うことでジョン・ポールの話に主題を合わせたかったのかなあと無学ながらに納得しようとしたのですが、それにしても蔑ろにし過ぎじゃないのかなあ。視聴者としては彼に感情移入ができなければ置いて行かれてしまう物語だし、何よりルツィアへの執着の説明が(その気が多少原作においてもあるとしても)ジョン・ポールの掌過ぎる。母親の話の一切を削るなら、その辺り力技で進めるにしても感情移入出来るエピソードを他にちゃんと入れて欲しい…。原作通りにしろとは言わないから、別の言葉に響いたって構わないから、感情移入出来る器を作っておいてくれよ頼むから。
原作にある良い台詞も、残念ながらジョン・ポールのもの以外は全然響いてこなかった。感情の流れ、その上で紡がれない言葉に一体何の意味があるのか。地獄はここにあります、頭の中、脳味噌の中に、というアレックスの言葉は、彼の自殺の上に語られねば真意はわからない。これは、尺の関係もあるから仕方ないとは言え…。ぐぬぬ。でもクラヴィスがしっかりしてるなら、アレックスの件は多分流せました。
此処での評価が高いのは、恐らく描きたかったことの軸をぶらさなかったからだと思います。ジョン・ポールの物語としてはきちんと筋が通っていますので、本を読むのが大変で、物語の本質を追いたいのであればいいのでしょうが、原作ファンとして、物語として作品を楽しんだ勢としてはこれらの点で全く納得いかない。
ハーモニーも最後の結末、トァンの感情処理の仕方に不信感ばかりが募ったので、多分Projectの皆さんと原作解釈が合わないんだろうなあ、と正直ガッカリしました。そのハーモニーでも二回観ましたが、今回はもう観ないと思います。
伊藤計劃は自らの死後、誰かに彼の物語を語られることでその人の中に生きたいと願ったと言います。彼の物語を読んだ上で語られる様々な物語があるでしょう。今回もその一つだとは理解しています。けど、この物語を、一つの公式には正直、して欲しくなかったなあ。
個人的には今回の話は、許せません。
伊藤計劃プロジェクトのアニメ映画は3作とも鑑賞しました。それぞれ色...
伊藤計劃プロジェクトのアニメ映画は3作とも鑑賞しました。それぞれ色々と考えされせられるストーリーではあったのですが、一番自分の琴線に触れたのはこの虐殺器官でした。
「我々の世界を守りたい」という言葉にはハッとさせられました。我々の世界を守るため、彼らには彼らの世界に居てもらう、彼らの世界で殺し合ってもらう。身勝手で冷酷な考えですが、私たちも自然とあちらとこちらの世界を隔絶しています。どこかでテロが起きても日本は大丈夫、私の世界は大丈夫、つまり私の世界ではテロは起きていないも同然なのです。確かに人が死んでいても。
人間の倫理観を鋭く突いてくるストーリーでした。
あと個人的な話なのですが、なんとなくアニメではグロテスクな描写も大丈夫でも活字になるとどうも受け付けないので、原作は読めていません。読んだほうがもっと理解できるのだろうなぁとは思うのですが、本屋で3ページほど立ち読みしただけで閉じてしまいました。。。
でも未読の私でも十分楽しめましたし、作画もCGやグロテスクな部分も含めて非常に美しいアニメでした。
他の伊藤計劃作品にも興味が湧きました
今の平和な日本では、戦争や内戦はテレビの中の遠い世界のように感じてしまいがちです。
ジョン・ポールの考えていた事は、先進国にテロを持ち込ませない為、その人達同士で争わせるというすごく残酷なことですが、自分の周りが平和であるなら、人は無関心でいられるかもしれません。
劇中での言葉にもあったように、人は見たくないものは見ないようになっているとは正にその通りだなと感じました。
人工筋肉のくだりは、屠殺場の様子などを撮影した映画「いのちの食べかた」を思い出しました。
本作で初めて伊藤計劃の事を知り、他の作品も本や、映画版も見たいと思います。
監視社会と幻滅、虐殺の理由
主人公に感情移入する前に終わってしまった。彼らは組織の中では優秀なコマでしかない。
予想していたが、殺戮シーンはゲームのようだが、それでもしんどい。
アニメだから仕方ないけど、表情が今ひとつ読めない。みんな、能面のようでセリフの口調はすごく軽いか、淡々としていて、想いを読み取れない。アップのシーンで現しているのかな?
世界が広いのか狭いのかわからないような、虐殺の理由は?? 究極の格差なのかな?
未来と監視社会への幻滅と適応、その隙間にチラッと光る何かとても大切なものをかんじた。
痛みは感じないですけどね
原作未読で視聴。この三部作企画のシリーズも初めて見ました。
全体的に足りてない所の多い原作依存の映画という印象でしたが、見ている分にはわりと楽しかったです。
劇場終了後は、どういうこと?という感じで主人公の最後の行動の意図が理解できないままでした。原作既読の方の解説を読んでやっとオチが腑に落ち、ハウンドドックだ!などの説明不足だったシーンもあらかた理解しました。
愛する妻と娘がテロに巻き込まれた時自分は他の女と寝ていた、という何度も何度も描かれたあのシーンの悲しく滑稽で空虚な感じが美しくて好きでした。
毎回ほとんど第三者か女視点でしか描かれてなく、あのニュースを眺めていたジョンの背中が何を思っていたのか直接は描写されなかった(ように記憶してるのですが)のが良い描写だったと思います。
その後ジョンが何を思ってどんな行動にでたのかは、とうとう彼を捕縛した時聞かされることができます。
家族の為でもなく自分の為でもなく滅私されたら奉公するしかないという典型的な自分が何ももってない故の奉仕の精神で彼の視点からアメリカを救う極論を走っていたジョンの中では浮気相手の女もなんの価値をもっていなかったように見えますが最後の最後だけ報いたいとかいっててどういう存在だったんだ?と思いつつまあ死んじゃったらそう言ったけど生きてる間は何も省みてあげない程度の存在でしたよねやっぱり…と落ち着きました(これは全て映画のみの印象です)
この映画一番のツッコミどころだったのが主人公おまえいつの間にあの女にそんな懸想を…?という点で、原作で読んだらゆっくり仲が深まっていく描写もありそうですが映画では尺がなかったのかスパイとして潜り込んだら速攻いつのまにか恋に落ちてたんだみたいな展開でお前スパイだよね!?って笑っちゃいました。
未来的管理社会で、非正規暴力部隊にいる主人公も仕事の前は毎回感情コントロールされ良心も痛まない痛覚も感じないという知らず知らず虐殺を行うメンタルコントロールをされているという設定で、人を次々と殺す戦闘中の画面はわざとFPSのような簡単であっけないゲームのようなちゃちな演出になります。インドだかで全員15歳以下の子供達の部隊を次々撃ち殺すシーンがその最大の目玉で、そういうのが好きな人は好きそうな映画といえそうでした。
私が一番好きだったのは、仲間の陽気な後輩が無線で「肩がやられました。痛みは感じないんで平気ですよ」「外の様子はどうですか?」などと言っているのを主人公が助けにいってみたら下半身腰から先がちぎれてなくなった血の海状態で上半身だけでスナイパーライフルを撃ち続け変わらず陽気に喋っている後輩を目の当たりにし、絶句しながらも落ちていた足を拾って「これで我慢してくれないか…」といって胴にくっつけようと差し出すシーンです。
気が狂いすぎててめちゃめちゃ笑った。
タイトルの由来の、人間はある文法で虐殺を行う方向へマインドコントロールできる、なぜなら人間には予め脳内に虐殺のための器官が備わっているからだ、という話は「ふーん」という感じで終わってしまうかと思います。作品冒頭からどうみてもそういう話で特に意外性はないです。
ジョンはなぜそんなことをしてまわっていたのか?という点がストーリーを追う根源となっていました。
そしてそれを追う過程で見聞きしたいろいろから主人公にとっての平和を考える…というある程度王道の作りのように思うですが、主人公の思想には罪滅ぼしというか精算という観点が介在しておりあまり救いはない終わりです。
原作での、映画のその後のエピローグはあったほうがラストの展開のわかりがいいと思いました。(というより映画だけで意図を理解するのは困難と思います)
主人公が中村悠一な上に犯人の言語学者ジョンが櫻井孝宏で櫻井さんの演技が最高でテンションがあがりました。
主人公の友達だったマッチョはそんな悪いこともしてないのに主人公が急に女に目が眩んだせいで一瞬で裏切られて殺されて可哀想だな〜と思いました。(作文)
私もあのマッチョが食べてたピザが食べたいです。
む~ん
エンタテイメント抜きにアイディア一本勝負っていう潔さ
それだけに単純で自分だったらと思うとちょっと物足りない
謎の人物であるはずのジョン・ポールが、当初の予想のまんま暗躍しているというヲチで
虐殺という騒乱を起こしているのが実は平和のためというメンタル面でのどんでん返し
そこに一ミリも共感する余地がないし、そんな状況を覆す新たな希望の提示がないままエンディング
む~ん
人の行動を言葉で操作するというアイディアは
プロパガンダのように歴史的にもソレっぽい事例があるからリアリティあって面白いんだけど
それを虐殺だけにフォーカスする意図がわからない
ジョン・ポールが虐殺器官を発見したのはいいとして
それを利用してる組織は別にいて、
ジョン・ポールは虐殺器官の研究の先にもっと希望がモテるようなマクガフィンを見つけていて
それが組織にとっては不都合で、主人公にウソの情報を吹き込んで、ジョン・ポールの暗殺をっていうプロットじゃ駄目なのか
とはいえハーモニーとの作風には一貫性があって
これが伊藤計劃なんだなと思うし
当初の予定通り三部作の最後として屍者の帝国を見ていたら
エンタテイメント性が鼻についてたのかも
それには虐殺器官とハーモニーを面白いと思わないといけないんだ
破綻してくれてありがとう
無事に三部作完走できたよ
SFではあるけれどファンタジーではない
と思わせてくれる作品。
SFにありがちな斬新な発想の世界での物語でなく、リアルに感じられる世界です。
そのため感情移入できる部分や考えさせられる部分が多々ありました。
原作と展開が違う所はあれど台詞はほぼ原作通りで良かった!
公開終了まであと少しなので、ぜひ劇場で鑑賞してもらいたい。
イルカの様な形に変形して海中を進むポッドの周りを本物のイルカが泳いでいるという皮肉。
ポッドがイルカの形に変形するところは神秘的で美しい。こういう所にも拘って作ってるんだなと職人気質を感じました。
以下、ネタバレなのでご注意を。
最後、主人公は「これが僕の物語だ」とまで言い、自分の意思で行動したと思っているようだけれどそれはジョンの手中でしかない。なんとも言い難い気持ちになりました。
ジョンが主人公に植え付けた言葉が何だったのか。観た人それぞれで受け取り方が違いそう。
ノンストップな怒涛の展開に続く最高のラストでした。
ただ、冒頭のアレックスの死を原作と変えてまで、グロシーン(将軍が殺されるところ)にする必要があったのかは謎。
冒頭から感情適応調整に疑問を抱かせるためでしょうか?
ん。。。。
原作愛読者です。
色々紆余曲折あったようですが、ひとまず出来上がってよかったなぁと。
関係者の方々、お疲れ様でした。
m(_ _)m
が。
個人的にはちょっといただけないなと思いました。
基本的なストーリーは違和感がなく(観終わった後に、母親や亡霊に苛まれるシーンが全くないのはどーなの?って言ってる方々がいましたが、あれはアニメにはし辛いので、まあ、仕方ないかなと。。)、アクションシーンも迫力満点でよかったのですが、ジョン・ポールの最期が改変されていて、あれだと、帰還後にクラヴィスがグレてしまった(笑)原因がホントにルツィアが死んじゃっただけっぽく見えてしまって、そこは変えない方が良かったんじゃ。。。と感じました。
キャラ設定もちょっと違和感があって、
クラヴィスはもう少し皮肉屋だし、
ウイリアムズはもっと能天気
な感じだったんだけど、両方とも薄まってる感じがしました。
色々尺の問題なのかなぁ。。
それこそノイタミナ枠でじっくりやってくれた方が良かったんじゃ。。。
(-_-;)。。。
原作未読です。 気持ち悪い。 悪夢のループを見ているようでした。 ...
原作未読です。
気持ち悪い。
悪夢のループを見ているようでした。
アメリカで呑気にピザを食うシーンに戻るたびに
もうこれで終わりでいいよ。
実は夢オチでも良いよ。
謎は謎のまま終わりでいいよ。
と思いつつラストまで見ました。
結局主人公が世間へ発表したことで、その後の世界がどのように変わるのか、何も変わらないのか、頭の悪い自分にはついていけない。
ただメカはそこまで進化するかな?と思いつつも、大変充実してくれて良かったです。
特にドルフィンタイプが海獣達と泳ぐシーンが実際にあるなら見てみたい。
尺が足りない
二回観てきました。
まず、作画は素晴らしかったと思います。とても綺麗でディティールも細かく、リアルなSFの世界観が見事に表現されていました。伊藤計劃氏が頭の中で想像していたものとは勿論ある程度違いはあるのでしょうが、文章からあそこまで映像を創り出せるということに改めて驚嘆しました。
ただ、クラヴィスの過去についての話は削るべきではなかったのではと思います。あれがなければ、クラヴィスの命に対しての葛藤が描ききれませんし、また、あそこまでルツィアに惹かれた理由が説明できません。尺の問題で仕方なかったのでしょうが、そこが残念です。小道具なんかについても、原作未読だとよくわからないのではないかと思う部分がありました。
原作を過度に持ち上げたいわけではないのですが、やはり小説の方が面白かったです。未読の方は映画の後にでも是非読まれることをお勧めします。
セリフがダサくて冗長
話の大筋は普遍性があるし、設定も悪くない。メカ描写も地味ながら力が入ってる。
虐殺する機能が人間に元々備わっている、というのも話としてまぁまぁ面白いかもしれない。
(殺人と虐殺は動機が全く違う気もするけど)
でも、セリフがダメ。多いし、普通そんな喋りする奴いないので鼻につく。映像なので不要な部分も多い。心理も全部言葉にしちゃってるし難解ではない。セリフについて行くのと設定を理解するのは難しい、というか面倒。
長い会話で画が停まるシーンが多く、せめてカットを割るとかしないと退屈。
この手のアニメには本当にこういうの多い。
でも制作は倒産もあって大変だっただろうし、よく形にしたとは思う。
難しかった。京極夏彦的な印象が。
原作読まずに鑑賞。見終わったあとにも、いろいろな感情と推測の嵐が頭の中に生まれます。これがジョンの仕掛けか??俺の器官が活性化してしまう(笑)
言葉の呪力、言葉は人にのみ効果があるツールで、理解してしまったら、脳が解釈してしまったら、意識の台座の私たちは逃れることができない。京極夏彦作品が好きな人には、良く分かる呪いの感覚だと思いました。ただ、やはり話が難しい。
ジョンは、自ら愛する世界を、脅かす存在と隔離するため、隠れた本能を利用して、世界の半分を根絶やしにしたかった。クラヴィスも、またアメリカに戻って、同じ根を英語で撒いた。これでは、何が何だかわからない。
どちらも愛する人を失って、その痛みから世界を壊したくなった。としか思えない。或いは世界は同じ歴史を繰り返しながら、虐殺の歴史を繰り返しながら、平和について考え、進化するというメッセージにも思える。
原作を読んだら
この呪い、解けるかな。
リアルなアメリカ社会のSF!
舞台の中心として置かれるテロの反動で国家第一主義が過激になったアメリカ社会というのが現在のトランプ大統領下のアメリカに沿っているように感じられるのがすごい。原作が2009年で制作は2015年の映画なのに。
そして主人公の所属するアメリカ暗殺部隊の装備が格好良い。乗務員が降りた後は溶けて無に帰したり、海に入れば魚の形になり泳げるようになる乗り物などSF好きの魅力たっぷりなガジェットがたくさん出てきます。
映画と原作を比較すると、主人公の母親のエピソードを全て消し去った分、複雑な部分が無くなって原作よりも映画は分かりやすくなっていると思います。ただ個人的には主人公のルツィア(本作のキーパーソンとなる女性)に対する執着は母親あってこそだと感じていたので、ちょっと残念でした。
それでも全体を通して面白かったです。ただ流血表現だけでは言い表せないレベルのグロテスクさなので、それが苦手でない方にお薦めしたいと思います。
マスキング
マスキングとは便利な機能だ。是非使いたい。内容として、疾走感があって、原作を読んでなくともどうにかついていけた。しかし、深く入りこめないから読んでみようかな、と思いました。
原作を読んでいって観たら混乱しました
先日、映画『虐殺器官』を観て来ました。そして感想はというと……観終えた時、正直ものすごく混乱しました。
映画自体の出来について言えば、あの原作から上手く映像化したな、という印象。具体的には、アニメとして作画が素晴らしいクオリティですし、ミリタリーSF的要素については丁寧に忠実に映像化されていたり、また声優さん達の演技も良く、きっちり誠実に制作された作品でした。お金を払って観る価値はある映画作品だと感じました。
……が、繰り返しになりますが、原作を直前に読み返していた自分は、原作を読んでいた故、細部細部で混乱し、映画に没頭できない瞬間がありました。
それについて語りだしたら長文になったので、下記の通り自分のブログにて感想を書きました。
「原作を読んだ人が映画『虐殺器官』を観に行って大変混乱した話」
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