劇場公開日 2017年2月3日

「楽園を維持するために地獄を維持する」虐殺器官 フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

楽園を維持するために地獄を維持する

2017年2月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

難しい

暗殺部隊の隊員が標的を調べるうちに巨大な陰謀と人類再生前夜に立ち会う話

前知識0で挑んでしまったが、何とか話について行けたし素人ながら脳髄を刺激された。まだ見ぬ未来をここまで想像できるとは。

0年代最高のSFとの前振れだったが看板に偽りなし、若干の既視感はあったものの2007年に作られた作品とは思えなかった。自分がその筋に疎いからなのかSFってここまで来てたのかと痛感し上映後色々考えらせられた作品でした。

最新鋭の技術と装備を持つ主人公とある意味魔法の呪文でテロを行う犯人。
進化と原始の対決、導かれる結末は・・・

犯人捜しのサスペンスと戦闘時のアクション、静と動のメリハリも良かった。

心と体に鎧を着せ無慈悲な戦闘を仕事とする主人公が心の在り方、自我についてハッキリ認識していくまでの展開は今を生る自分にも共感できる気がした。
虐殺器官の設定はフィクションでありながら説得力のある説だったので物語の現実感も伝わってきた。

攻殻機動隊やイノセンスを見た時も「こんな未来を想像できる人が居るなんて」と感動したものだが、この作品も同じ系譜なんだと思った。
SF映画は結構見ているつもりだが久しぶりに刺激的な作品に出合えた。
独特の重苦しい質感、戦闘の生々しさも表現できていたし、作画も安定していたように思う。日本のアニメの凄さを再確認できた。

作者はメタルギアのファンだったとのことで。戦闘、兵器、作風がメタルギア的だったのは納得がいった。

もう亡くなられているのが本当に残念である。ご冥福をお祈りします。

劇中セリフより

「自分が出来ると知ったなら、それを抑える事はできない」

作る想像力と使用する想像力は別

何かのTVで見たが原爆を作った科学者も「自分に作れる頭脳と環境があったから作った」それをどう使うかまでの責任は持たない。
どんな悲劇を生むかは考えない。ただ作り終えた時、恐ろしさに気付くのだそうな。
作る側と受け取る側の双方の考え方を大事にしていきたいものです。

フリント
フリントさんのコメント
2017年2月13日

すみません
自分は全レビューで点数を付けないことにしています。

映画自体が大好きなので、点数を付けるのが恐れ多く思ってしまうのです。
好きな映画、気に入った映画はレビューが必然的に長くなるので、文の熱量でご自由に判断して下さいますようお願いします。

ただ虐殺器官は最近見た映画では一番好きな作品だと断言できます。

指摘コメントありがとうございました。

フリント
uttiee56さんのコメント
2017年2月12日

0点ではなくて、点数をつけていないのでは?

uttiee56
ぶるーさんのコメント
2017年2月11日

★の数が0になっていますが、感想と矛盾しているので間違いではありませんか? 修正いただけますと幸甚です。

ぶるー