「妙に気になるAD、市川の大活躍回!」戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 劇場版・序章 真説・四谷怪談 お岩の呪い 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0妙に気になるAD、市川の大活躍回!

2023年8月31日
PCから投稿

自分が追いきれてなかったのかもしれないが、投稿映像から取材までのプロセスがあまり把握できないまま進んでしまって、物語的にはいささか散漫に感じるところはある。しかし久保山智夏演じるAD市川がお岩さんと思しき怪異に取り憑かれるあたりから俄然ドライブ感が増す。そしてほぼ久保山智夏の演技で成立している除霊シーンの見応えが素晴らしい。そもそもどこにでもいそうなADという体で登場した市川は、シリーズを追うごとに「なんか気になる存在」に成長を遂げていて、ここでそのポテンシャルがいきなり爆発した感がある。

さらに「トイレの花子さん」回でも出てきた異世界に引きずり込まれ、クズキャラの工藤が市川を必死で救おうとするエモいクライマックスを、北村早樹子の歌にのせてお送りするというフェイクドキュメンタリーの体裁を揺るがせかねないBGM的使用。しかし最低限のエクスキューズのために、ラジカセから鳴ってる音なんでと言い張る力技。自ら標榜したフェイクドキュメンタリーのルールに乗っ取りながら、どこまでドキュメンタリー調ではムリそうな境地まで飛べるのかという、シリーズ全体から感じられる「コワすぎ!」冒険精神が炸裂している回だと思う。

村山章