「獲物はデカい! 狩場は狭い!」ビッグゲーム 大統領と少年ハンター 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
獲物はデカい! 狩場は狭い!
謎の武装集団によって撃墜されたアメリカ合衆国大統領専用旅客機“エアフォースワン”。
森に不時着した大統領は、たまたま居合わせた狩人見習いの少年と共に武装集団から決死の逃走を図る!
という、なんとも威勢の良い設定のアクション映画。
乱暴に言ってしまえば『エアフォース・ワン』と『ダイ・ハード2』と
『ハンガーゲーム』(か『ランボー』)を足して10(笑)で割ったような映画でした。
.
.
まあ色々とツッコミ所はある訳だが、一番の不満点はアクション映画としてのボリュームかしら。
まず大統領と少年が出会ってから次の見せ場になるまでがずいぶんと長い。
2人の友情を描くシーンは必要だと思うけど、眠くなる。
で、遂に大統領が敵に追い付かれ、少年ハンターが闘う覚悟を決め、
いよいよ怒濤のアクション開始ッ!と思ったら
冷蔵庫にしがみついて湖に落ちて飛行機に逃げ込んでドッカーンで あっれぇもうおしまい?
なんかあと2, 3つくらいアクション的な見せ場が足りない気がするんすけど。
威勢の良いタイトルに反してのこの食い足りなさは
学校遠足御用達の駄菓子“ビッグカツ”を想起させる(←させない)。
.
.
大統領を演じたのはみんな大好きサミュエル・L・ジャクソン。
どの作品でもマザファカ言ってる気がするこの御代が
アメリカ合衆国大統領て。いやアメリカ合衆国大統領て(爆)。
まあ今回はいつもの1/100くらいしかマザファカ言わないし(結局言うのね)
人気は無いし弱いしで色々と情けない役なんだけど。
大統領よりも敵役のレイ・スティーヴンソンが一番カッコ良く撮れてるのが意図的なのかは分からないが、
“裏切り者のベテランSP”という設定はその動機も外観も含めてけっこう渋くて良い。
まあ屈強な見た目の割にはそこまでタフじゃない訳で、
彼にももっと強敵としての見せ場が欲しかった。
SPの裏切り、加えて政府内部の陰謀など(なんかデジャヴをバリバリ覚えるシナリオではあるが)、
話のスジに飽きずに観られる程度にはサスペンス要素もある。
だがそれよりこの映画は、オンニ・トンミラ演じる少年ハンターの成長譚にドラマの比重がかかっていて、
弓もマトモに射ることが出来ず心の奥では怯えきっている彼がだんだん勇ましくなる過程こそ一番の見所。
ツッコミ所は多かれど、大統領という獲物を手にして、父親に誇らしげに笑い掛ける少年の姿には、
まあ、ちょっとだけ、グッとくる。
あとは……
JB(ジェイソン・ボーン)ばりの近接格闘を見せる
JB(ジム・ブロードベント)が一番のサプライズかねえ(笑)。
てか黒幕残して終了だなんて、『2』も作るつもりなの、コレ?
絶対出ないと思うんだが……ちょっとだけ観たいと思っている自分がいる(笑)。
.
.
以上!
これぞまさしくB級アクション映画ってな内容で、不満は多いのに不思議とキライにはなれない作品。
とはいえ高い劇場料金に見合うほどのボリュームは無いと思うので(苦笑)、DVDでの鑑賞をオススメします。
<2015.08.22鑑賞>