「監督の想いがつまった作品」あの日の声を探して しのたんさんの映画レビュー(感想・評価)
監督の想いがつまった作品
映画ののっけ、文字での解説部分から、監督の言いたいことがずしんずしんくる。一気だから、うっかり流して読んでしまいがちだが、ここから噛みしめたい。チェチェン戦争のなんたるかが見えてくる。
原作にはない役柄が登場しているのが、なんといっても重要なところ。ロシア人青年コーリャの存在が、戦争の怖さを物語る。ロシアすべてを一方的に非難しているのではない。戦争という仕組みの酷さをリアルに描いている。なお、実際のチェチェン紛争でも、戦地にいった子どもたちがどこに配属されているのか、いつ帰ってくるのか分からず、チェチェンまで探しにいったロシア人の母たちは多数いるという。ちゃんとした取材に基づいているのが分かる。
とはいえ、ただ悲惨な訳ではない。さすが、アカデミー賞監督。映画らしいエンターティメントも用意されている。チェチェン人は、踊りの達人ですから。
胸潰れる想いをさせられながらも、人の暖かさにホッとさせられる作品になっていると思う。
ただし、邦題の付け方と予告は、ちょっと疑問。映画をミスリードしていないか?
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