「空虚な安保議論を冷笑する戦争の現実」あの日の声を探して ちんたらさんの映画レビュー(感想・評価)
空虚な安保議論を冷笑する戦争の現実
チェチェンは、まずテロとの戦いが大義だった。それは、ロシア侵略の口実に過ぎなかったことが、やがて明らかにされたけれど、国際社会は見て見ぬ振りをした。
民族が大国に惨殺されてゆくプロセスを、EU人権委員会の女性を主役に、戦禍に翻弄される準主役の子供を配して、巧みに浮かび上がらせる。
戦争の狂気が次々と刺さるように展開して、目を背けたくなる。
現代の戦争であるこんな局面を、日本そして日本人は想像しただろうか。知ろうともしていなかったと、無知を恥じるほどだ。
ロシアに媚び、ロシアに遠慮してきた日本を静かに告発しているようにも見えた。
子役の帽子に入ったNYの文字が静観し続けるアメリカへの皮肉とも見えた。
役者の演技も素晴らしい。
全編に緊張感あふれる佳作だった。
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