イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密のレビュー・感想・評価
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期待と不安
前評判も良く、アカデミー賞ノミネートもされていたので上映を楽しみにしていた作品です。
題材もキャストも期待できるものだったのですが、キーラナイトレイが才女の役ってあんま似合わなそう…という不安がありました。実際見てみれば才女といっても、明るくユーモアのある女性役で役柄と女優がとてもマッチしていました。かわいいです。
ストーリーは実話をもとにしているようで、実話特有の救いのなさがあります。ものすごい盛り上がり、山場を期待していたら拍子抜けするかもしれません。
堅苦しく作ることもできたのでしょうが、誰にでも見やすく楽しめるような工夫がされています。貢献したからといって必ずしも報われるわけではないところがリアリティだなと思わせてくれます。
歴史の裏
ロストスターズ
単なる伝記映画としてではなく、取り扱うテーマ自体の興味深さもあり娯楽作としてもかなり優秀な映画だった。
そして、カンバーバッチの演技の素晴らしさ。
個人的には、マイケル・キートンよりも、レッドメインよりも、彼のこの作品での演技が一番好きだ。
チューリング氏を取り巻く人生が波乱に富みすぎていて、伝記映画であるのに上質なサスペンスを観ているかのようなドキドキ感を終始味わえ、そしてまた実話ならではの切なさも突きつけられる。
程よいジョークも効いていて、間違いなく心に残る作品となっている。
それにしても、私はこの史実について詳しくはないのだが、これが50年間国家機密として守られていたということは、今まで作られてきた第二次対戦の映画の持つ意味が大きく変わってくる気がするが、そこのところどうなんだろう。
カンバーバッチが演じる“異質な者”を堪能出来る作品。
BBCドラマ「SHERLOCK」、映画「ホーキング」「スター・トレック イントゥ・ダークネス」。
普通の人間を超越した“異質な者”を演じ続けているベネディクト・カンバーバッチ。
最早登場するだけで天才感が滲み出てしまう彼が本作でも本領発揮。
“異質な者”の様々な側面を出し切った、集大成とも言える作品でした。
作中で語られる個別の要素は特段の目新しさは無いものの。
それらが組合わさることで他人とは異なる性質を持つ天才アラン・チューリングの人間性が浮き彫りに。
特に他人から理解されない悲哀は胸を打つものがありました。
脇を固める役者陣も秀逸。
チューリングを支える女性ジョーンを演じるキーラ・ナイトレイ。
映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」から随分と骨筋張った印象ですが。
時代背景も含めて強気で聡明な女性を好演。
またエニグマ解読チームの一員であるヒュー・アレグザンダーを演じるマシュー・グードも良かった。
映画「ウォッチメン」「イノセント・ガーデン」の印象が強く、裏の顔がある雰囲気が話を面白くしていました。
題材となる独軍が誇る暗号エニグマの解読も面白かった。
解読過程の描写も丁寧で、事を為した場面のカタルシスは最高。
その高揚感を引き摺り過ぎずハッとさせられる切り返しも良かったです。
カンバーバッチが演じる“異質な者”を堪能出来る本作。
鑑賞後に残る一抹の寂しさ、悲哀も含めて。
最後まで楽しめる作品になっていました。
オススメです。
英雄の名を誰も知らない
ノンフィクション映画,と思ったら少年漫画映画,と思ったらイミテーションゲームだった‥何言ってるんだという感じですが,そんな映画だったんです。視聴後残るのは、尋常ではない切なさ。
天才数学者、アラン・チューニングはアスペルガ症候群(映画内では明言されていないが、そう考えられているよう)により、年少の頃から良好な人間関係を築けなかった。暗号機エニグマ解読の同僚とも案の定上手くいかないが、次第に仲間と呼べる存在になっていく。ここは熱かった。しかし、それも。。。
歴史を作るのは偉業を挙げた英雄達だけではない。彼等を支える市民だけでもない。異形の、誰も知らない英雄達がいるのだ。
彼等は信念を曲げず、強い心を持っていたからこそ、成し遂げる事ができた。しかし成し遂げてしまった後には。
前半、少しとっつきにくかったかな。
1人1人がとっても良い味を出しているのだけれど、キーラ・ナイトレー(とんでも可愛い)の気持ちがわからなかった。何を望んでいたのか。主人公に対する感情とか。今度、これを見た女性に聞いてみよう。
栄光なき天才
アカデミー脚色賞も納得の傑作。栄光なき天才アラン・チューリングの切ない生涯に冗談じゃなく心震えた。世界を変革したのは狂気的なまでの合理性だったのか…「あなたが普通じゃないから世界はこんなにも素晴らしい」なんて美しい言葉だろう
狂気的なまでに合理的なチューリングだがそのセクシャリティは—社会そのものがホモフォビアだった当時としては—不合理なものだったという皮肉。それにしても天才で変人でゲイの役を演じるベネディクト・カンバーバッチって…まさしくみんなが観たかったカンバーバッチ!
『イミテーション・ゲーム』を観て浮かんだのは「B-BOYイズム」宇多丸のヴァース。「心込めて描く繊細なタッチ 栄光なき天才たちに捧ぐ僕からの鎮魂歌」
アカデミー賞授賞式でのグレアム・ムーアのスピーチの真意がようやくわかった。世界を変革したアウトサイダーに自らを重ねたのね。「あなたが普通じゃないから世界はこんなにも素晴らしい」とはムーアがチューリングと自分自身にかけた言葉だったのかもしれない
この話は間違いなくジョブスが産み出したアップルのロゴ、あの齧られたアップルマークにつながっている。
ヒットラーのドイツに戦争を布告した1939年のイギリス。政府にとっていやイギリス国民にとって、戦争の終結には難攻不落と言われる暗号エニグマの解読が不可欠だった。
ケンブリッジ大学で「イミテーション・ゲーム」の開発を続けている天才数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)にこの暗号の解読が託される。天才にとって難攻不落とはいえエニグマもまたゲームなのだろうか 、いや次々とUボートに沈められ、空爆にさらされるイギリスを救うものはチューリング・チームよる暗号の解読が頼みの綱。しかし、ミッションの過酷さと常軌と異なる天才の行動と言動から生まれるチーム不和は絶えることがない。
1940年を迎えるが解読は一向に進まず、チューリングはますます自身の論理からの電気機械の製作に没頭する。そんなチームと多大な製作費にMI6(政府情報部)は業をにやし解散を言い渡す。チューリングはこのミッションの本当のトップは誰かと問い、チャーチル首相に製作とチームの継続を直訴する手紙を書く。チューリングより早くクロスワードパズルを解く能力を持つ女性、ジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)に支えられ、チームはついに難攻不落のエニグマ暗号の解読に成功する。エニグマの解読とそのメンバー、とくに不運のチューリングの存在はその後50年間も封印されていた事実からわかる通り、映画はどの場面もみなドラマチック・サスペンス。
「イミテーション・ゲーム」は早くから楽しみにしていたが、ボクにとってその楽しみはドラマチック・サスペンスを超えてもう一つある。それは題名となったが暗号解読以前の「イミテーション・ゲーム」が持っていた本来の意味に関わること。映画のテーマはもちろんエニグマの解読にあるのだが、解読以前にチューリングが提起し、その後のコンピューターの開発に大きく貢献する、いや現在最も注目されているチューリング・マシンのコンセプトこそ「イミテーション・ゲーム」の本来の意味だ。チューリングの生涯のテーマは「知能を持った機械」の開発にある。「イミテーションゲーム」とはコンピューターの思考能力を評価するゲームのことだ。いまや、人工知能(AI)開発が大はやりだが、チューリングは機械と人間に同じ質問をして、どちらが機械の回答であるかを判定させることで機械の優秀さを測る目標を定めたのだ。つまり、イミテーションゲームはゲームには違いないが現在も生きているとんでもないゲームだ。
映画「スター・トレック」のコンピューターはその能力においてこのゲームの勝者となったが、それはあくまで映画の中のおはなし。ゲームを作ったチューリングは2000年までにはチューリングテストに合格するコンピューターが出現するだろうと予言したが、2015年の現在、まだそのテストに合格するコンピューターは出現していない。ほとんどのゲームのチャレンジャーは何百万という無数の質問をコード化して、一つの質問に信頼できるひとつの回答が与えられるように設計しようとしてきた。しかし、これではチューリングテストには合格しない。唯一ザ・サーチを書いたジョン・バッテルが「考える検索エンジン」にグーグルが成功したら、このゲームは完了するだろうと言っている。つまり、今後のコンピューターの可能性は情報のコード化ではなく、「いかに情報を提供し、その情報を役に立つ情報にインテグレートするかにある」つまり、情報を提供し役立つと判断する人間の役割がポイントとなるのだ。現在のグーグルの検索エンジンのコンセプトもそこにあった。多くの人に引用され、人々の支持された情報がもっとも検索される情報。コンピューターはどこまでも機械だ、機械であるからこそ人間との協働ではじめて機械も知能を持つことが可能ということなのだ。
「イミテーション・ゲーム」はナチス・ドイツに苦しめられようやっと難攻不落のエニグマ暗号を解くという物語だが、それはどこまでも人間による人間のドラマなのだ。そのドラマを大好きなベネディクト・カンバーバッチとキーラ・ナイトレイが演じているのだから、封切り早々見に行きたくなるのは当然のこと。しかし、最も重要なことはネタバレとなるので触れられないが、見終わってみて、調べてはじめて気がついたチューリングの死の秘密。それは白雪姫の毒リンゴだった。この話は間違いなくジョブスが産み出したアップルのロゴ、あの齧られたアップルマークにつながっている。
天才とは…
出会えてよかった
ベネディクト・カンバーバッチ様。
シャーロックで見せた知的でセクシー、しかし他人とうまく付き合えない…そんな印象をまた一味違った役所で魅せる魅せる。
「流行りのカンバーバッチ」感はありますが、実力を伴っているのでカンバーバッチを見る目が変わりました。
天才であるからの苦悩、孤独、努力…そして一般人で有りながら戦争をコントロールするという計り知れぬ重圧に対し、一人の人間がどう向き合ったか。
少年時代、戦時中、戦後と3つの時系列を行き来しながら紐解いていく物語。ここで惑わされるかもしれませんが、これこそが鑑賞者を引き込む手段。
できればトイレなど行かずに、
一つ一つの伏線と言葉に注目して見ていただきたいものです。理解しきれなかった部分があるので、もう一度見たい。
天才の苦悩
この作品に出会えて良かった。
天才数学者の、知られざる一生。
実在した数学者アラン・チューリングの生涯をベネディクト・カンバーバッチが熱演!エニグマ暗号の解読に取り組んだチューリングの真実の姿に迫る!というお話で、三つの時代(学生時代、エニグマ解読期、現在)を行きつ戻りつ、色んな角度でその人物像に切り込んでいく展開となっております。ミステリー色は割りと少なめです。というかその類、謎解きやらサスペンスを期待するとかなりの肩透かしを食います。まあ自分もミステリー的な作品なのだと思って観に行った側なので。序盤中盤で「あれ?え?」となって。
で、まそうなってくると、もうベネカンの演技に主に注目してくことになります。まあそういう作品なんです。
いやぁ~!でもしかし!この人ね!ベネカン。変人やらせたら今の映画界隈で彼の右に出る者はいないんじゃね!?てぐらい、こういう役でぐわっと輝きを放ちます。アラン・チューリングという人はかっっっっっっっなり!の変わり者だったらしくて、多分リサーチめちゃめちゃしたんじゃないかな、ていう。その努力の賜物があの演技を生み出したんだろうなぁ、と。そういう感想を持ちましたね。
BBCドラマの某名探偵役から人気に火が付いて、一気にスターダムを駆けあがり、ハリウッドが「なんだか彼を取り敢えず使っときゃ映画ヒットする」みたいな風潮になってて(実際のところは知りませんよ)、何だかあまりそれが好きじゃなかったんですがね、自分個人としては。ですが、こういう映画の主演!となってくると、話は違ってきますわな。もう実力を問われる訳ですから。そして実際に良かった訳ですから。
ベネカン様。本物です。
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