「「栄光なき天才たち」には及ばない」イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 ハルさんの映画レビュー(感想・評価)
「栄光なき天才たち」には及ばない
アカデミー賞授賞式での脚本家のスピーチがやや「狙い過ぎ」で「あざとさ」すら感じてしまった自分だけに、この作品も同様の印象は禁じ得ない。そういうのは林檎の使い方とか定型文をなぞるようなフラッシュバックの多用に現れているように感じた。自称チューリングおたくの本であれば、彼の天才性をこそしっかりと描いて欲しかったものだが、そうではなかったのは物足りないところ。彼の業績で現在性を求めるならコンピュータの基礎を築いたということだったりAIのことなので、暗号解読の過程を映画的なエンタメ性を放り込みながらタラタラと観せられても「思ってたんと違う」となる。まあキーラが数学の秀才役をやっている時点であまり深い作品ではないと覚悟したわけだが。
タイトルも活かせていないので原題よりも邦題(副題)が相応しい。珍しいことに。『her』のような作品の方がチューリングへのオマージュを感じさせてくれた。
確かに主人公の苦悩や個性の重要性を伝えてはいたけれど作品自体に個性が無いからなあ。
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