「天才に課せられた使命と虚無感のギャップ」イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 山川夏子さんの映画レビュー(感想・評価)
天才に課せられた使命と虚無感のギャップ
ベネディクト・カンバーバッチさんの作品で一番好きな作品です。
彼の代表作は、ドクターストレンジではなく「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学さの秘密」だと思いました。
第二次世界大戦は体験した世代の人もまだ多く生きていて、そんなに遠い過去ではないと思うが、この話が実話だったということに驚きました。
天才的頭脳を持ってはいるものの人のコミュニケーションに難がある男性が、ミッションのためにチームで仕事することを学んで行き、高度すぎてほとんどの人が理解できないコンピューターの開発に没頭し、また円滑な対人関係の構築についても真剣に取り組むぶきっちょな彼のデコボコした性格や葛藤を見事に演じていていらっしゃいました。カンバーバッチさん、さすがです!
今なら「天才に多い発達障害の人」と一言で説明がつくタイプの人で、映画を観ながら、やきもきして、つい手を合わせて、彼が愛する人に恵まれて、安らかに生きていけることを本気で祈りながら、彼のことがとても心配で、ソワソワしながら見てしまいました。
今は多様性のある人が共生する時代で、どんな信条でも、どんな性的嗜好の人も
自由に生きることが出来ます。この映画の出来事が起きてから、まだ100年も経ってないのに、時代は大きく変わっています。
個人のメンタルの問題に関してはちゃんと研究が進んで、相手のことを理解して、追い詰めないように、コミュニケーションを図って、その人がその人らしく生きられるように、きちんと公的機関がサポートして、また教育機関でも「多様性」について子供のころからきちんと教えて、世間からの理解も得られるようになっています。
2024年の今でも世界から戦争はなくなっておりませんが、世界はすこしずつだけど確実に「どんな個性の人も安心して暮らせる生きやすい世の中」に変わりつつあるのではないでしょうか。
いつか「万人が心穏やかに自分らしく生きられる社会」になるまで、いつまで過渡期が続くのか、さっぱり見当もつきませんが、毎日、小さなことからコツコツと、変革していく、それしかない!と思いました。