「ティム・バートンの従来の作風と異なる作品」ビッグ・アイズ 悶さんの映画レビュー(感想・評価)
ティム・バートンの従来の作風と異なる作品
【鑑賞のきっかけ】
ティム・バートン監督の作品はお気に入りで、殆どの作品は鑑賞しています。
しかし、本作品は、全く自分の認識からは漏れていて、その存在に気づきませんでした。
たまたま、YouTubeで紹介されているのを発見し、ティム・バートン監督作品ならば、見なければと思い、動画配信で鑑賞してみました。
【率直な感想】
<これまでとは異なる作風>
ティム・バートン監督の作品は、ファンタジックな内容のものが多いので、本作品のような、実話を元にした人間ドラマの作品を制作していたことに、まず驚きました。
ただ、ファンタジックという側面で本作品を鑑賞してみると、主人公のマーガレットの描く作品の特徴である「ビッグ・アイズ」という作風は、その大きな瞳は、現実離れしており、ある意味、ファンタジックな要素があるのかもしれません。
<マーガレットの苦悩>
本作品では、かなり早い段階で、マーガレットは、自分の制作した絵画が、夫の名義で脚光を浴びていることを知り、不満を訴えたりするのですが、なかなか、それを外部に告発したりしないのです。
この部分は、ストーリー展開上、やきもきさせられてしまうのですが、彼女の絵が脚光を浴びだした1950年代は、アメリカでも女性が自立することは難しく、結婚して夫主導で生活していくというスタイルが主流だったことを思うと、夫との決別を決断するには、長い期間を要してしまったのもやむを得なかったのかな、と感じています。
<感動的な法廷シーン>
物語後半は、いよいよマーガレットが夫に対する損害賠償を求めて、裁判に訴えていくことになるのですが、この法廷のシーンは本作品の大きな見所です。
特に、マーガレットの訴え、つまり本当の作者は、夫ではなく、彼女なのだということを、どうやって証明していくのだろうと思いつつ、鑑賞していった先に待ち構えていた展開は、本当に法廷で起きたことだとすると、随分と画期的なことを裁判所が命じたと思わずにはいられません。
【全体評価】
最後になりますが、あまり目立たないけれど、最初から最後まで登場していたマーガレットの娘さん。
マーガレットは、大切なものを守り通しました。
それは、「自ら制作した絵画」と「愛する娘」。
清々しいラストに高く評価したくなる作品です。