オマールの壁のレビュー・感想・評価
全26件中、1~20件目を表示
相手の最も嫌がることをやるのが戦争・紛争
カナダの監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴの『灼熱の魂』という中東レバノンでの抵抗と復讐の優れた作品に底通した、同じ中東の紛争地パレスチナの抵抗運動をベースに、若い命の純愛が描かれ心を揺さぶられる作品だ。
思いを馳せる女性に会う為に、高さ8Mというコンクリートの壁をロープをたぐって登る、若さと体力がいる物理的困難の上に、見つかれば機銃掃射にみまわれ、向こうへ行っても抵抗運動の派閥があって気が遠くなる障害があるからこそ募る思いは燃え上がる。
もう一つの壁は、
戦争や紛争は相手の最も嫌がることを、これでもかと言わんばかりに突いてくる人間の醜悪な面が出て来る。親子を引き裂き、若い男女の仲をめちゃくちゃにすることなど朝飯前なのだ。
しかし、恋は誰にも止められない。「ラ・ラ・ランド」の様な“永遠の恋がなんと!”というのもあるが、ロミオさまの様に妨害がひどいからこそ燃える炎もある。
オマール~!
いやはや緊張感のある映画
拷問怖い!私だったらすぐ名前いっちゃう…
オマール~せっかく人間に生まれたんだから、好きな人と幸せに暮らせる道選んでー危ないことしないで!
とハラハラしっぱなし
アムシャド!友達ないがしろにしてこのバカすけが!とテレビに言いまくりの自分でした
終わりかたが…オマール…
神?
オマール1人が全ての犠牲になった感じ。
裏切り者と噂されても友人を売らなかったのに。
可哀想すぎるわ。
恋人までも騙し取られた形に。
それでも赦す?
オマールは神ですか?
カッコよすぎるわ。見た目もかっこいいけど。
銃弾が常に飛び交っている中で普通に学校に行ってるんだね。
日本はつくづく平和だと痛感させられる作品。
犠牲愛
最近観た中で一番心を打たれた映画。懸命に生きているオマール( Adam Bakri)のせつない犠牲的愛の物語。こんなこと私には到底できないわと一言言いたくなるような映画。
2013年ごろ彼らはウエストバンクのパレスチナ自治区ヘブロンHebronで生きていくしかない。現在もイスラエルとのパレスチナの領土問題は現在も終わることなく続き、ますます米国の援助によってイスラエル入植地が拡大している。
ウエストバンクHebron というなかにいるパレスチナ人たちはこの中にいるだけで、どこにも行けない。海は遠くないのに見たこともないらしい。そこに、『ニュージーランドに査証をとって行く』と。他の人はどこがニュージーランドかもしれないとも。明るくポジティブなオマール(Adam Bakri)はガールフレンド(トレックの妹)の家に行くのにもパレスチナの地域と地域を隔てる巨大な壁(Oalandia Wall?)があるから、それを乗り越えなければいけないようになっている。乗り越える時、ユダヤ兵士に見つかれば機関銃で撃たれる。それに、イスラエル兵にパワハラされて、誰だっていつか仕返しをしてやりたくなると思う。
ガールフレンドのナディア(Leem Lubany)との愛を育みパン屋でピタブレッドを焼いてお金を貯めている。結婚して、部屋のここにテレビを置いてなどと二人の夢は膨らむ。パリに行ってみることも考えているが、それはただの夢だということを二人は百も承知だ。なぜなら、彼らはHebronハーブロンを一歩も出ることができないのだから。一瞬でも彼らに夢を持たせてあげたくなる。この望みがあってもどうすることもできないジレンマに置かれているんだから。
この映画のストーリーを説明するよりオマールについて書きたい。アダムは新人俳優だったらしいが、かっこいいし体力のあるニュヨークの俳優だ。多分あの壁を登って、細い路地を走り抜けているのはスタントじゃなくて彼じゃないかと想像する。壁は彼の希望でもあり(ナディアが壁の向こうにいる)障害でもある。彼の行動の好きなところはナディアと結婚するため一生懸命働き金を貯めているところで、その金がナディアのためになるなら自分の利益に結びつかなくても使う。(他愛の精神)
あれだけ懸命にナディアとの生活を夢見て貯めたそのお金を幼馴染、Amjad とナディアの結婚資金
のためにそれを差し出す。ナディアが妊娠しているから兄のトレックが承知していると言って二人を結婚させる。それに、裏切り者で嘘つきの幼馴染(Amjad)をイスラエル側に売らなかった。ユダヤ兵を殺したのはAmjadなのに。
オマールはイスラエル軍側とハーボン町の縄張りの両方と接触したが、自分のグループの人たちをうらぎらなかったしうらなかった。自分を捨てても、ナディアの生活をまもってあげるということ遂行した。結婚できなかったけど、これが彼女にあげられる愛だから。自分の仲間を裏切らなかったということはいい仲介者だったともいえると思う。でもこのことを知っているのはオマール本人だけだった。
最後にナディアはAmjadと結婚してもオマールと交換した愛の詩をまだ持っているとわかり、きっとオマールは彼女はまだ自分のことを愛していると思ったにちがいない。一緒になれないけど、これらの手紙(詩)をもっているとわかっただけでかれは幸せになった。そのあと、彼女に対する愛がまた強くなったと思う。
パレスチナに自由を。これ以上彼らの生活を苦しめるな。
日本に生まれて良かった…
あんな日常で暮らし、恋愛もするパレスチナ。同じ時代に生まれながら、日本は幸せなものである。そりゃ平和ボケもするよね。
でも現実から目を背けてはいけないし、映画を通してだけでも世界に目を向けていたい。
まともな選択肢がない世界。
分離壁はアラブ人の居住区を分断しているという事なのかな。
それとも、イスラエル側にオマールかナディアかどっちかがすんでるのかな。
意識的にパレスチナ・イスラエル関係は追うようにしているけど、
それでもよく分かってなくて。
日本人にはなじみの薄い題材だと
映画のHPなどに背景を説明してくれているものもあるので、
それを見るのですが、この映画は・・・HPが充実してない・・・
それが残念でした。映画本編には全く関係ないのですが。
まあ、そうなった事情もあると思いますが。
オマールがかっこよくてね、体も素敵でね、
全裸でつるされている後姿や、めくれたシャツからのぞくおなかに、
不適切な欲望をちらっと感じました。すいません。
前半では軽々と登れていたロープが、後半で2年ぶりに登ろうとしたら全然登れなくなっていて、
オマールは泣いてしまいます。時が、筋力を衰えさせたのです。
壁の向こうとの断絶した2年を思わせるいいシーンでした。
社会派的視点でも語ることが色々あり、
私などは無知でありますので、かしこブレーンに
解説して欲しい、ぜひとも!みたいな映画です。
でも、監督は青春物語として描いたとおっしゃっています(多分HPで見た)。
その切り口でも解説なしで十分堪能できました。
サスペンスでもあります。
はっきりと口にできないことが多すぎる文化の中で、
言えない本当のことを
自分だけの想像・知識で、補完して、
恋人を信じるには、彼らは若すぎた。
オマールもナディアもアムジャドも。
友人の言葉や、恋人が冷たくなった事に、ただ衝撃を受け、
怒り狂い身を引く前に、言質をとる知恵もない。
妊娠したのかとかね。聞けばわかったことなのに。
若く、幼いオマールが悲しかった。
真面目に働いた結婚資金をナディアのためにアムジャドに
譲るなんて、あたし絶対できない。やさしいね。
そして、アムジャドですよ。
ナディアを妊娠させた、という言葉は、
うそをついているようには見えなかったのですが、
その方面の知識が薄すぎて、知らんかったのかな。
それを見越して、だまされたんかな。
並んで歩いて、手にちょろっと触れただけ位のふれあいで、
ああ、もうナディアは妊娠しちゃったよ、
責任取らなきゃってラミに吹き込まれたのかな。
あるいは、妊娠させたってゆったら
オマールからナディアを奪えるとラミに言われたんかな。
そこまで悪知恵が働くようにも見えなかったけど。
あ、オマールの悪口をラミに吹き込まれて、
大切なナディアを悪い男から守って、自分の物に
するには、こうせよって教えられたんかな。
オマールが疎ましいという気持ちはあったでしょう。
だって、アムジャドはパッとしないけど、
オマールはすんごい美男子ですものね。せつないね。
ナディアも勉強頑張れとかゆわれてる位だから、
高校生くらい?だから、めっちゃコドモなわけですもんね。
だまってオマール信じて待っとけよと思いましたが、
無理な話ですよね。うん。
せつないな、悲しいなとおもいました。
そして、これがパレスチナでなければ、
怪我する必要のない、ありふれた恋の鞘当てじゃないですか。
そういう青春を味わえなかったことを思うと、
余計にやるせないな、と思いました。
ラストは、私はアムジャドを撃つための銃かなと思っていたんですよ。
でも、ラミだったんですね。そこが読めてなくて、え?え?って思いました。
アムジャドもナディアの兄もオマールも、イスラエルから見たら、テロリストです。
本人たちはどう自認していたのか、パレスチナの世間ではどうだったのか。
あと、オマールを石の上に立たせておちょくった(というかリンチした)
イスラエル兵の考えていた事ってなんなのか。なんであんな卑怯な事ができるのか。
いろんな気持ちになり、いろんなことを考える糸口を得た鑑賞となりました。
ゴッドファーザーの物真似は本家を知らんのでわかりませんでした。
隣の席の男性は、うれしそうにわらってたので、似てるんかも。
すごくよかった
疑心暗鬼で、誰が本当なのか主人公すら分からなくて、見ていてとてもハラハラした。サスペンス性がとても高くて面白い。結果的には主人公がすごくお人よしだった。
あんな状況で生きていくのはつらすぎる。これが絵空事ではなく現在進行形の世界なので、ぬくぬく過ごしているのが申し訳ないきもちになる。
主人公が縄のぼりができなくなってしまい、無常を感じた。
猿の捕まえ方
資本、スタッフ、キャスト、すべてパレスチナ人による制作ということに心動かされる。この時点でパレスチナ人なら周知の歴史や民族感情について既知でなければ、映画の中に張られた伏線の理解が深くはならない。
占領側のイスラエル、される側のパレスチナ。今さら、話し合いで解決できるようなものではない。尖閣や竹島でさえあれだけいがみ合うのだ。パレスチナの現状は想像を超えるのだろう。
様々な伏線によって、オマール同様こちらも騙され、罠とも知らずに踊らされ、真実を知り愕然とする。なにより、妊娠はしていなかったことに驚いた。すべては、「角砂糖を握らされた」アムジャドをまんまと懐柔したラミの仕掛けた筋書きだったのだ。この映画の上手いところは、そのラミを単に冷血漢とせずに家庭的な側面をあえて見せておき、いい父親との二面性のギャップや矛盾を印象付けている。ここでもまんまと騙されているのだ。
でラストに、もうオマールは自分の手の内だと思い込んでスキを見せたところで、バン!となる。ラミ自身も、自分が角砂糖を掴んでしまっていることを忘れていたのだ。「猿の捕まえ方を知ってるか?」と尋ねる会話は、アムジャドを協力者にしたてて「猿の話」を教えたのはお前だろ?と言わんばかりだし、お前こそがその猿になったぜ、とも言わんばかりの、静かながらも深みあるセリフだった。
分からないのは、オマールが最後に渡したナディアへの手紙の中身だ。今でも君が好きだとか?スパイの疑いをかけられたけど、自分も君の妊娠を疑っていたいたからお互い様だとか?まさか、そんな陳腐なわけはあるまいが、ナディアのあの笑顔のわけが解せない。少なくとも、好き同士でありながら結ばれなかった二人が、お互い納得のいく手紙の文面とはなんだろうか。
自分なら、騙されたことを知った以上、アムジャドの罪を責めないことがナディアの幸せにつながるとは思えないのだけど。
自分を犠牲に儚い恋物語と社会情勢
序盤の雰囲気はフランス映画の「憎しみ」を思わせる感じで全体を通して飽きずに観れた。
オマールを突き動かさせる様々な行動は徐々に自分の為では無くなりラストの腹を括った場面は何とも溜め息が。
仲間との遣り取りに儚い恋愛と微笑ましく笑えるシーンもあり反対に追われるスリリングさに刑務所のシリアスな場面と様々なジャンルが含まれている。
オマール役の俳優が「トレインスポッティング」のレントンや「憎しみ」のV・カッセルを彷彿とさせるインパクトで今後も期待。
ビトー・コルレオーネのモノマネは笑える。
恋をしたりお茶をしたりしながらも、銃を取る青年たちの姿
ヨルダン川西岸の日常が淡々とサスペンス調で描かれる。警察から逃げる青年たちを、町の人たちはそっと裏口へ誘導し何事もない顔をしているのが、パレスチナの現状。
ガザはまた事情が変わるだろうが、ガザからも新しい映画が生まれるのではないだろうか。そんな勢いを感じた。
アモス・ギタイ監督ものより、物語の引き込む力がある監督だった。
卵と壁
卵はいつだって、どんな時だって、好む好まざるに関係なく、簡単に割れてしまう。
簡単に割れてしまう卵を、簡単に割れてしまわない様な、粗末に扱わない様な、粗末に扱われない様な、そんな世界が来るのだろうか。
村上春樹の言葉を借りれば、壁はあまりにも高く、あまりにも強く、あまりにも冷たい。スクリーンに映し出された壁は、日本人である私に対しても、あまりにも高く、強く、冷たかった。なぜなら壁は、パレスチナ人の前に立ちはだかっているのではなく、私の前に、そして私達人類の前に立ちはだかっているからである。
壁を作ったのは私達人類だ。
しかし、卵を孵すのもまた、私であり、私達人類であるのだ。
愛で人は騙せるのか
全てパレスチナで撮影されている時点で、治安的に大丈夫?と観ていてソワソワする。
壁を越えて愛する人に会いに行こうとするパレスチナの若者のヒューマンドラマだと思っていました。(そこに戦争要素有り)
開始早々、主人公のオマールはパレスチナとイスラエルを隔離する壁を簡単に越えました。
実際にある壁を越える事がメインじゃなかった。
戦争映画でもなかった。
社会情勢を基に描かれているものの、愛がテーマだった。
イスラエル秘密警察が愛を利用した戦略。裏の裏がある。
ちょっと落ち着いて考えたらわかることが、愛する人が苦境に立つと冷静になれない心理を突かれた!
ラストの「猿の捕まえ方を知っているか?」は伏線が紐解かれる瞬間。
もう1回観て伏線を回収したい。
角砂糖を握ったお猿さん
カインとアベルでしたか?。人が人を傷つける話のルーツは。旧約でも新約でも、構いませんが、人は神と、どんな契約交わしたんですかね。技術は進化しても、私達は未だに、゙角砂糖を握ったお猿さん"です。憎悪で憎悪を消せないことを認識できるのに、実行できずに、21世紀です。人を傷つけるのに、拳もナイフも不要です。電話1本で、事足ります。大切な人の為ならね。パレスチナを密告社会に変えたイスラエルのおじさんにも、大切な家族がいます。お子さんのお迎え、どうなったんですかね。彼もまた、傷つけ傷つけられる輪廻を巡っただけのこと。恩讐の彼方にあるのは、パラダイスか、壁なのか、いつか知ることができると、いいですね。
全26件中、1~20件目を表示