「原作既読」天の茶助 Hiroki Abeさんの映画レビュー(感想・評価)
原作既読
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お久しぶりのSABU監督作、映画館でとなるとMONDAY以来だから10年以上前でしょうか。兎にも角にも邦画界で今では稀少となったオリジナル脚本で映画を制作している、制作できる監督ですね。SABU監督作の特徴としては、物語は結構強引に、芝居は役者冥利につきる感じで、そして、なにより疾走感を感じられる作風です。
というわけで、今作を鑑賞しました。まずは原作既読組としてはどうしても腑に落ちない設定の変更「舞台を沖縄に変更」に触れなければいけないでしょう。原作としては中野ブロードウェイとか吉祥寺位の都市の商店街が舞台になっているイメージだったんですが、沖縄に変更されていました。これがなぜ問題なのかというと、沖縄の必要性が全く感じられないどころか、沖縄が邪魔になっているんじゃないかとすら思えてきます。たまたまロケ地候補が沖縄なだけなのかも知れないですが、エイサー隊や沖縄のアーケード街を出した以上、死生観や価値観、文化など本土とは違う流れがある沖縄に特別な意味をもっているのかと勘ぐってしまいました。物語としては原作とほぼ同様ですが、沖縄の描写分、物語の尺が減ってますから、予想以上に「唐突」な印象です。ただ、そこを「疾走感」と捉える方もいると思います。今作で見直したのは主演、松山ケンイチ、今作では彼の実力如何では物語自体が成立しない難しい役を見事に演じきっています。昔の青二才な面影はどこへやら、完全に主演を張れ実力派俳優がいました。その昔、SABU監督と堤真一がそうであったようにSABU監督と松山ケンイチの相性の良さに、これからも期待せざるを得ないです。
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