「アクションシーンにセンスなく、キャストの魅力も活かせず」ターザン:REBORN メンチ勝之進さんの映画レビュー(感想・評価)
アクションシーンにセンスなく、キャストの魅力も活かせず
激怒して非をあげつらうほどひどくはないが、この作品ならではという魅力も特になし。一言でいえば「イマイチ」あるいは「不発」。
TSUTAYA の準新作コーナーあたりでよく見る、DVD スルーされがちなアクション映画の水準でしかなかった。
特に残念なのはアクションシーンのキセルぶりというか、肝心なカットがなくて中抜けになっていること。
たとえばコンゴの若い戦士がゴリラに向かって弓を撃つシーンでは、弓を構える戦士のカットはあるが、次のカットでは背中に矢を刺したゴリラが倒れてターザンに抱えられている映像だった。
つまり途中のプロセス、矢が飛んだりゴリラに突き刺さったり、ゴリラが苦悶したりするカットがない。
そんな手抜きのシーンを見せられても、客が「痛そう」「かわいそう」と思うわけがないでしょ。
この作品は終始この感じで、いずれのアクションシーンにも観客のエモーションを刺激する大事なカットが抜けており、結果的に高揚のない映像が延々と続くだけになってしまっている。
別の言い方をすると、この作品には映画としての快楽がない。
例の雄たけびもイマイチな使い方だったし、ターザンならではの蔦にぶらさがるアクションもいまひとつ魅力的には見えなかった。
それ以外の部分でも、説明台詞が多いわりに人物関係や過去の経緯がわりといい加減で、主要登場人物以外の動機や情動がひじょうにご都合主義的なため、見ていてどうでもいい印象が強くなってしまう。
これだけ魅力のあるキャストを揃えておきながらこの程度の出来では、失敗の部類というほかないような・・・まあ、大きな破綻があったり、どうしても許せないような何かがあるわけでもないのだが。なんかね。