ザ・ベイのレビュー・感想・評価
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フェイクっぽくないフェイク
「パラノーマル・アクティビティ」で流行りに流行ったフェイク・ドキュメンタリー。もう目新しさも無くなったこの時代に、「レインマン」のバリー・レヴィンソン監督が真っ向から挑む。
テレビのドキュメンタリー番組を見ていてアイデアを思いついたとの事だが、本作はまさに「ドキュメンタリータッチ」で描かれている所がポイントだ。主人公が過去を振り返り、ナレーションという形で解説をしてくれるという構成になっている訳だが、意外とこの様な作品は珍しいだろう。
当時学生のリポーターだった主人公とカメラマンの目線がメインとなり、地元の医師と疾病センター、船で遊びに来た若夫婦、テレビ電話で友人と話す少女等、複数の目線で描かれている。
それぞれの物語に直接の繋がりは無いが、何らかの形で繋がったりもするため、細かく観ておくと楽しめる。
本作はホラーのジャンルで間違っていないが、エンターテインメントとしての要素は無く、実際に問題となっている環境汚染をテーマにしており、考えさせられる部分が多い。また、ここからは完全なネタバレだが、人々を死に追いやった犯人は寄生虫である。環境汚染が進み、突然変異によって巨大化した寄生虫が急速に成長し、宿主の体を食い荒らしていくという物だ。その設定だけはB級モンスター・パニック映画で使い古された設定だが、その寄生虫も実際に存在するワラジムシ科の寄生虫であり、全てがリアリティに溢れているのである。結局、環境破壊により、有害な寄生虫や病原菌の住みやすい環境が増え、人間に害を及ぼすという負のスパイラルへの警鐘なのだろう。環境問題は世界全体で問題となっているのは知っての通りだが、そこに一石を投じる作品という扱いで良いのだろう。
意外な作品で環境への配慮を考えさせられたものだ。監督に拍手を送りたい。
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