「究極の選択の連続。溺れる者は藁をも掴む。」パッセンジャー 月野沙漠さんの映画レビュー(感想・評価)
究極の選択の連続。溺れる者は藁をも掴む。
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溺れる者は藁をも掴む。掴まれたものは掴んだものを許せるのか?
藁を掴むかどうかの究極の選択を迫られた男、そしてその後、掴んだ男を許せるかどうか女に選択が迫られる。
自分ならどうか、掴む方、掴まれる方、両方の立場で考えさせられた。生きるという意味についても。
問答無用で許せないという人も多いようだけど、果たしてあなたはそこまで完璧な聖人として生きているのだろうか?主人公の苦しみを本当に理解できているのだろうか?怒りのあまり、そこへの思考がシャットダウンされていないか?
たとえ衣食住が満たされていても、コミニュケーションが無いと生きている意味を見いだせないのでは?
生きながらに死んでいる辛さ。ダンスやスポーツを相手と楽しみ、お互いの上達を見ながら喜んだり悔しがったり。それはアンドロイドやAI相手では無理なのかも。
そしてクライマックス、男は船のために自分の命をかける選択、女は男を犠牲にできるかの選択。
更に女には自分の未来を生きるか、男との未来を生きるかの選択。
そしてアメリカらしいハッピーエンド。自分が脚本家なら主人公が宇宙船を助けることで贖罪させ、終わらせていたかも。
なんでもハッピーエンドにしたがるハリウッドだけど、この終わり方は嫌いじゃない。むしろいいかも。それにもし主人公が死んでいたら、今度はオーロラが他の男性を目覚めさせてしまうという連鎖が続く、星新一のショートショートみたいな皮肉な話になったりしてw
宇宙旅行のトラブルというのは添え物で、とても美しいテーマを扱ったいい映画だと思う。なんか聖書にも通じる。
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