「.」マギー 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。濁った色調に低く響く遠雷、さり気無く設定を説明するTVやラジオの音声。ネクロアンビュレス・ウイルスなるものが蔓延したディストピアの中、親娘の物語。葛藤と苦悩の中、行動力が有るのか、無いのか、どうしたかったのかさえ判らず仕舞いで、何も出来無い我儘なだけに映る父“ウェイド・ヴォーゲル”──笑顔の無い髯面のシュワちゃんも悪くなかったが、義母“キャロライン・ヴォーゲル”役、J.リチャードソンの好演が印象深かった。丁寧に積み上げて来たのに、ラストが等閑で投槍に思え、イマヒトツ。60/100点。
・当初“マギー・ヴォーゲル”はC.グレース・モレッツ、“ウェイド・ヴォーゲル”はP.コンシダインにオファーされた。
・登場するウイルス“ネクロアンビュレス”とは、ギリシャ語で「死」を意味する"nekro"とラテン語で「歩行者」を意味する"ambulist"の造語で、「デッド・ウォーカー」を意味する。
・“ヴォーゲル”家とその周辺は『LOOPER/ルーパー('12)』で、E.ブラントが演じた“サラ”と同じロケ地が使われており、二作には全く同じアングルやカットが存在する。
・後半、D.M.グリフィン扮する保安官“レイ”が、“ウェイド・ヴォーゲル”のA,シュワルツェネッガーに決め台詞"I'll be back"と云うシーンがある。亦、A,シュワルツェネッガーが『ラストスタンド('13)』で演じた保安官は“レイ・オーウェンズ”と云う役名だった。
・『ターミネーター('84)』以降のA,シュワルツェネッガーの出演作では最も低予算で作られた。脚本に惚れ込んだA,シュワルツェネッガーはノー・ギャラで演じたとの噂がある──但し(共同)製作を兼ねているのでそちらの収益はある。
・鑑賞日:2016年2月29日(月)