劇場公開日 2015年10月16日

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「映画史上最凶の愛犬家、誕生」ジョン・ウィック 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5映画史上最凶の愛犬家、誕生

2015年10月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

妻の形見である子犬を殺された男。だが子犬を殺した裏社会の顔役のバカ息子は知らなかった。
その男が、かつて裏社会で最も恐れられた殺し屋、ジョン・ウィックだった事を――
という訳で、『スピード』『マトリックス』そして本作……
忘れた頃に帰って来る男キアヌ・リーヴスの全米スマッシュヒット作が日本上陸!
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やっぱり最大の見どころはアクションシーン。
演技力を評価されたことはそんなに無いものの(←オイ)、役に対する誠実な姿勢を色々と伝え聞くキアヌ。
この映画に登場する戦闘術・通称“ガン・フー”も相当な量の訓練を重ねたらしいが、
本作での彼のガンアクションはマジで際立っている。まるで精密機械のようにスピーディで流麗!

戦闘開始早々、3秒で4人銃殺するという離れ業に口あんぐり。
クライマックスでのドライビング&シューティングなんて笑っちゃうほど見事。
しかも主人公ジョンは、「狙い易い部位を撃って動きを止め、頭を撃ってとどめを刺す」
という恐ろしく冷酷で能率的な殺しのスタイルをほぼ全ての敵に対して執行する。
"鬼殺し"の異名に相応しく、菓子パン工場みたいな勢いで死体を量産していくんである。
思い返してみると、撃たれた敵が「お、おのれ……」とか呻きながら背後から撃ってくる、
アクション映画ではお約束のそんなシーンも、本作には一切登場しなかった。
だって、ウィックさんが通った後は大概みんな死んでますから。

キアヌの怒涛のアクションシーン以外の見どころと言えば、個性あり過ぎな裏社会のメンツ。
最大の敵であるマフィアのボスはコワモテだけどユーモラスで憎めないし、
ホテルの受付・掃除屋・地元の警官とかの脇役すらも、フツーに見えるがなんかズレてる。
部屋の中に死体がごろごろ転がってる所や、血まみれで格闘してる所を見ても、
ウィックさんの周囲の人たちは「あらまぁお宅も忙しそうね」くらいのノリなんである。
裏社会の方々は、どうも一般人からはかけ離れたセンスをお持ちの方ばかりのようで……。
というか職業柄なんだろうけど、みんな死体に慣れ過ぎ(笑)。
そんな人々による裏社会独特の流儀が、この映画全体の雰囲気をユニークなものにしておる。
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ただ、主人公のウィックさん、実は評判ほどの無双っぷりを見せてくれる訳では無く、
格闘になるとけっこう手こずったり、強運に救われたりする事もしばしばある。
そこがアクションや感情面の勢いをけっこう削いでいる気がして、残念と言えば残念な点かな。
まあ今回ウィックさんは怒りに我を忘れてるし、元ボスが敵なので行動範囲は
特定されちゃってるし、おまけに5年以上もブランクがある訳なので
昔通りとはいかなかったのかね。
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以上!
ストーリーにそこまでの新味は無いものの、唖然とするほど流麗なアクションが随所にあり、
どことなくユーモラスな雰囲気もあり、間違いなく平均以上のアクション映画。
判定3.5~4.0で迷ったが、もっとキアヌの無双っぷりを堪能したかったということで3.5判定。
続編決定しているとのことで、今からこちらに期待しておきます。

<2015.10.17鑑賞>
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余談:
本作の戦闘術“ガン・フー”について。
公式サイトのギンティ小林先生のコラムによると
柔道・柔術・ブラジリアン柔術・システマ(ロシア軍隊格闘技)といった格闘技に
近年アメリカの軍事会社にて考案されたC.A.R(Center Axis Relock)システムなる
近接戦闘術を織り交ぜたものとの事。

このC.A.Rシステムをちょろっと調べてみると、これがけっこう面白い。
上半身の姿勢をブらさず、肘を曲げた両手で銃を握るあの独特な構えを行う事で、
・狭い室内等でも素早く正確な構えと射撃が可能
・銃撃時の反動を押さえられる
・マガジンの再装填を素早く行える
・肘を使って近くの相手を殴る事も出来る
などなどの利点が生まれるという。

……まあ銃を撃つ機会なんて一生来ないと思うので調べたトコであれなんだが、
なんだかんだで武器一般には惹かれるものがある訳で、雑学として。

浮遊きびなご