劇場公開日 2015年5月30日

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「獣たちに墓を、探偵に穏やかな眠りを」誘拐の掟 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0獣たちに墓を、探偵に穏やかな眠りを

2018年9月23日
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鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

私立探偵マシュー・スカダーを主人公にしたシリーズ小説の映画化。本作はシリーズの10作目だとか。
シリーズの一つ『800万の死にざま』はジェフ・ブリッジス主演で映画化された事もある。(むか~し、見た事あるぅ~!)
今回スカダーに扮するのは、リーアム・ニーソン。

スカダーにある依頼が。
妻を殺した犯人を探して欲しいというものだった…。

巷を震え上がらせている誘拐殺人事件。
犯人は身代金を手にすると、人質を無惨な姿で殺して送り返す異常犯。
そんな犯人に挑むスカダーも無免許探偵で、元刑事で元アル中。刑事を辞める事となった過去のあるトラウマを抱えている。
また、彼に依頼する面々も麻薬の仲介人など。
訳ありの探偵物語。

リーアム・ニーソンはいつもながらの重厚演技。
リーアムがこの手の作品に出ると、またまた無敵のアクションを期待してしまうが、派手なアクションは全くと言っていいほど無く、渋いハードボイルド・サスペンス。
意外な真犯人とか何かの陰謀とか、そういった味付けや捻りも無く、シンプルに探偵vs犯人。地道な調査で犯人に近付いていく。
なので、全体的にも控え目…いや、ズバリ言うと、地味。
勿論スリルはあるが、クライマックスなどもうちょっと盛り上がっても良かったと思う。
かと言ってつまらない訳ではなく、どんよりとした雰囲気含め、まるで70~80年代のクライム・ムービーを見ているような見応えはあった。
アクションを極力封印し、ハードボイルドの世界観もぴったりのリーアム。が、犯人相手に強気の電話交渉は、うっすら『96時間』の最強親父を彷彿させちゃう。

終始しかめっ面のような作風の中で唯一のユニークな存在が、ひょんな事からスカダーの助手(?)となるTJ。
勝手にバレバレの尾行してきたり、首突っ込んできたりの困った君だが、ホームレスで難病持ち。
それさえもバネにし、スカダーを好サポート(?)するナイスキャラであった。

先に述べたように、本作はシリーズ小説の10作目。『800万の死にざま』は5作目。
何で中途半端に映画化する?…と思うが、
例えば自分が映画の作り手だとして、金田一耕助作品を手掛けるとしたら、『本陣殺人事件』からじゃなく、特に好きな作品を映画化したいと思う。
きっと、そんなとこだろう。

近大