紙の月のレビュー・感想・評価
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歪んだ愛のカタチ…
異例の盛り上りで日本アカデミー賞まで受賞した『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督の作品ということで、自分の中ではかなり注目していましたし、期待も高まっていました。
もし世間的にもそうなら、監督としてはある意味本作が試金石になるのではないでしょうか。
また難しいテーマに感じられる作品に取り組んだものだと思う。
下手したらただの事件簿になりかねない。
しかし監督はこれを高いレベルの良い作品に仕上げできた。
ただ、賛否両論あるだろう。
誰が観ても手放しで楽しめる映画と言う訳ではない。
勧善懲悪めでたしめでたしって話ではないから、そういうのを期待して観ている人には評価されないだろうと思うし、映画内で答えを示して欲しい観客には物足りないかも知れない。
何故なら本作で描いているのは、主人公の悪行を罰するものでも、善悪を問うものでもないからだ。
梨花のお金を通してしか実現できない歪んだ愛やその生き方そのものを観客に問う、開かれた結末の映画だと思っている。
なので本作も『桐島~』同様、観た後にあれやこれや考えてしまう。
私は観賞後1週間梨花について考えさせられました。
果たして梨花は本当に幸せだったのだろうか?とか、誰かのためとか言っても結局は自己満足のためなんだろうなとか…。
主演の宮沢りえさんの演技は良かった。どんどん綺麗になっていく様は見事だ。
そしてなんと言っても隅より子役の小林聡美さんが素晴らしい!
本年の助演女優賞ものだと思う。
その対比としての大島優子さんもハマっていたのではないだろうか。
自由を勝ちとるの!お金に振り回されないで
教会の賛美歌のシーンからはじまる。
宮沢りえ扮する銀行員のリカ。夫は仕事に燃えるあまり妻の本心を汲みとれてない、不満が溜まってある男性と出会い惹かれていく。
スラスラと人物の背景が宮沢りえによって心に入ってきた。
昭和の懐かしい時代描写もよかったし、事件の捉え方もよかった。
標題のような問題提起をテーマにしたのかなぁと勝手に推測しましたが吉田監督に聞いてみたいです。
いくつか気になった点。
①宮沢りえが初めて古い家に営業しに行くシーンのタイツの色が違っていた。
最初は地味な濃い色のタイツ。家の前に着くとナチュラルストッキング。
②まゆゆが年齢的にまわりの中学生から浮いて見えた。違和感あります。
③シスターが子供時代の宮沢りえを叱るシーンがどんな言葉で諭すのか最後まで映してほしかった。
④カルティエの腕時計。あのデザインて当時にあったかな?
初めは期待していなかった
小林聡美がますますよくなってる。
聡ちゃんのファンです。昔から。予告でみたあの髪型に仰天。おばさんになってもこの存在感。さすが。出番は少ないけれど重要な役どころと表現の上手さ。うなるばかりです。
主役の宮沢りえも大島優子もほんとにいい感じ。
音楽もいい。物語を更にスピーディーに展開させてます。
主婦の日常の犯罪ってなんて面白いんでしょう。どこにでもありそうだから?けどおきないのが普通。それをあえて実行するから事件になる。
結局は皆自分の思い通りにやりたいことをどこまで我慢するかの問題。たがが外れた人間の運命です。
小林聡美が昔主演した名作TVドラマの‘すいか’の主演二人の設定もこれと同じだったな~。こちらは犯罪前、TVは犯罪後。ノリは全然違うけれど…。
とにかく、ひとつひとつのセリフに重みを感じます。表情も見逃せません。傑作!
転げ落ちて行く疾走感〜
この所の宮沢りえの演技に魅力を感じて観に行ったらなかなかの秀作。
観終わった直後は梨花が大学生に溺れて行く過程が
少々性急過ぎて飲み込めなかったけれど
偶然にラジオで吉田監督のインタビューを聴いたら
「原作を読んだ時に感じた女性が走って行く姿」を
形にしたいとの事で、この犯罪に対して
何か特別な理由を作って共感させるのでは無く
何かきっかけがあれば良いも悪いもぶち壊して
坂を転げ落ちるように踏み外してしまう「人」と言う危うさを
疾走感として表現していたとすれば
大学生に溺れて行く性急さや、
最初にお金に手を付けてしまった理由の安易さも、
テンポの良さ重視の演出と言うことになるのかな〜。
犯罪の性質上、映る映像はありふれた街の風景なので
爽快感は比べようもないのだけど
梨花が手にしたお金とその気分は
「テルマ&ルイーズ」の様に
行き場の無い高揚に向かって走って行く。
嘘を隠す為のジタバタさえも逆に笑ってしまう。
宮沢りえもさることながらこの映画
小林聡美が安定の良い仕事してて流石。
同じ様な状況の役を11年前に『すいか』と言うTVドラマで
演じていて、その当時のセリフを
宮沢りえとの対決シーンで思い出してしまった。
『すいか』の方は大金を横領して逃亡した元同僚が
なぜか時々電話をして来ては、
横領したお金でアレをしたコレをしたと報告され、
その度に自分だったらどうしただろうかと
思いをを巡らすだけで
結局は「踏み外せない人」を演じてました。
あまりにまんまな設定なので監督は意図して起用したのかしら?
と思ったくらい。
大島優子も良かった。
大きなくりくり目で世の中を見回して抜け目無く生きて行く
小動物の様でした。(笑)
思わず引き込まれていました
素晴らしき後味の悪さ。
有り勝ちな話を軸に“一見”普通の人物の異物感を丁寧に描いた作品。
良かった。
特筆すべきは主演の宮沢りえ。
彼女の表情、言動、雰囲気の表現力。
彼女の佇まいで状況の理解が深まり話に惹き込まれていきました。
特に表情。
序盤、頼りなさげな表情から始まり。
土俵際で正気と狂気が入り混じる表情。
一時の享楽に身を任せている時の表情。
そして完全に土俵を割ってしまった時の表情。
表情に凄みが増していき、思わず息を呑む場面もあり圧倒されました。
長く続いた緊張がフッと切れる瞬間の表情もグッときました。
相手役の池松壮亮も良かった。
時間/関係性の変化により多面的な側面を見せると同時に。
序盤から或る結末を匂わせる雰囲気を醸し出す。
どこか陰のある屑を演らせれば随一。
交接場面の演技巧者振りも安心感がありました。
その他周りを固める俳優陣も安定感があり話に没入出来ました。
また登場人物像を表す描写も良かった。
話の大筋自体は目新しい要素が少ない「横領事件モノ」。
予想通りの筋の中で、登場人物達の実像が細かい描写で示される。
「何もない普通の主婦が不適切な関係を機に」という分かり易い人物像から始まるものの。
過去の或る出来事から語られる梨花の人物像。
様々な解釈が出来る、その人物像にモヤモヤ感が残ります。
彼女は本当に我々がイメージする「普通の主婦」だったのか。
彼女自身は「普通」を理解していたのか。
その観点で一番最初の小さな不正(融通)の切欠は何だったかを思い返すとモヤモヤ感が増します。
鑑賞後、作品の解釈や未消化部分を他人と話したくなる作品でした。
惜しむらくは上映時間。
上映時間126分は少々長く感じました。
結論が予想出来る分それに至る道程はギュッと絞った方が良かったのでは。
90分程度であれば、という点は残念でした。
有り勝ちな話を軸に“一見”普通の人物の異物感を丁寧に描いた本作。
不透明な将来に囚われた2人の会話から始める終盤の展開も秀逸。
中身が無い上に、囚われ方が異なるため咬み合わない不毛な議論が続く中。
その停滞感を一気に吹き飛ばす打開策。
呆気にとられる中で掛けられる或る一言。
その唐突感、異物感、一種の納得感にグッときました。
有り勝ちな話に潜む小さな異物感の積み重ねを感じたい方。
オススメです。
最低の駄作
なぜ、この映画が評価が高いのか全く不明。
未だにモヤモヤしている。
しかも、ご招待で観たので、私の財布から出たお金で観たわけじゃない。
しかし、この2時間、行きかえりまで含めると4時間。時間を返して欲しいというほど、無駄だった。
この横領というところに至るまでの過程も、全く理解不能。
金融機関に勤めている以上、人の金と自分の金が別物であるなんてこと、当然ではないのか。こんなに簡単にバカなことができるなんて、この主人公は何?
まったく共感できない。
なんで、タイ。
なんで、それをファムファタールと称賛するのかもわからない。
日本人の倫理観がぶっとんでるのだろうか。
ダメな事はダメ。
映画なら、それを良しとする、もっとファンタジーな理由を付けて欲しかった。
主演女優も、客観的にみると、、、、
法令線と顎の下のたるみが酷い。
もっと綺麗に撮れなかったのか。
同行者は、「だって宮沢りえは舞台で評価が高いのよ~」
違う。
それは聞き伝えにしか過ぎない。
実際に感動させられなければ、それは誇大評価だ。
元アイドルが、濡れ場を演じて、映画人のおじさんたちが頑張ったねっていう○○賞をもらったに過ぎない。
そういう人が演技をしても、駄作は駄作。
心に響いてはこなかった。
お金はただの紙
ありがちなストーリーです
アラフォーの女が若い男に入れ上げ、貢ぎ、贅沢をするために横領に手を染めていく
ラストで横領犯は捕まるのか、捕まらないのか…あるいは他の結末が?という一点に向かいストーリーは進んでいきます
わりとテンポよくストーリーは進みます時々ハラハラドキドキしながら、あっという間にラストシーンを迎えました
(宮沢りえ演じる梨花にあんな根性があったとは驚きでした)
イマイチ腑に落ちない部分もあります
なぜ、男子大学生は地味な風貌(美しさは残ってはいるものの)の中年女に惹かれたのか、梨花はなぜ突然自分から男を誘うようなマネをしたのか…(日常の不満からきっかけは些細な事で良かったのでしょうが)
粗筋を読むと『夫に不満』とありますが劇中の夫はそこまで酷くもないように思えます
嫌味っぽいとはいえ、ブランドモノの時計を買ってきてくれたり、海外赴任の同行を断った梨花にちゃんと電話を寄越したりもする
後から気になったことです
改めて粗筋を読むと、設定がバブルが弾けた1990年代後半とのこと
残念ながらあの時代の雰囲気が出ていないと思いました
思い返せばお金持ちの老人、恋人との過ごし方等はバブル期ですが、携帯が登場しない他は現代でも通用する風景、ファッション…少し残念です
総括しますと、時々首を捻る場面もありますが全ては宮沢りえさんの熱演がカバーしてくれたように思いました
梨花が壊れていく姿は必見です
月並みですが、お金では幸せになれない、ということだと思います
ちなみに大島優子さんが思いのほか、良い演技を見せています
お金で本物の自由は得られない
「紙の月」
とにかくリアル
『紙の月』を観賞。
角田光代の同名小説の映画化。
夫と二人暮しの梨花(宮沢りえ)は銀行の派遣社員として外回りの仕事をこなしていた。上司や顧客からの信頼も厚く一見順風満帆な生活に思えるが、自分に関心の薄い夫に不満を募らせていた。そして、ある日出会った年下の大学生光太(池松壮亮)と密会を繰り返すようになり、横領に手を染めていく…。
とにかくリアル。
もちろん宮沢りえの熱演あっての事だが、主婦が不満はないが満たされない生活の中での苦悩、最初はすぐ返せば良いと小額に手を付けてしまう後ろめたさ、徐々に金銭感覚が麻痺し自分でも歯止めが効かなくなる様など、どのシーンを取ってもリアルの一言に尽きる。決して自業自得の一言では片付けられない怖さがあるのだ。
最初の光太との出会いから密会のシーンは若干唐突で「?」と思うものの、以降の展開は観客をグイグイ引き込んでいく。
ミステリー要素もあり飽きることなく最後まで一気に突っ走るスピード感も良かった。
ポスターの「最も美しい横領犯」という言葉には違和感を感じるが、40歳を過ぎた宮沢りえの良い意味での枯れ感が物語に悲壮感を与え現実味を高めている。
改めて宮沢りえという女優の底力を感じる作品となっている。
共感はできないけど、梨花の気持ちがとてもよく分かる
愛は身を滅ぼす。人間の弱さを赤裸々に描く社会派作品。
【賛否両論チェック】
賛:人間が欲に溺れて身を滅ぼしていく様が、赤裸々に表現されている。誰しもの心に忍び寄りうる闇に、深く考えさせられる。
否:「自業自得」と言ってしまえばそれまでの内容なので、好みは分かれそう。過激なラブシーンもあり。
最初はごくごく平凡な生活を送っていた主人公が、とても些細な過ちが引き金となり、次第に道を踏み外していく様子が見事に表現されています。ある意味で誰しもが起こしてしまいうる事態に、身の毛もよだつ思いがします。そのくらい、横領にしても不倫にしても、主人公が徐々に背徳感をなくしていく描写がリアルで、考えさせられます。反面、言ってみれば「身から出た錆」的な話ではあるので、「いやいや、自分のせいでしょ」と思ってしまうと、あまり楽しめない作品でもあります。その辺は、好みが真っ二つに分かれるところだと思います。
過激なラブシーンもありますが、「お金の怖さ」を改めて認識出来る作品に仕上がっています。
期待して公開日に見た結果…
女友達アラサー三人で楽しみにして仕事終わりに見に行きました。本当に予告が面白そうで、先々週から見に行くのを約束してたくらいです。
結論、全員一致で今まで人生で見た映画でいちばんつまらなかった。途中30分過ぎたあたりで座っているのも苦痛でした。今まで数々の映画を見てきて、エンドロールを最後まで見らずに席を立ったのは初めてです。
なんでこんなにつまらないと思ったのかも分からなかったくらいなんですが…思い出しても、何の映画だったのか分からない。話としてはわかります。平凡な人が横領をしてバレる、その過程と理由を描いたものだと。しかし、その肝心の過程と理由がまったく分からないし、物事の至る経緯、人の心情も伝わってこない。見所もなく、盛り上がりもないから最後のオチのシーンも…とりあえず最後くらい派手にしとけばってことでそうしたの?と言う感じでまったく心に響かない。
役者さんには不満はないです。どちらかというと宮沢りえさんは好きな方の役者さんです。でも話がまったく面白くなかったせいで、美しい宮沢りえの顔どアップもキツくなり、しかもどアップの連続でさすがに美しくても食傷ぎみに…しばらく宮沢りえは見たくないな…とか思う始末。
やってることが同じことの繰り返しなので、画も単調で、見るのに疲れました。ずーっと同じで単調でした。
これ、原作未読では面白さがぜんぜん分からない映画になっているんでしょうね…
なんでこんなにつまらない映画に原作者はGOサイン出したんでしょう…逆に原作読んでみようかという気になったので明日くらいに書店に行ってみようかと思います。
面白くなさ過ぎて怒りすら湧いてしまい、この気持ちのやり場がどこにもなく、どうしようもなく、このレビューを書く為だけに映画.comに登録しました…
1300円もったいなかったなあ…
やっぱり吉田大八監督は信頼できるなと確信。宮沢りえの魅力がスクリー...
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