紙の月のレビュー・感想・評価
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凡庸
宮沢りえは日本の宝
【”宮沢りえVS小林聡美” 平凡な主婦が巨額横領に走り、崩壊していく姿を描く作品。The Velvet Underground and Nicoの”Femme Fatale”の曲調も印象的である。】
ー 近年の邦画の中では頭一つ抜きん出た一品。ー
・取り分け、宮沢りえ、小林聡美の二大女優の演技が今作の素晴らしさを成り立たせている。
・一線を越え、加速度的に横領額が増え、比例して華やいだ姿になっていく梅澤梨花(宮沢りえ)の姿。
彼女が、平林光太(池松壮亮)と横領した金で、ホテルのスイートルームではしゃぐシーンの虚しさ、怖さは忘れ難い。
・真面目な後方事務員、隅より子を演じた小林聡美の抑制した演技。対照的な窓口係、相川恵子を演じた大島優子の描き方も上手い設定だなと唸った。
・妻の気持ちに全く気付かない夫の姿(田辺誠一)、銀行の中間管理職井上を慇懃に演じた近藤芳正も忘れ難い。
・それらを各役者さんから丹念に引き出した、吉田大八監督の手腕も素晴らしい。
<宮沢りえさんの何かが憑いたような素晴らしすぎる演技と、「The Velvet Underground and Nico」の「Femme Fatale」の使い方も印象的な作品である。>
<2014年11月15日 劇場にて鑑賞>
同僚の奥さんが不倫をしてしまって
数年前に観てとても印象に残ってた作品の、2度目の鑑賞。こんなに大金...
目的は?
吉田大八監督作品では、
「桐島~」「腑抜けども~」「パーマネント野ばら」など、
深層心理を露わにした人間関係描写が上手いと感じていて、
今回も御多分に洩れず、そこは描かれていたが、
ちょっと端折ったのか、導入が少し共感出来なかった。
光太との馴れ初めの所ね。
あれは、男と女の性欲のピークが上手い事重なって、
(一般的に、男は19歳、女は40歳とのこと)
あーなったと思えば良いのかしら。
そーなる前の日の梨花は光太をかなり意識してたし。
で、不倫とかはよくあるじゃん(世間的にも身近にも)。
でも横領は見ててどんどん不快になっていく。
偽の営業ビラの作成から領収書の偽造まで確信犯だし。
10万円渡して、200万円の受領書にサインさせるのとか、
スウィートルーム連泊で、請求書が146万円とか、
何が目的で何が手段なのか訳が分からなくなってくる。
最終的には横領発覚するのだが、
追い詰めた隅さんが言い放った本当にしたい事、
「徹夜くらいしか思いつかないわよ!」
「次の日の仕事に響くからやらないけどね」
追い詰められたはずの梨花が優勢になってしまう妙な展開。
お金があってもやりたい事が無い人は、
横領する人の気なんか1ミリも分からない訳で、
なんか、やったもん勝ちみたいで、まあまあ気分悪い。
まあ不倫もやったもん勝ちか、最近は負けが多いけど。
濡れ場俳優こと、池松壮亮がまたもや台詞少ない若者役。
ベッドシーンはあるけどノービーチクです。
日本版、ブラックスワンのような
・リアリティのある人間描写
日本の縮図のような登場人物たちが魅力的でした。
女性陣、男性陣とも、周りにいそうなリアリティ。
これは素晴らしい俳優陣による賜物。
周りにいそうな心理描写が面白い。
宮沢りえ演じる、真面目すぎておかしくなってしまうタイプ。
大島優子演じる、調子のいいタイプ。
小林聡美演じる、ルールが命のタイプ。
そして男性陣もとてもリアル。
田辺誠一が演じるのは、女心があまりわかっていない俺様タイプ。
池松壮亮が演じる、今時のブレブレな若者。
そして、近藤芳正演じるダメ上司。
こんなにも、生々しく、わたしが感じていることが
映画にされていて、やはり同じことを考えている人は
大多数いるのかもしれないと思った。
それぞれの孤独感。
苦しみ。
それを下敷きに回る社会。
苦しみもがく宮沢りえは見ていて
ブラックスワンのナタリーポートマンのような役どころ。
全員、誰か実際にモデルとなる人物がいて、
それを真似たのか?と思ってしまうほどの
リアリティ。
言葉の途中の息遣いひとつまでも、リアルで。
終わり方はロック。いや、パンクか。
邦画の湿っぽい雰囲気は苦手なのですが、
この作品はぐっと引き込まれた。
もっと暗くて、軽いホラー要素があるのかと思っていたら
案外普通だったのも予想外。
とても丁寧で、スランプに陥ったらまた見たいような作品。
悲しいのか?羨ましいのか?
熱量が感じられない
総合:65点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
全体の質感は悪くない。でも横領をする女の葛藤というか熱量が伝わってこない。真面目に生活してきた女が厳しい銀行の目を盗んで他人の金を奪っていくという犯罪行為に手を染める時、そこにあるべき戸惑いと緊張感と罪悪感と高揚感が感じられない。本来は感情が溢れそうなものだが、人形のように熱量が無いままに静かに冷めた雰囲気で物語が進んで行く。
宮沢りえの独特の雰囲気はあるのだが、浮気相手に対しても夫に対しても同僚に対しても、そして犯罪行為に対しても静かすぎた。それでいてやることは大胆。そこに違和感があって、質感の高さは感じながらも引っかかるものがあった。なので長所短所が相殺しあってそこそこの評価。この状況を普通に考えれば、主人公は普段の生活に感情と罪悪感の薄さが突然溢れ出る異常者。
平凡な主婦が銀行に勤め 金をもて余す老人や会社の内情 そして、年下...
原作未読。ドラマ版未見。
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