「プリントゴッコ」紙の月 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
プリントゴッコ
少女時代はミッションスクールで水害に遭った外国の子供たちへの寄付金を皆より多く送っていた梨花。施しをするのはどこがいけないのですか?と疑問を投げかける梨花であったが、その金は父親の財布からかすめ取ったもの。自分が悪いことをしている意識がなかった。
不倫関係が始まり、平林光太(池松)が大学の学費のために150万ほどの借金をしていることを知った梨花(宮沢)は、祖父(石橋蓮司)から預かった200万をキャンセルになったと偽り、受取証書を偽造してそのまま光太に渡してしまう。そこからは見栄や贅沢なデートがしたくなり、他の顧客からも証書を偽造して横領することになる。
夫(田辺誠一)は上海へと転勤となり、仕事が忙しいからと同行を断ってしまう。その間も不倫デートは回数を重ね、横領額もどんどん増えていく。自宅にはコピー機、プリンター、プリントゴッコなど、偽造機器がリビングを占める。
やがて銀行の古株隅(小林聡美)により、横領が発覚。しかし、次長(近藤芳正)と若手相川(大島)との不倫関係をネタに脅迫もどきにせまり、事なきを得た。多分、その後も苦心した偽チラシで客を釣ろうとする梨花。もう逃げられない状況に追い込まれていく・・・
徹夜したときに新月を撫でると消えてしまった・・・そこで自由というものを感じて、罪の意識がなくなったのであろう。
最初は買い物中にちょっと金が足りなかったから、顧客の金を一時拝借したのがきっかけ。横領罪で大金を得た者はみんな些細なことから始まったのだろう。宮沢りえがどんどん落ちていくところが見事に描かれていた。ただ、ラストはタイへと逃げた梨花が描かれていて、自由を得たように思われたが、スッキリしなかった。タイで捕まるなんてのが現実的でよかったかな。