パンドラの約束のレビュー・感想・評価
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腐った木ばかりを見ずに、森を見よ、ということか。
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フクシマ以来、世界中が原発に強い拒否反応を示してて、テレビも、映画も、原発関連ものはすべて「反原発」。そのなかであえて、原発推進を唱える学者や活動家の意見を取り上げた本作。
科学的データを用いて、その根拠を示す。たとえば、今の福島やチェルノブイリよりも、南米のある海岸の砂浜や、太平洋上の飛行機の機内のほうが放射線量は多い。そもそも放射線はまったくの人工物ではなく、自然界にも存在しているものだ。許可なくチェルノブイリに戻った住民のなかで放射線による癌で死亡した人はほぼいない。さらにいえば、心配された奇形児などの報告も一切ない。むしろ、自然エネルギーに頼る政策の脆弱さ、CO2を排出することでの地球への負荷の指摘が的確だった。核兵器への転用という懸念も論破。
僕はずっと、世論がみなヒステリックに原発を悪としか見ていない風潮に懐疑的だったので、すこし溜飲が下がった気分。
フクシマの事故は人為的なレアケース。立地の選定という、大事な安全性の担保が不十分だった(映画で触れていないけど)。しかし、その代償が莫大過ぎたために、原発の利点(クリーンさ、多量なエネルギーの供出)に目をつぶってしまっている。
ただ、個人的懸念は、現状の技術ではたとえ少量であろうと核のゴミは出る、ということ。第四世代の原発の開発の成功を願ってやまない。
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