「人生を楽しもう」シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
人生を楽しもう
育ちも境遇も全く違う、ヨガ講師兼モデルのKUMI(道端ジェシカ)と、明るいだけが取り柄の凡骨な海空(門脇麦)。そんな二人がヨガを通して徐々に分かち難い友情を育んでいく……というお話ですが。
最初ね、観る前は自分、ヨガの啓蒙運動的なだけの映画かと思って少し身構えてたんですよね。
やあすいません、全く違いました。
まあ、確かにヨガは出てくるし、展開の中で結構な比重に置かれてるんですけど、ただそこをガンガン推ししてるってノリでもなくて。ストーリーの流れにポンと上手に組み込んで来てるなあ、という印象でした。
諸々の人物や設定のタイプもステレオっちゃあステレオなんですけども、まあこういう内容に捻りを加え過ぎてもあんまり意味ないですしね。その分、深刻さをなるべく省いた「ゆるさ」に特化していて、そういう方向で丁寧に作ってるんですよね。だからなのか、自分的には意外と物語に引き込まれていったというか。
でも、なんていうか、その「ゆるさ」が割と辛辣な方向にちょいちょいと舵が切られる場面があって、そこも変なバランスでね、なんか楽しかったんですよ。一例を挙げると、二人が友情を育むきっかけっつーのが笑っていいのか笑っちゃいけないのかって内容で。海空が街中で意気投合した男が最悪でね、なんとソイツが詐欺師で、出会った夜に処女を奪われた挙句に、家財道具と貯金全部盗まれて路頭に迷っちゃって、そんな所をKUMIに助けてもらうっていう。あれって「ゆるさ」に包んでるけど、かなりヘビーな事件だよね?ていう。あとは、そうだな、KUMIの自殺未遂的な内容も入れてみたりして。
だけど、彼女達を立ち直らせるのは結局ヨガなんだよね、ていう。うまくまとめたなあ、と。
ラストには5分間の瞑想タイムを挿入してみたり、これを観てヨガやってみよう!て人も出てくるんじゃないでしょうかね。うん、面白かったです。