「健気さといじらしさ」リトル・フォレスト 夏・秋 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
健気さといじらしさ
なんで、いち子(橋本愛)がただ自転車に乗っているだけの映像を観ているだけなのに、涙がでてくるのだろう?
そこ、泣くところ?と思う人もいるだろう。だけど、画面からいち子の健気さが伝わってくるのだからしょうがない。
人の少ない山間部の集落で、自給自足をしながら一人で生きているいち子。彼女は、自ら進んで故郷に戻ってきたのではなく、なにかに挫折し、逃げてきた。そして、ずっとここに居つくつもりもない。だけど、そんないち子は、生まれ育った故郷の人や季節や野菜や生き物たちに囲まれることで、自分を取り戻そうとしている。昔を思い出しながら料理をする。ぽつりぽつりと独り言を言う。汗にまみれて農作業に精をだす。その姿がとってもいじらしいから、涙が流れてきてしまうのだ。
役者もいい、映像もいい、カメラワークもいい。流れる音楽もめちゃくちゃに心地いい。どんだけ金や人や火薬を使っても、こんな極上の優しさに包まれる気分にさせてくれる映画はないだろう。
続編に期待。
コメントする
uncle50さんのコメント
2014年12月5日
愛ちゃんは女神様みたいですね。
気品と優雅さが相俟って、クールでもない三枚目的な
愛嬌がなんともいえない魅力です。いろんな作品に出
て欲しい、舞台もぜひ挑戦して欲しいもんです。