「時の観念を忘れさせる現代版の西部劇がそこにはあった」セインツ 約束の果て ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
時の観念を忘れさせる現代版の西部劇がそこにはあった
なぜだか60年代のアメリカン・ニューシネマ時代の西部劇を見ているような感覚に陥った。眩い光が差し込み、もう何十年、何百年と繰り返されてきたであろう男女のやり取りを目にするにつけ、観る側もすっかり時の概念を忘れ去ってしまう。これを手掛けたロウリー監督がのちに『ア・ゴースト・ストーリー』で時空の壁をいとも簡単にヒョイと飛び越えて見せたことを考えると、時代背景をあえて曖昧にする作法は彼独特のこだわりと言えるのかもしれない。誰もが穢れを背負って生きている。メインとなる男女も自分たちの選んだ人生について覚悟を決めているし、彼らに手を差し伸べる人々もまた、単なる守護天使ではなく、心の内側に言い知れぬ過去を秘めていたりもする。その意味で邦題の「セインツ」とは非常に逆説的な言葉だ。しかしやがて訪れる運命を覚悟し、それでもなお、純粋にただ「会いたい」と願い続ける彼らの生き様を、人々はそう呼ぶのかもしれない。
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