複製された男のレビュー・感想・評価
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ネタバレしないように書くのが難しい作品
謎を残したまま終わる作品なので、その解釈は人によって多少バラけるかもしれない。
ここで解釈を述べてしまうとネタバレになるので、私が自分の解釈に至った要点だけを挙げておく。
①本作はSFではない
クローンはあり得ない。
②アダムの彼女
彼女の名前はメアリーだが・・・。
③6ヶ月前
アンソニーの妻は妊娠6ヶ月。
アンソニーが最後に事務所を訪れたのが6ヶ月前。
そして、髭を伸ばし始めたのもその頃。きれいな髭に見えるが・・・。
④二重人格だとしたら
同じ場所に同時に居合わせることができない。
⑤鍵
誰が誰に送ったものなのか?
とくに、鍵が文字通りカギになりそうだ。
映画には、やたら蜘蛛が出てくる。
怪しげな密室で女の足元に這い上がる蜘蛛。
路面電車の電線が交錯する映像や、車の窓のヒビ割れは蜘蛛の巣。
都会の遠景には、六本木ヒルズのオブジェのような蜘蛛が佇む。
まるで主人公が蜘蛛の糸に絡め取られていくようだが、この作品のメインデッシュはまさに蜘蛛であり、蜘蛛があるものの代名詞的な役割を果たす。
文字通りメインデッシュの蓋が開けられたのだ。
ラストの蜘蛛は主人公を嘲笑ったのかもしれない。
オープニングから、音楽が暗く陰湿なのが気になった。
先に起こることの暗示にしては早すぎる。
まだアダムは何も知らずに暮らしているはずなのに、すでに音楽は本題に入っている。
案外に、音楽が謎を解き明かす一番のキーポイントなのかも。
もう一点、時折、休憩を挟むように挿入されるブラックアウトにはどんな意味があるのか?
複製されたのは??、、、と考え直して
観賞理由は、中身や監督ではなくメラニー・ロランが出演していたから、でしたが、まずその点で大いに不満。
名前は二番目に記されていたので、ヒロイン的な役回りを期待してましたが、う~ん最後も残念なかんじだし、もう一方のサラ・ガドンさんの方がどうみても目立っていた。若くて綺麗だったからいいけど^^ (カナダ人、今後注目していこっと)
物語的には、私の苦手な伏線回収なしのタイプでした。
主人公はうり二つの自分を偶然見つけると、いてもたってもいられず探すことに。見つけた先に待っていたものとは、、、といったストーリー。
ただ、この映画、見方を間違えると私みたいになんのことやら、となりそう。
従来のミステリー作品と思わない方がいいかも。その意味で伏線は終了しても回収されない。最後の80年代の安っぽいエンドロールで終わった時には、えっ、終わり!?と思ったくらい。意味がわからないシーンも多い。
セリフが少ないし、読み取る材料に気づかなければ、わかんなくなること必須。
他の方のレビューを読んで、そっか、邦題の「複製された男」の頭につく言葉を考えた時に、少し腑に落ちました。蜘蛛からと、つけると意味のわからなかったシーンが少し理解できた。(さっき監督のネタばれ投稿を読んだら、それも違ってたけど^ ^)
冒頭や車の事故、ラストに80年代のエンドロール。その蜘蛛をどう考えるのか、そもそもなんで蜘蛛よってなってきた時に、リピーター券が用意されていたことを思い出して、全貌がようやく見えてきたかんじです。
テレビのサスペンスものに慣れていると、伏線の定義からして違うかんじもしました。そういう意味では事前に予習が必要だったと。
シーンの中で、印象的だったのは、体の傷まで一緒であっても、環境やこれまでの体験などで性格やキャラクターは随分違うんだなと、全く一緒にはならないんだなあと再認識。
その辺主役のジェイク・ギレンホールさんはうまかったと思う。サラ・ガドンさん役の妊婦さん(うりふたつの相手の奥様役)は、旦那が入れ替わっているとなんとなくわかってたけど、言葉を飲み込むシーンも印象的。
最後、SFやスピリチュアルな視野が仮に持てたとしても、私には合わない作品でした。解釈を観客に委ねられているのは、どーもね。何より蜘蛛はチョー苦手^^;
マジで、あれがラストショットですか?
ジェイク・ギレンホールが、自分に瓜二つの人間に出会ったことから運命が変わってしまう男の姿を描く。
ッて言うかねぇ、何だかなぁ。
途中まで、サスペンスばりばりで、いい感じだったんですが、ラストショットがあれですかorz。
もっとちゃんと、結末は付けられなかったんですかねぇ。
ノーベル賞受賞者の作品を原作にすると、こんな感じに、難解(あるいは、意味不明)なんでしょうか?
映像そのものは、すこしセピア風のすごく雰囲気のある映像。それが一層サスペンス色を増すんですが・・・。
むっつり
原作はノーベル賞作家サラマーゴ。
現代人の超絶な孤独を描いた小説だった。
で、監督は灼魂のドゥニ・ビルヌーブ。
この組合せで想像してた映画とは、ちょっと違ってたなあ。
例えて言うなら、「知的なオジさま」と思ってた人が「むっつりスケベなオッサン」だった感じ。
(サラマーゴの観念的な世界を、ビルヌーブが生理的な映像に作り替えたのがイイ。)
むっつりスケベの「中年クライシス:レーベンスヴェンデ」な本作、そのむっつり具合が面白い。
アンソニーがメアリーを窃視するシーンとか、粘着質な映像で、ホント楽しいなあと思う。
その他、カッコいい遠景(ビル群のシーンはサラマーゴっぽい)、ホラーな音楽、煽るカメラワーク、そしてスパイダーなど、テンコ盛りな味付け。
俳優陣も、ギレンホール、いい具合にジットリしててナイス。
サラ・ガドンがきれい。面倒くさそうな映画は全部ガドンにまかせりゃイイとすら思う。
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原題エネミー=スパイダー=自分でもあり。
スパイダー=女・母性でもあり。そう考えると、I.ロッセリーニの無駄な存在感が光る映画であったなあ。「中年クライシス」というより、遅めの反抗期的な映画だったのかもなあ。
難しく考えず、そのままでいいのかも
「灼熱の魂」は、ベストに入るとても優れた映画であった。
その監督だけに、3作目となればいろいろとやらかしてくれるだろうし、前評判から難解をイメージしていた。
が、観てみればどうであろう。
すぐに思ったのは、「どっかで観たことあるな」
映像の不遇さ、音楽の入れ方の不遇さは面白い。
「クモ」もアダムの妄想か、あるいは・・・
そして、肝心の中身であるが原作の「enemy」というタイトルにあるように、自らと同じような人間がいるとすれば、そいつは「敵」なのである・・・こういう描写も王道というか、よくあるパターンであろう。
「灼熱の魂」のように、社会的メッセージがあり、「欲望」や「気狂いピエロ」を彷彿させる展開、レディオヘッドの曲で始まる強い作りのオープニングと衝撃的なラストは、私自身は満点であった。
本作はそこまでいかない。どこか弱い。
内容や解説は他の方そのままだ。それぞれに解釈があるし、いかようにも捉えられる。よくある、観る人に委ねられるパターン。
もう少し頑張ってちょうだい、ヴィルヌーブさん。
息が詰まるほど怖い!
もう一人の自分に出会う物語は多い。本作もそうした作品の一つであるがこんなに怖かったことはない。自分と声も手も同じ人間に出会ってしまったらもしかすると自分が嫌なことをさせるかもしれない。しかしこれをみればそんな考えはなくなってしまう。アダムとアンソニーがモーテルで初めて出会うシーンはその決定的証拠だ。アダムは完全に同じ自分に興味を示すが彼に会って気づくのは自身のアイデンティティの危機なのだ。恐怖を駆り立てるのはそれだけでなくエロシズムが散りばめられ「生」が盛り込まれていることにある。具体的に言えば、冒頭からアダムの携帯から彼の母親の声が聞こえる。ワンシーンしか登場しない母親は常にアダムの心のどこかに付きまとう。アンソニーもまた母親とうまくいっていない様子があるだけでなく自身の妻のお節介にうんざりしている様子もある。彼女はもうすぐ子供を産み母親となることにも関係する。さらに冒頭から繰り返される怠惰なセックスシーンとサブリミナル的に挿入される女性の裸体が本作に深みをもたらしている。ヒッチコック的な素早いカットが緊張感を引き立て、フィルターを通して撮影したかのような背景が不安感を煽る。そして、わずかなセリフがキャラクターにリアリティを与えることで、恐怖を生み出すのだ。本作は何度も見ることで新たな発見と個人個人の解釈を見つけられる素晴らしい作品である。しかし、かなり内容が濃いため一度では理解できないと思う。私個人も自身の解釈を提示できるレベルではない。しかし、本作は単なるミステリーではない。怠惰な現実から離れたいと思う感情こそ「複製された男」の持つ魅力であり、原題のEnemyが表すところではないだろうか
不穏のアンビエンス
タイトルからSFクローンものかな?と思っていたが、あにはからんや、オープニングの幻想味の強いシーケンスからはむしろリンチ的不条理悪夢を想起。
映画全体を通して、無機質で気怠い、黄色のモノトーンに徹底した絵作り。そして不穏感を煽るSEやBGM。
こういうトーン作りは巧い監督。
謎の合理的解明は一向に収束されないので、そこを期待するタイプの作品ではない。
静かな悪夢的迷宮世界を楽しめるかどうかで、本作の評価は割れそう。
とは言え、ラストの幕切れや、時折差し込まれる非現実的なショット、原題が"ENEMY"である事から、なにかしら制作者の考える説明が用意されていそうだ…。
初見では、見つけられなかったが。
マンネリ化の生活から、もう1人の自分を発見してしまった…
雑誌とかでも、掲載されていたせいか、満席であった。ヒゲを生やすだけで、だいぶ変わるなと感じである、プリズナーズの時と、本編のシーンでも、同じような、やりとりが、あったので、
なんか、不思議である。瓜二つ、声も、同じと、しかし、性格は、違う、当然、妻の夫に対する、信頼度も、違うなと感じた。
講師の妻は、信頼度が高いが、役者の方の妻は、猜疑心に凝り固まった状況のためか、講師の男性の誠実さに、心を、開いているようにも思えた、生活スタイルも、違う、見た目だけでは、完全なるコピーは、不可能であると思う。
単なる推理ものではない…先入観で火傷の危険
この作品は普通の推理ものでは片付けられません。これだけはネタバレでなく、誤解を解きたい。
ジェイク・ギレンホールの演技はプリズナーズ同様とても見応えがあった。ヴィルヌーヴ監督&ジェイクのタッグはとても魅力的!このまま続けばさらなる名作が生まれる可能性があると思う。サラ・ガドンとメラニー・ロランの清潔な色気がとてもいい。そしてヴィルヌーヴ監督はとても才能がある人だと思う。緊張感たっぷりの、それでいて美しいカメラの構図。舞台のチョイスもいい。無機質なビル群に恐ろしさすら感じる。
いかなる前情報も仕入れちゃイカン、俺のも読むな
「灼熱の魂」「プリズナーズ」のドゥニ・ビルヌーブ監督作品。
と書いても、ミスリードしてしまいそう。
「複製された男」という邦題自体は、原作があろうともこれまでの作品群からすると、これまでタブーを描いてきた監督の作品からすると極めて「真っ当な」でも「今回もそれか?」とすでに映画ファンからすると、一定のイメージを与えかねないタイトル。
冒頭母親からの電話の内容や、いきなり不穏なショーから始まるや、うって変って糖尿病のような歩き方の猫背なギレンホールが登場する。
この冒頭から、ある種の想像が付きまとう。
「同一人物ではないのか?」
どんなに繊細な性格だとしても、実はそうじゃないだろ、と思わせる顔の濃いギレンホール、比較的タイプの近い顔のガドン、ロラン。
その後も非常に多くの複線や小ネタを挟む。
一方が、役名もない三流役者で、の割には、いい暮らし、それと例のアブノーマルなショーの主催者的な存在の意味。
一方は、WEB検索では、その名前と職業が、ピンポイントで「誰かがかつて」検索したワードが存在する。
ガトンがアダムに会いに行き、別れ際、アンソニーの携帯に電話をするが、アダムが視界から消えた時、アンソニーが受信をキャッチする。そのあと息を切らして帰宅するアンソニー、など、芸が細かい。
母親がイザベラ・ロッセリーニ、というのがまたこの映画の「ヒッチコック」的かつ「リンチ」的な部分を担っていてニヤリ。
時折の空撮が、町を俯瞰した、ある種、世の征服者が街を見下ろすような絵、実際絵として登場する巨大な蜘蛛、近未来的でエロチックなビルのフォルム。セピアがかった映像に「ウルトラセブン」を少し思わす。
簡単に、蜘蛛の復讐劇、てな見方でも全然よくって、ただ単に、ガドンとロランの神がかり的な美しさと、ギレンホールのどこまでもあたふたした二人の男の演じ分けの素晴らしさ、始終不穏な音が、なんでこんなところでこんな音やねん(笑)な音響、先ほど述べた、やはり不穏な撮影。
ずっとニヤニヤしながら楽しめるという一面もある。
追記
映画の原題「ENEMY」について
蜘蛛星人の侵略、でも全然いいと思う。ラストからエンドロールはそういったクラシックなSFテレビドラマ風でかっこいいし。
あるいは、アダムにとって、アンソニーは敵であり、アンソニーにとっても然り。だが、アンソニーの、アダムの提案が猛烈に俗っぽくて、バカっぽいが、笑えそうで笑えない。気持ちもわからんでもない。
それは言い換えれば、いつもと違う「封印してた」「しかた」でしたいけど、パートナーにそんな「しかた」を今晩しちゃっていい?て聞くより、「ああ、今日のなんか違う」と思わせたいだけなんかもね。
お金と時間を返してほしい。。
こんな魅力的な俳優陣を使いながら、
おっそいテンポ、とにかくスローリー
だんだんサスペンス感でてくるはずが、
なんという見応えないラスト、
急にオカルトで終焉。
はぁっ!?ざけんな!
金返せ、バカヤロー!な映画でした。
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