劇場公開日 2014年5月24日

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ディス/コネクト : 映画評論・批評

2014年5月20日更新

2014年5月24日より新宿バルト9ほかにてロードショー

ネット社会の偽りと真実がエモーショナルに“交錯”する群像劇

車椅子ラグビーを題材にした記録映画「マーダーボール」で強烈なインパクトを残したヘンリー=アレックス・ルビン監督、久々の日本公開作だ。(1)SNSによる成りすましイジメの標的となった少年とその父親。(2)チャットが原因で個人情報を盗まれた夫婦。(3)ポルノサイトに出演する未成年者に取材する女性TVレポーター。この3つのエピソードをあえてほとんど交錯させずに同時進行させ、ネット社会に生きる現代人の落とし穴を描く。

実際に起こりうる各エピソードは観る者に「やっぱりネットは怖い!」と思わせるに十分な迫真性を獲得しているが、単なるショーケースには終わっていない。映画はネット絡みの事件に巻き込まれた人々が、それをきっかけに以前から抱えていた家族間の断絶などの問題と直面し、さらに苦悩を深めていく姿を描出。とりわけ(1)に登場するセキュリティの専門家のキャラクターが興味深い。この中年男はネット犯罪の手口と対策、加害者と被害者の心理を熟知した用心深い人物だが、最も身近な息子のことが何もわかっていないのだ。要するに、この映画の本質はネットではなく、人間の傲慢さや弱さをあぶり出すことにある。

しかも本作の優れた点は人間をネガティブ一辺倒に捉えず、偽りだらけのドラマの中に真実、すなわち登場人物の本音を紛れ込ませていることだ。その悲しみや後ろめたさといった感情に生々しい切迫感を吹き込む“ドキュメンタリー・タッチ”の、覗き見的ショットの多用も効果的。

やがて3つの物語は登場人物が凶器を握り締める緊迫のクライマックスへと突き進んでいくが、その先にあるのは血生臭い報復の惨劇ではない。この映画が描こうとするのは肉体的もしくは経済的なダメージではなく、あくまで心の痛みであり、肌と肌が触れ合う瞬間の温もりなのだ。

高橋諭治

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