劇場公開日 2016年1月16日

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「降ろす事が出来ない苦しみ?」白鯨との闘い Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0降ろす事が出来ない苦しみ?

2016年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

興奮

知的

やはり、ロン・ハワード作品でしたね!
3Dであのでっかいクジラと捕鯨船漁師達との格闘と、その後難破した船の乗員達のサバイバルを描いているものだから、ついつい観客の意識はクジラの迫力、そのデカい怪物と、漁師達がどのような格闘を繰り広げているのか?とそこばかりに人の興味と意識が集中する。海の男達の野望と言うかべきか、鯨油が高値で売れる為に、危険な商売を陰でコントロールする実業家や銀行家達のエゴ丸出しの権力闘争等のシーンも導入部で描かれていたものだから、完全にクジラに象徴される広大な自然の力に挑む、小さいが勇気有る漁師達の物語と言う印象でこの作品を観てしまう。
しかし、ロン・ハワード監督自身がこの作品を通して観客に伝えたかった本当のメッセージとは他に有ったのではないだろうか?
重荷を背負って静かに一人でその傷と向き合いながら生きる事の孤独、人間が自己の内に抱える哀しみを誰にも打ち明けられずに、一人胸の内に秘めたまま生き続ける事の苦しみが如何に困難で長い道程であるのかを伝えたかったのではないでしょうか?
人は何故生きるのか?そして自己の人生で何を護り、何を人生の目的として生きるのか?或いは目標などではなく、何故活かされる者と、死を迎える者とが存在するのか?そのタイミングを決定出来るのは、自然を生かす全能の神だけなのだろうか?
と様々な問いかけをしているように思う。
そして、自分自身を解放出来るのは自分自身ではないのか?そして
自己を解放したその先には、今まで見る事が出来なかった視界が自然に開かれてくると言う事を伝えたかったのではないのだろうか?

生きる為には何か経済活動をして生きなければならない現実がクジラよりデッカク人の人生に横たわる。しかし、その内側には、もっと違う宝が存在しているのではないだろうか?クジラの体内に入り油を掬い上げる様に人も自己の本質を現実の生活の中から見つめるのだと語っているように思えてならなかった。
あなたは、どんな印象をこの作品に持ったのか?興味が尽きない映画だった。

ryuu topiann