「Too much of the ture. ロン・ハワード監督の描く海洋サバイバルドラマ」白鯨との闘い アキ爺さんの映画レビュー(感想・評価)
Too much of the ture. ロン・ハワード監督の描く海洋サバイバルドラマ
世界十大小説にも選ばれているというメルヴィルの「白鯨」。その「白鯨」の元ネタになったという「復讐する海ー捕鯨船エセックス号の悲劇」を題材に制作された海洋サバイバルドラマです。小説の「白鯨」自体を読んだ事がないのですが、小説はクジラとの闘いがメインになっており、映画は船が沈没した後のサバイバルがメインとなっております。
クジラ漁のやり方といい、街の風景といい当時の再現率がハンパないです。この映画の舞台となっている1800年代は油はクジラから取る物だったんですね。油田が当たり前な現代人からしてみれば、なんて非効率なっと思ってしまいますが当時はそれが産業を支える要だったのでしょう。ま、その内化石燃料なんて、なんて非効率なって言われる時代も来るでしょうけど。ちなみにアメリカ人の捕鯨は鯨油だけ取ったら後は海に捨ててしまっていたそうです。クジラから取れる油、肉、骨を一切無駄にしなかった日本人との捕鯨とは随分違っていた様子。この辺りの欧米人の感覚は今と全然変わってないですね。
ロン・ハワードは映画を丁寧に作る職人です。捕鯨の為クジラを追い詰めるシーン、白鯨に襲われるシーン、そしてその後のサバイバルと、どのシーンも手を抜かず観る者を惹き付けます。今回生きるか死ぬかを大きく主題に取り扱っているのはロン・ハワード自身も60歳を超え、自分も後何本映画を作れるか分からない年齢に達しているからでしょうか?
主演のクリス・ヘムズワース、マーヴェルの「ソー」と同じく、頼りになる兄ちゃんなカンジで好印象です。この撮影の為に11Kg痩せたとか。本当にげっそりしていて、最後のシーンはCGかと思ったぐらいでした。あんな痩せ方体に悪そう!!「リンカーン」のベンジャミン・ウォーカー、プライドの高い船長を好演しています。「ダークナイト」シリーズの印象が強く、あまりいい奴のイメージがないキリアン・マーフィー(ファンの方失礼!!だって目付きが怖いんだもの)、今回は主人公の友人で良キャラを演じていました。3代目?スパイダーマンのトム・ホランド君、今後が楽しみな役者さんです。
ちなみにこの作品の邦題、一番最初は「白鯨のいた海」だったとの事。「白鯨との闘い」の方がスペクタクルっぽくて客を呼べるとの配給会社の判断での邦題の変更でしょうけど・・・。「白鯨のいた海」の方がまだ内容にしっくり来ている印象があります。何故変えた!?