「父と息子の夜明け」ラン・オールナイト 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
父と息子の夜明け
『アンノウン』『フライト・ゲーム』に続く、ジャウム・コレット=セラ監督とリーアム・ニーソンの3度目のタッグとなるクライム・アクション。
この2人の相性は良く、これまでのBESTではないにせよ、今作も程よく面白い。
マフィアの殺し屋ジミーはこれまで犯してきた罪に苦しみ、酒に溺れる日々。
そんな彼を気遣ってくれるのは、マフィアのボスのショーン。
2人は親友同士でもあった。
2人にはそれぞれ息子が居る。
ジミーの息子マイクは、父を嫌悪。リムジンの運転手をしながら家族と穏やかに暮らし、父とは絶縁状態。
ショーンの息子ダニーは、父と同じ世界に。が、なかなか父に認めて貰えない。
ある夜、この2組の父子の歯車が狂う…。
ダニーが衝動的に殺人を犯し、マイクがそれを目撃。
ダニーは口封じの為にマイクを殺そうとするが、息子を守る為、ジミーはダニーを殺してしまう…。
ジミーとダニーは勿論顔馴染み。が、殺らなければ自分の息子が殺されていた。
ショーンは自分の息子の馬鹿さ加減にうんざりしていたが、それでも自分の息子。それに、マフィアのボスという面子もある。
ジミーとショーンは親友同士。一線を超える時は一緒と誓い合ったほど。
でもそれ以前に、子の親。
友情は固いものだったが、親として子を愛す。
ショーンは復讐として、ジミーとマイクの殺害を命じる。
また、警察からも追われる。
マフィアから警察から街中から追われる身となったジミーとマイクの父子の長い一夜が始まった…。
渋い演技にタフなアクション。“リーアム・アクション”の王道とでも言うべき役柄や設定。
エド・ハリスとの共演も見応えあり、友情と敵対の複雑な関係をさすが演技派の2人、表している。
ちと連続して見た『誘拐の掟』と被ってる点あり。
リーアム演じる主人公は酒に溺れ、ボイド・ホルブルックとも再共演(ダニー役)。
ムード的には『誘拐の掟』の方が好きだが、単純に面白さ、見易さではこちら。
銃撃戦、肉弾戦、カーチェイスとアクションの見せ場はふんだんに。
逃避行が始まってからはスリリング。
ジミーとショーンの友情、絶縁状態だったジミーとマイクの父子のドラマもベタながら感動的に。
逃避行の舞台となる夜のNYの街並みも魅力的に映し出されている。
結末はある程度予想出来たが、ラストシーンが良かった。
あの長い一夜から幾日も経って…。
マイクは出勤前に、鏡に貼ったある写真を見る。
父と息子の夜も明けた。